赤染晶子

乙女の密告      

乙女の密告 2013年2月26日(火)
 京都の外国語大学。学生は圧倒的に女子が多い。バッハマン教授は、スピーチコンテスト暗唱の部の課題を発表した。「ヘト アハテルハイス」、『アンネの日記』の「一九四四年四月九日の夜」。少女の頃から熱心なファンだったみか子だが、アンネがユダヤ人に着いて書いた部分で、初めて見る言葉みたいなかなか覚えられなかった。スピーチコンテストあらしの上級生麗子様について練習を始めるが、どうしても同じところで忘れてしまう。乙女たちの間に、バッハマン教授と麗子様の噂が立ち、そのうちそれがみか子にも及んできた。
 外国語大学の乙女たちの学園騒動と、みか子の「アンネの日記」の解釈が並行して進んでいき、みか子の中で「密告」という行為が自分のものとなっていく。発想がおもしろかった。芥川賞受賞作。