青山美智子

お探し物は図書室まで      

お探し物は図書室まで 2023年8月18日(金)
 小学校に併設されている羽鳥コミュニティハウスではいろいろな講座や催し物が開催されていて、奥のほうに図書室があり、若い女の子と司書がいる。その司書は、白熊のような、マシュマロマンのような大きな女性で、「何をお探し?」と聞くと、目にも止まらないはスピードでキーを打ってリストを作り、最後になぜか関係なさそうな本を一冊載せている。そして、キャビネットから羊毛フェルトの作品を取り出して付録にくれる。講座を訪れた人が参考資料を借りに行くと、なぜかその関係ない一冊から「探し物」を見出すことになる。正社員で就職できたけどただのスーパーの婦人服売場の販売員、アンティークの店を出す夢を持っている家具メーカーの堅実な経理部員、出産を機に資料部でくすぶっている女性誌の元編集者、イラストレーターの仕事に就けずニートになった三十歳、六十五歳で定年を迎えた元営業部長。関係ない本と羊毛フェルトがそれぞれにピッタリはまる。そして、5つの短編の間で、いろんな人物が相互に関係していることも分かってくる。おもしろかった。2021年本屋大賞2位だそうだ。