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芦辺拓 |
| 殺人喜劇のモダン・シティ | 大鞠家の殺人事件 |
| 殺人喜劇のモダン・シティ 2003年1月13日(月) |
| 1934年の大阪が舞台。モダン・シティというのは大阪のことで、当時は東京より人口が多く、栄えていたそうだ。(今でも栄えているが)探偵小説マニアの女子高生・鶴子と新聞記者の宇留木が偶然事件に遭遇し、一緒にドタバタを演じながら、連続殺人事件を解決していく。最後に、誰も彼も敵の一味だったというのは、ちょっと安易な感じもする。エピローグもちょっと寂しい。芦辺拓の作風は、コテコテの関西風。鋭いトリック破りやアリバイ破りも、ドタバタ喜劇に隠れてしまう。そのせいか、なかなか本が手に入らない。 |
| 大鞠家の殺人事件 2025年10月31日( 金) |
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明治三十九年、大阪、船場の化粧品販売の商家、大鞠百薬館の長男千太郎が、丁稚の鶴吉を連れてパノラマ館見学しているさなか行方不明になった。その後、店は千太郎の妹喜与江に番頭の茂助が婿入りして茂造となって継ぐことになった。昭和十九年、陸軍少将中久世英輔の娘美禰子は喜与江と茂造の長男多一郎に嫁いだが、多一郎は陸軍軍医として出征し、大鞠家に一人残された。多一郎の弟茂彦も出征しており、妹の月子は突っかかり、下の文子だけが懐いてくれた。昭和二十年のある夜、浪渕医院に警察からの呼び出しがあり、女医の西ナツ子は浪渕医師について南久宝寺町の大鞠百薬館へ駆けつけた。多一郎の妹月子が血まみれで横たわっており、その後茂造が首を吊って死んでいるのが見つかった。ナツ子は美禰子の女学校時代の友人で話し相手になってもらったが、その後第二、第三の殺人事件が起こる。そして、自称探偵の方丈小四郎という男が現れる。 戦前商都として栄えた大阪の風俗と、終戦直前の空襲を背景にして起こる連続見立て殺人事件。探偵役は、実は同じく女学校時代の友人平田鶴子だった。日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞受賞作。おもしろかった。 |