青島幸男

人間万事塞翁が丙午      

人間万事塞翁が丙午 2007年3月5日(月)
 呉服問屋街の日本橋堀留町の弁当や弁菊に嫁いだハナは、夫次郎と、謙一、幸二の二人の子供を育てながら毎日忙しく働いていた。おじいちゃんは妾のところへ通い、厳しい姑のおばあちゃんは友達を集めて花札をして過ごす。謙一は人のいいオッチョコチョイ、幸二は抜け目のない悪童。器用でなんでもこなす番頭格の清さん、ゴーちゃんのあとから来たのでロクちゃん、餅つきの助っ人に来てそのままいついているから助さんや、近所の鳶の頭といった下町の人たちが、次郎の招集、帰還、空襲や疎開といった出来事があるたびに集まっては粋で人情豊かな大騒ぎを繰り広げる。夫に、姑に、妾だのにハナは時として怒りを覚えるが、すぐ胸の中で許してしまう。
 昨年亡くなった才人青島幸男の、母をモデルにした直木賞受賞作。本人は幸二なんだろう。おもしろく読めた。