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■ 生命を吹き込む
2001.9.11 全世界が一瞬にして凍りついたあの同時多発テロ事件、目を疑いたくなるような数々の映像、"映画のワンシーンのよう"と形容されていたように、まさしく私たちの常識の範囲をはるかに超えた悲劇が今そこにある。私は、スウェーデンのイエテボリでこの事件を知ったが、北欧の穏やかな時間の流れとは別の世界が広がっていた。WTCが一瞬にして瓦礫の山と化し多くの人々が犠牲となり、破壊された物質のエネルギー以上に人々に残された心へのダメージは計り知れないものがあろう。 |
■ サスティナブル建築への道
ここ数年来、住まいづくりやまちづくりのテーマの中に「環境」という文字が頻繁に見られるように、一般市民の意識も高まっている。現在、地球温暖化への要因の四割は建築の生産から施工、運用、廃棄にいたるライフサイクルのCO2排出によるもので占められている事実がある。 |
■ 子どもたちへの継承
私たち人類はこれから何処に向かって歩んでいくのか、歩み始めているのか、ふと不安に感じることがある。確かに環境問題が重要なことは誰もが認識しているが、あまりにもテーマが大きく何をどのようにすることにより何処がどう変化していくのか具体的に感じることが出来ず、そのために行動意識を鈍らせている様な気がする。再度認識しなくてはいけないことは、一般の人々にどの様なメッセージを発信し社会と共にアクティブに様々な問題に対し取り組んで行けるのかを考えていくことではないか。生活のリズムを考え、コミュニティとの連携を図り、まちなみや景観、そこに広がる風景が自分たちの生活の中でどの様にかかわりあい価値のあるものなのかを提案し、次の世代へと少しでもクォリティの高いものを確実に伝えていくことにより、建築本来の目的である資産保護、継承に値する環境の整備が出来るはずである。建築は常に継続的であり循環をしながら進化していくことが大切であり、創造と破壊を繰り返すことにより満足させられるものではない。そのためにも自分達の住んでいる町や地域を知り、いつまでも愛し続けるためにはどうしたらよいのかをみんなで考えていくことが大切である。 |
■ ・・・らしさ 先日、第5回三浦綾子作文賞の発表が新聞に掲載されていた。 小学生の部で見事、最優秀賞に輝いたのは「祖父から聞いた話」という大正時代に開拓のため北海道に移住したおじいちゃんが、まだ子供の頃に体験した思い出話をつづった作品である。北海道を開拓した人たちへの感謝の気持ちと、つらく悲しい思いをした炭鉱労働者たちのことを祖父から聞いたように将来、自分の子どもへも伝えていきたいという決意の強さが光った素晴らしい作品だった。 |