13Bオーバーホール(Part2)
●はじめに
ここではPart1に引き続き、エンジンの組み立てを紹介したいと思います。
その前に、皆様からのご質問が多かったので、今回Kyasuiがお世話になっているショップさんについてお話します。
そのショップさんの名前は、「村松自動車:MR Racing」です。
ここの社長さんは、少し前まであの「RE雨宮」の工場長を務めていた方で、Kyasuiはその頃からお世話になっていました。
そしてその実績ですが、谷田部での「最高速」、「ゼロヨン」、様々なレースで活躍していた、とても実力のあるチューナーさんです。
でも、とても気さくな楽しい方で、それをよく表しているのが、常にお客さんがお店に「遊び」に来てくれて、とてもアットホームな
雰囲気があります。
このショップの特徴は、社長の名前のように、とても良心的なお店で、ユーザー側に立ったチューニングをしてくれます。
それはどのような事かと言うと、例えばパーツを交換しなければならない場合、新品である必要性が無いと考えれば、中古を安く探して
来てくれたりします!
また、製作も得意としているので、ユーザーの要望に合わせて、市販品よりも安価に作ってくれることもあります。
クルマは走ってナンボであり、特にセブンはスポーツカーであるが故に、消耗パーツが多いことを考えると、とても大切なことであり
、また非常に助かっています。
●エンジンに求める「性格」
今回、O/Hを御願いするにあたり、「お任せ」で組んで頂いて再生するのもアリかもしれませんが、それではあまりにも
味気ないです。
せっかく技術力があるチューナーさんに組んで頂くのですから、チューナーさんに自分の
求める「テーマ」というか「要望」を
伝えました。
それは、「馬力」や「トルク」を「いくつ」と要求?するのではなく、それはとても抽象的な「表現」で、
「下からプンプン吹けて、トルク感が回転に合わせて厚くなる感じが望みです。」
と伝えました。
皆さんの中には、「はて?、このような味付け部分はセッティングでまかなうのでは?または、タービンで決まってしまうのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、Kyasuiは、そのように考えていません。
たしかにセッティングによって、ある程度はエンジンの性格を変更(修正?)出来るとは思いますが、それは、所詮エンジンの発揮出
来る性能を手加減した表現(出力)に過ぎないと思っているからです。
うまく言葉に出来ませんが、持っている性能以下にしか、味付けは出来ないということです。
しかし、求める「性格」に合わせてエンジンの組み上げが出来れば、きっとマージン(耐久性)があるセッティングも取れるし、求める
出力特性を無理なく、さらに上乗せ出来るのでは?と思っています。
少なくとも、イメージを持って組み上げられたエンジンは、きっとそのような性能を
発揮すると思っています。
機械とは、そういう「モノ」だと、昔から考えています。
![エキセントリックシャフト](phot1/ekisen.JPG)
・エキセントリックシャフト
今回のO/Hで再使用出来たのは、1個のローターと、このエキセン1本だけでした。(激悲)
でも、オーバーレブを頻発していたことを考えれば、このエキセンだけでも使えたことは、とても運が良かったのかもしれません。
これからは、絶対に6800回転シフトを心がけます。(嘘?)
しかし、これ!重たいですね〜!
これこそ、軽量化出来れば、フィーリングが激変しそうです。
レシプロに当てはめると、クランクとコンロッドですか?
レシプロではパワー対策の強化とバランスを求めた市販品がありますが、鍛造ということで純正よりも重いようです。
エキセンでは強度をそこそこにすれば、軽量タイプを作れないでしょうか?
やっぱり、鍛造の中空は難しいのでしょうか?
別の素材でも良いから、画期的なモノをどこかで開発してくれませんかね〜?
![再使用ローター](phot1/rotar2.JPG)
・ローター
これは生き残ったローターです。
今回のO/Hでは、前後のローターの重さを「B」に合わせました。
やはり普通に考えると、重量を合わせた方がバランスが良さそうです。
ちなみに、重量区分は「A」が一番重く、段々軽くなって「D」まで、最近は「E」まであるようですが、基本は「C」を使用するそ
うです。
この区分は、ローターの「淵」に打刻されていることから判ります。
この重さのバラつきは、製造時の精度の問題なのか、別の意図があるのか不明ですが、チューナーさんによっては、この重量差を
うまく利用しているようです。
つまり、重いタイプほど厚く(頑丈?)出来ていると判断して「パワー」傾向に、軽いタイプは「レスポンス」重視のエンジンに
組む、というのを聞いたことがあります。
今回「B」に統一した理由は、チューナーさんいわく、「トルク型」
エンジンにするためとのことです。
ちなみに、現在メーカーに注文すると、「ランド加工」された「チューニング」ローターが手に入ります。
これは、高回転でエキセンが振れた時に、ローターのサイドハウジング干渉の対策なのか、とてもお買い得な気がします。
![ハウジング排気研磨](phot1/rotahj.JPG)
・ローターハウジング
これは、ローターハウジングのエキゾースト側ポートです。
この部分は、水路確保の関係で、「カラー」を打ち込んで水漏れを防止しています。
そのため、どうしてもこの「カラー」とハウジング本体の間に「段差」が出来てしまうようです。
もちろん排気をスムーズに流すには、このわずかな「段差」でも、影響ありそうです。
やはり、エンジン本来の性能を発揮させるには、このへんもこだわって面研したいところですが、通常ショップさんに御願いすると
有料になってしまうのでなかなか踏み切れないところです。
しかし、今回お世話になった「村松自動車」さんでは、オーナーの要望があれば、
無償で段差修正をしてくれるので、Kyasuiも御願いしてしまいました〜〜(嬉)
このようなことは、村松自動車さんではほんの一部ですが、きめ細かい対応して頂いて、とても感謝しております。
O/Hを予定している皆さん!!今度いかがですか?
![サイドポート型紙](phot1/intamport.JPG)
・サイドポート加工
今回、ついに英断してしまいました。
サイドポート加工です。(軽くですヨ!!)
これは、インターミディエイトハウジングの加工準備です。
ノーマルから、これだけ削るんですね〜!
このインタメ側を削りすぎると、アイドリングがきびしくなるそうですが、もっとパワー指向の場合は、ブリッジ側も削って、「バカ
(失礼)ポート」にするそうです。
このあたりは、見る人が見れば判ってしまい、企業機密だと思うので、掲載するのにこちらの方がためらったのに、村松さんは「全然
平気だよ!」と、とても太っ腹というか、懐の深さを感じました。
これ以外にも内側の画像もとりましたが、せっかくの村松さんのお言葉でしたが、こちらは私なりに考えて、自主規制とさせて頂きました。
この研磨作業を拝見させて頂いたのですが、手馴れているというか、ものの数分!!(驚)で仕上げていました!!
すごいですよね〜!熟練というか、まさしく職人だ!!と思いました。
![VCTアペックスシール](phot1/vctap.JPG)
・VCTアペックスシール
今回Kyasuiのエンジンに組み込まれるアペックスシールですぅ〜!!
最近あまり見ないフォルム、1ピースタイプです。
まず、このVCTというネーミングですが、
「ガレージヴァンナ」さん、
「サーカスエンジニアリング」さん、
「トップフューエルレーシング」さんの頭文字から付けたそうです。
スゴイことですよね〜?どれもロータリー大得意のショップさんですヨ!!
見た目はもちろん、さすが、さわり心地が違います。
どんな表面処理をしているのでしょう?
他にも違いに気がつきましたが、それは ・ ・ ・ ひみつにしておきます〜!
このアペックスシールの魅力は、高回転、高ブーストにも耐えられるということです。
もちろん、エンジンがその状況に耐えられるのが前提みたいですが ・ ・ ・
話しは戻りますが、これは過去の経験から、アペックスシールにこだわりがあって、この度セットして頂きました。
それはある日突然起きました。エンジンに「ある」現象が起きた瞬間、純正アペが「欠け」てしまい、エンジンだけでなくタービンま
で逝ってしまったのです。
これは、運悪く起きたことかもしれませんが、かなりショックでした。
この時、エンジンもほぼ全損になったことから、二度とこんな経験をしたくないと思いました。
ここで勘違いして欲しくないのですが、当時の純正はけっして悪いと思っていません。ただ、逝きかたが ・ ・ ・
また、現在メーカーから供給される2分割アペックスシールは、通常の使い方であれば、これまでの3分割よりも強度が
あって良いらしいですが、パワーを上げていくと、100分の何ミリの個体差により、かなりの距離をうまく「ナラシ」してやらないと、
本来の性能を発揮出来ない可能性があるようです。
でも、自分には、そこまで「うまい」ナラシをする自信がなかったのも理由のひとつです。
とにかくこの度のVCTアペックスシールエンジンは、十二分にナラシを行い、最高のコンディションでセッティングしていただく
予定です。
●13Bオーバーホールの締め、「セッティング」について
今回でひとまず「13Bオーバーホール」は終了致しますが、「セッテイング」もオーバーホールの一環だと思っています。
なにしろ、このままではまともに走れませんので、セッティングは必須です。
やはり、エンジンを生かすも殺すもセッティング次第だと思います。
そこで、運良くシャシダイグラフや「性能表」等を得られたら、「Part3」としてNEWエンジンのフィーリングや性能のグラ
フ化や、実際に走行して感じたこと等を紹介したいと考えていますので、それをお待ち頂けたら幸いです。
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