阿部智里

烏に単は似合わない      

烏に単は似合わない 2014年10月4日(土)
 八咫烏が人間の姿で生きる山内の世界。金烏が司る宗家と仕える南家、東家、西家、北家の四家の者は宮烏と呼ばれる。若宮の后選びのため、南家から浜木綿、東家からあせび、西家から真赭の薄、北家から白珠が後宮である桜花宮に呼ばれる。ここで一年過ごして、一人が期先に選ばれる。南家の浜木綿はなぜか后になるつもりはないと言い、西家の真赭の薄と北家の白珠は選べれることに使命感を抱いていた。そして、東家のあせびは幼い頃若宮を見かけたことがあり、それ以来若宮に憧れていた。しかし若宮は一向に桜花宮に姿を見せず、そのうち不審な事件が続けて起こる。
 后選びといえば、酒見賢一の「後宮小説」というのがあって、そんな感じかなと思って読んでいたら、最後に若宮が登場してこれまで起こった事件の真相を暴いていく。何と叙述トリックのミステリーだ。主役だと思っていた人物がそうじゃなかったし、序章からしてひっかけだった。ちょっと意外すぎかもしれない。松本清張賞受賞作。