飛鳥井千砂

はるがいったら      

はるがいったら 2009年2月20日(金)
 両親が離婚して、母に着いていった姉の園は百貨店に勤め出して一人暮らし。父と家に残った弟の行は、新しい母の真奈美と連れ子の忍と暮らしている。仕事、ファッション、食事、何事も完璧主義者の園だが、婚約者のいる幼馴染みと不倫している。何事を冷静に受け入れてしまう行は、子供の頃から飼っていて寝たきりになった犬のハルの介護をしながら高校へ通っている。体の弱い行は肺炎で入院し、進路をめぐって仲の良いなっちゃんとの関係が微妙になり、行に代わってハルを預かるようになった園には無言電話がかかったり、嫌がらせの手紙が届くようになる。
 どうなるのかなと興味を持って読んでいったが、別にどうもなりはしない。意味ありげな表題は飼い犬のことそのものずばり言っているだけ。そこそこおもしろくは読めた。小説すばる新人賞受賞作。