芦沢央

罪の余白      

罪の余白 2023年9月16日(土)
 安藤加奈が高校の教室のベランダの手すりから落ちて死んだ。父の聡は妻が亡くなってから、大学での仕事を抑えて加奈を育ててきた。同僚の小沢早苗とともに病院駆けつけると、事故か自殺とのことだった。同級生の木場咲は、名前を偽って安藤の家を訪ねる。安藤は一緒にパソコンのパスワードを探し、日記を見つけた。そこには、木場咲と新海真帆という生徒からいじめを受けていたことが書かれていた。後日、安藤はその生徒に木場咲と新海真帆への復讐計画を打ち明けて、協力を要請する。
 学校カーストが事件の発端となるが、何より心理学者であるはずの安藤の異様な行動、咲の手段を選ばない冷酷さがミステリーというよりはホラーという感じがする。早苗のこれまた異常なキャラクターが意外と人間的でほっとできる。野生時代フロンティア文学賞受賞作。