青木奈緒

ハリネズミの道 くるみ街道    

ハリネズミの道 2004年7月11日(月)
 明治の文豪幸田露伴の娘が女流作家幸田文、その娘が露伴との生活を記したエッセイを書いた青木玉、そしてその娘が青木奈緒。
 この作品は、作者ドイツ留学体験を、京という女性に託して小説風に語った連作エッセイなのだが、内容的には小説と言っていいものだろう。寮で共に生活する学生たち、ドイツと日本の習慣の違い、ドイツの自然やドイツ人気質、といったことがみずみずしく描かれている。ところどころに斜に構えた感じの言葉が出てきて、それがかわいらしく響くのはどこか玉さんのエッセイと共通しているところがある。ただ、時々変な文章や妙な日本語が出てきたり、語り手が突然友人のエルケに変わったりで、何でだろうと思わせた。しかし、久し振りに楽しく読めた1冊だった。

くるみ街道 2004年10月20日(水)
 ドイツへの留学体験を小説風に綴った「ハリネズミの道」の続編。前作はエッセイで今回は小説となっているが、たいしてかわりはない。前作は大学院生での初々しい留学体験だったが、この作品はその6〜7年後、ドイツで翻訳の仕事をしている頃の話で、恋人との長い付き合いの行方、友人の結婚の顛末など、30前後の女性の心の揺れが描かれている。
 この作家の語り口というか言葉遣いにはところどころ珍しいところがあって、例えば「上体は小まとまりで」とか、明治から続く山の手言葉なのかなと興味を引かれる。