東直己 |
残光 |
残光 2011年3月31日(木) |
榊原健三は作った木彫りを持って山を下りて、谷間の街の民芸店を訪れた。その頃、札幌では下請け建築業者の白崎が丸高建設の経理部次長を射殺し、社員寮の保育園に人質を取って立て篭もった。店のテレビで見た映像に、かつての恋人多恵子が映っているのに気づいた榊原は、札幌へ向かった。事件は、白崎が人質の保母を射殺し、警察が白崎を射殺したということで解決したが、人質になった多恵子の息子恵太は真相を見ていた。 絶体絶命の窮地をどう脱出するかというところが、爽快とも言えるし都合が良すぎるとも言える。いわゆるハードボイルドで、事件の謎は途中で明かされていくし、真犯人とかトリックとか推理とかいうものは一切ない。それでも日本推理作家協会賞受賞作。おもしろいことはおもしろかった。 |