有川浩

空の中 図書館戦争    

空の中 2009年5月14日 (木)
 二○○×年一月、国産輸送機開発プロジェクトの試験機「スワローテイル」が四国沖の二万メートルの上空で爆発炎上した。そして二月、航空自衛隊岐阜基地のF15Jが同じ四国沖の高度二万メートルで爆発した。同じ頃、高知で高校生の瞬が浜でクラゲのような生物を見つけた。未確認生物好きの幼なじみ佳江のせいで、家に持ち帰る羽目になった。瞬は、F15Jの事故で亡くなった斉木三佐の息子だった。父の死を知らされ、基地での葬儀が終わった後、携帯で父からの着信履歴にリダイヤルしていると突然つながり、単語を並べた声が響いた。話しているのは「フェイク」と名付けたその生物だった。三月、「スワローテイル」の製造元日本航空機設計から事故調査委員として春名高巳が岐阜基地へ派遣された。事故機と一緒にフライトしていた武田光希三尉の操縦で事故地点へ飛ぶと、数十キロ四方はある強大な物体があり、無線に日本語で交信してきた。
 事故の謎を探るミステリーかと思っていたら、その謎はあっさりと明らかになり、その後は最近のアメリカのSF映画に多い感じの展開。単純ではあるがおもしろかった。ただ、瞬のあまりにも短絡的な発想が少し不自然な気がした。高知の川の自然と漁師の宮じい、幼なじみの瞬と佳江の感じがよかった。

図書館戦争 2011年6月9日 (木)
 昭和最終年度「メディア良化法」が成立・施工されて検閲が合法化され、それに対抗して「図書館の自由法」が成立した。メディア良化委員会は良化特務機関を設置して検閲・押収を強化し、対抗する図書館も防衛力を追及し、ある事件を契機に図書隊を組織し、両者は超法規的な武力抗争を展開するに至った。高校生の時本屋で良化特務機関から守ってくれた図書隊員に憧れて図書隊に入隊した笠原郁は、毎日軍事訓練に励んでいた。担当の堂上教官は幾を目の敵にしているみたいで、ことごとく対立していた。
 図書を押収しようとする良化委員会と守ろうとする図書隊が銃で攻防するという、あり得ない設定だが、キャラクターの設定がおもしろい。あの彼はこの彼ではないかと思っていたが、やはりそうだった。シリーズ化されているが、となると後の展開はある程度想像できそうだ。