青崎有吾

体育館の殺人      

体育館の殺人 2023年3月6日(月)
 風ヶ丘高校の旧体育館に放課後女子卓球部員の柚乃が練習に駆けつけると、ステージの幕が下りていて、後からやってきた演劇部員が幕を上げると、ステージ中央の演台にもたれて放送部部長の朝島が胸にナイフを刺されて死んでいた。神奈川県警の刑事・袴田が上司の仙堂と捜査にあたるのだが、柚乃は妹だった。その場にいた者一人一人に聴取した結果、アリバイがないのは女子卓球部部長の佐川奈緒だった。部長を救うため、柚乃は試験で九百点満点を取り、学校の文化部室に住み着いているという裏染天馬に疑いを晴らすことを頼む。
 アリバイトリックの解明がメインだが、その前提として誰が関係しているのかをつきとめるが推理のポイント。意外な動機、そしてちょっとしたどんでん返し、おもしろかった。鮎川哲也賞受賞作。