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ごはん・健康

* 食事
 
 人間の食事は1日3食が基本であるように、猫も規則正しい食生活を送ることが大切です。食事の回数は、生後3〜4ヶ月くらいまでは、一度にたくさんの量を、食べられないので、3回、それ以降は、朝、夕の1日2回を目安に与えます。1日に必要なカロリーは、成猫の場合で体重1kgあたり80kcalを目安にします。分量のめやすについては、キャットフードの箱などに明記されています。子猫の場合、気を付けなくてはならないのは、骨の成長に必要なミネラルが不足しないようにすることだと思います。生後6〜8ヶ月までは子猫用のキャットフードを与えることをおすすめします。何を与えるのかについては、ある程度カロリー計算をしたり、栄養のバランスを考えることができるのであれば、手作りのものを与えてもいいかと思います。ただ、猫に必要な栄養素を満たすぐらいのフードを手作りするのは、時間も手間もかかります。市販のキャットフードには、大きく分けて、「ドライフード」と「半生タイプ」と「缶詰」などがあります。ドライフードは乾燥させた固形のエサなので、与えるのにも手間がかかりません。また、値段も量のわりには割安なので、一般的によく使われています。ただし、水分は必ず一緒に用意してあげてください。缶詰は、売り場にいくとすぐにわかりますが、いろいろな素材のものが売られていて、とてもバラエティーに富んでいますので、猫のことを考えながら選ぶ楽しみもあるかと思います。3種類の中では一番保存が効きます。半生は、食感がやわらかいので、歯が弱くなってしまった猫や、年をとってきた猫にもやさしいエサです。缶詰の代わりにも使えます。

* 与えてはダメなもの

 昔は、猫や犬には人間の残飯を与えるということがありました。そのため、猫はなんでも食べるような気がしてしまいますが、本当は猫には絶対に与えてはいけない食べ物が少なからず存在します。大切な猫の健康と長生きを願うなら、以下のものは決して与えないように注意してください。

+アワビ・サザエ+
 与えてはいけない食べ物の筆頭に挙げられるのが、アワビ、サザエなどの貝類です。貝類が主食とする、海草に含まれる葉緑素の分解成分の働きが猫の皮膚に影響を与えます。とくに一番皮膚が薄い耳が影響を受けやすく、ひどい場合には耳の先端が欠け落ちてしまうことがあります。

+タマネギ・ネギ+
 タマネギをはじめとするネギ類には、猫の赤血球に対して毒性を持つ成分が含まれています。タマネギやネギを与えると、赤血球が破壊され貧血を起こしてしまい、最悪の場合、死に至ることもあります。タマネギはハンバーグなどの加工品に含まれていることもありますので、充分注意してください。

+イカ+
 必要な栄養素であるタウリンを多く含むため、与えたい食べ物なのですが、消化が悪いため胃腸障害を起こす可能性があります。

+鶏肉や魚などの骨+
 
カルシウムたっぷり・・・といいたいところですが、骨を口にした場合、謝って破片が喉に突き刺さることがあるため、とても危険です。鶏肉や魚をごはんにするときは、骨を取ってから与えてあげてください。

+塩・香辛料など+
 
猫に手作りのエサを与える場合、味付けをする必要はまったくありません。塩や胡椒、カレー粉、ワサビ、カラシなどの香辛料は、猫の臭覚を麻痺させ、心臓に負担をかけることがありますので絶対に与えないでください。

+その他+
 
絶対与えてはいけないということはありませんが、猫に与えるうえで気をつけたい食べ物としてはチョコレートなどのお菓子類、ハムやソーセージなどの加工食品などがあります。お菓子類は与えすぎなければ栄養的には問題はありませんが、虫歯の原因になるので与えた後で歯を磨いてあげるなど注意が必要です。また、人間と同じで、食べ過ぎると糖尿病になる可能性もあります。加工食品の場合は、塩分を多く含んでいるため腎臓に負担がかかります。


* 健康チェック
 

 痛みや体調不良を言葉で伝えることができない猫ですが、日頃からの様子をよく観察していれば、何らかの異常があれば、すぐにそれを発見できると思います。そして、健康状態を知るうえで、重要なのが便の状態です。毎日のトイレ掃除の際に、必ずチェックしてください。次に、猫を抱いて、お腹を触ってみるというのも、大事なチェック方法だと思います。お腹にしこりがあったり、何か膨らんでいるような場合にも何らかの病気が考えられますので注意してあげてください。

+皮膚と毛+
 種類にもよりますが通常、健康な猫の毛には光沢と弾力があります。いつもより毛艶がよくないときは、あまり体調がすぐれない可能性があります。皮膚に湿疹やかさぶたがあったり、フケが出るようなら、アレルギー性皮膚炎、カイセン、皮膚病、といった病気の可能性があります。

+耳+
 耳の内側は、ピンクがかったきれいな色をしています。極端に汚れていたり、黒い耳アカが出るような場合は、耳カイセンや真菌による外耳炎などの可能性があります。足でしきりと耳の内側を掻こうとしたり、耳を触ると痛がるような場合も要注意です。

+目+
 健康な猫の目は、輝いていて澄んでいます。目がショボショボしていたり、涙が溜まったような状態は、結膜炎や涙目の可能性があります。瞬膜(眼頭にある白い膜)が出ているような場合も、何らかの病気や体調不良を疑ってみてください。

+鼻+
 健康な猫の鼻は滑らかで少し湿っています。膿のような鼻水が出ているときは、蓄膿症などの可能性があります。逆に、寝ているときや起きた直後以外で鼻が乾いているときは、発熱しているかもしれませんので、体温を測ってあげてください。また、くしゃみが続くようなら、ウイルス性の疾患の疑いがあります。

+口+
 
猫はふだん口臭はありませんが、口が匂うようなら歯周炎や口内炎の可能性があります。口臭があるのにそのままにしておいて口の中に潰瘍ができたり、食欲がなくなったりするようなら、猫白血病ウイルス感染症や猫免疫不全ウイルス性感染症など、命にかかわる病気の可能性があります。早めに検査を受けさせてください。

 ・各部位で症状から考えられる病名を挙げましたが、必ずしもこれらに限りません。明らかにいつもと違った異常や異変を感じたらすぐに病院に連れて行ってあげてください。

* かかりやすい病気

+猫伝染性腸炎+
 
非常に強い感染力をもつウイルス性の病気です。他の猫から感染する場合や、ノミや人の服、靴などから移ることもあります。潜伏期間は2〜9日間で、腸や白血球を冒していきます。発症すると急速に悪化し、最初に熱が出て、内臓の機能が低下することによって嘔吐を繰り返したり、下痢や急激な脱水症状が見られます。子猫がかかると、死亡率90%という恐ろしい病気です。猫ジステンパーともよばれます。

+猫ウイルス性鼻気管支炎+
 
人間でいう風邪にあたります。ウイルスが原因で、鼻の気管や喉の粘膜、肺などの呼吸器系が冒されます。ウイルス自体はそれほど強いものではありませんが、子猫や体力が弱っている猫の場合は、ごはんを食べられなくなったりすることがあります。はじめは急激に食欲がなくなり、くしゃみやせき、鼻水、よだれ、涙などがの症状が出ます。口の中や舌に炎症や潰瘍ができる猫もいます。そのままにしておくとさらに症状が進んで、蓄膿症や呼吸困難、肺炎になることもあります。人間が人から風邪を移されるように、この病気も、他の猫のくしゃみや鼻水、目ヤニ、よだれ、排泄物などから感染します。

+カルシウイルス感染症+
 
猫ウイルス性鼻気管炎と同じで、これも猫の風邪です。2つの病気は共通点が多く、獣医でも認識が難しいといわれています。この病気のウイルスは、猫ウイルス性鼻気管炎のウイルスよりも威力が弱いため、通常1〜2週間で回復がみられるようになります。猫ウイルス性鼻気管炎とほとんど同じ症状ですが、違うのは口内や舌の炎症がよりひどいことと、進行すると、肺炎や気管支炎、結膜炎などになるケースが多いことです。

+猫白血病ウイルス感染症+
 
猫の病気の中で最も重いとされる病気の1つで、原因となるのは白血球やリンパ系にガンをつくるウイルスです。感染力はさほど強くなく、ウイルスをもった猫と普通に接触したくらいでは感染することはありません。唯一の感染ルートは唾液なので、ウイルスをもった猫になめられた場合は、感染する可能性が高くなります。感染後1〜2ヶ月で発熱や食欲不振、貧血などが見られ、目の粘膜や口内、皮膚などが青白くなったり、リンパ腺が腫れてくることもあります。進行すると、抵抗力の衰えから、さまざまな病気を併発します。発症した猫は3〜4年で死にいたるケースが多いのですが、たとえ感染しても成猫が発症する確立はさほど高くありませんので、治る見込みも少なくありません。

 ・上記の4つの病気は、年に一度のワクチン注射をすれば予防できます。感染してからでは遅いので、必ず注射は受けるようにしてください。

 ・以下の病気は、残念ながらワクチンで予防することはできません。飼い主の努力で予防してあげてください。万一、病気になってしまっても、早期に見つけてあげれば、それだけ回復も早まると思われます。

+猫伝染性腹膜炎+
 
猫を放し飼いにしているなどの場合にかかりやすく、非常に重い病気です。ウイルスが原因で腹膜炎を起こすものですが、体内にウイルスが入ったとしても、発症する確立は25%程度です。症状が大きく2つに分けられます。お腹に大量の水が溜まって、ぷっくりとふくらんできます。水が胸に溜まることもあります。胸に溜まった場合、呼吸が荒くなります。放置すると、次第に食欲がなくなり、発熱が続き、貧血や黄疸が見られ、極度に痩せていきます。お腹や胸に水が溜まらない場合もあります。そのときには変化が見えにくいので、発見が遅れたりします。食欲がなくなったり、発熱したりといった症状は見られますので早めに獣医さんに見てもらってください。

+猫免疫不全ウイルス性感染症+
 猫エイズと呼ばれる病気です。人間のエイズと同じで、唾液や傷口などから感染しますが、猫と人との間で感染することはありません。症状も人間のエイズに近いものがあり、感染してもすぐに症状が出ることはあまりありません。長期間症状が出ない場合は、無症状キャリアと呼ばれ、発病している猫とは区別して考えられます。発病した場合、初期症状としてはリンパ腺が腫れたり、発熱が続いたりします。そうこうするうちに、だんだんと病気に対する抵抗力が衰え細菌感染を繰り返したり、口内に腫瘍などが現れることもあります。いずれにしても、今のところ、症状を抑えることはできても、病気そのものを治す方法はないのです。現在発病している猫はほぼ100%が自由に外出している猫なので、絶対に外出をさせないで、完全室内飼いにすることがとても大事なことだと思います。

+子宮蓄膿症+
 
あたりまえですが、メス猫だけがかかる病気です。名前のとおり子宮に膿がたまる病気で出産経験のない雌猫老猫に多く発生するとされています。膿がひたすらたまり続け、猫の衰弱が進んでいく「閉塞型子宮蓄膿症」と膿を垂れ流し続けるものの、猫は比較的元気な「開放型子宮蓄膿症」の2パターンに分かれます。主な症状としては、食欲が減退したり、水を異常に飲んだり、嘔吐を繰り返したりします。さらに腹部がふくらんでいたり、性器からオリモノが出たり、だるそうな様子だった場合にはこの病気の可能性がありますので、至急、動物病院に連れていってあげてください。いったん発症すると非常に重篤で命に関わる恐れもあります。早期の発見であれば、手術で子宮と卵巣を摘出し治すことができます。

+尿閉塞(猫泌尿症候群)
 
こちらはオス猫だけがかかる病気で、猫の尿に含まれる微細な結晶や砂粒状の物質が固まって、尿道を塞いでしまうというものです。そのため。早急に詰まった異物を取り除いてあげる必要があります。症状としては、猫がトイレでおしっこをしようとしているにもかかわらず、血の混じった尿がわずかに出るだけだったり、場合によってはまったく出ないということもあります。また、お腹を観察すると、固く膨らんでいて、触ろうとすると痛がります。

+トキソプラズマ+
 
猫から人間に移る代表的な病気です。腸に寄生する微生物が原因で汚染された生肉や獲物を食べた猫が感染します。ただ、猫に症状が出ることはあまりなく、感染した猫の便に触れるなどして人間に感染します。予防は、生肉を与えないようにすることと、猫のトイレを常に清潔にしておくことです。この2つを守っていれば、感染することはまずないといえます。

* 病院選び

 人間の場合もかかりつけの病院があると何かと安心です。猫にもいざというときに頼りになるドクターを探しておきたいです。猫のホームドクターを探すためには、いろいろ情報収集をしてみてください。たとえば、電話帳、情報誌、インターネットなどから自分が住んでいる地域にある動物病院をリストアップします。いくつかピックアップしたら、実際に電話をしてみます。たとえば、このときに「猫を飼い始めたのですが、予防接種を受けるとしたら料金はいくらくらいになりますか」などといった具体的な質問をしてみます。質問に対して、丁寧に受け答えしてしてくれる病院はひとまず合格できる病院です。複数の病院に電話をして一番、親切で料金の説明も明確なところを選ぶといいと思います。電話だけでなく、実際に病院を見にいってみます。できれば診療時間内に様子をうかがってみましょう。出てきた人に声をかけてみるのもいいと思います。

* 去勢・避妊

 
猫を飼ううえで避けては通れないのが、去勢・避妊の問題です。人間の都合で去勢や避妊手術することに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、猫は人間と共存している生き物です。人間がその責任において飼っている以上、出産についてもきちんと管理してあげる必要があります。では、100%家の中で飼っていれば去勢・避妊手術は必要ないかといえば、答えはノーだと思われます。「外に出さないのだから、妊娠する心配もさせる心配もないのに・・・」と思う人もいるかもしれませんが、手術をしない猫は必ず1年に何回かの発情期を迎えます。発情した猫はどうなるのかというと、オス猫の場合はスプレー行為といって、メス猫に自分の存在をアピールするためにあちこちに少量の匂いのきついおしっこをまきちらします。ふだんトイレでしか排泄をしない猫でもスプレー行為をします。家具だろうが、電化製品だろうが構わずにおしっこをかけまくります。メス猫の場合も、発情中にスプレー行為をする猫も決して少なくありません。そして赤ちゃんのような大きな声でずっと鳴き続けます。この鳴き声は大音量で、こっそり飼っていたとしても近隣の住民の耳に届くのは必至です。このような状態が1週間近く、しかも年に数回も起こったら、引越しをしなくてはならなくなるかもしれません。近所に迷惑をかけるだけではありません。完全室内飼いで去勢・避妊をしないということは、猫にとっても残酷なことなのです。なぜなら、発情期がくれば、自然な欲求としてオスとメスは逢瀬を重ねたくなります。それを我慢させるのは、大変なストレスがかかることになります。去勢や避妊をしていれば、発情どころかお互いに性的興味を抱くこともないので、余計なストレスを感じることがなくなります。去勢・避妊手術は、初めての発情を迎える頃をメドに考えるとよいでしょう。早い猫なら生後半年を過ぎた頃にはじめての発情を迎えます。発情中は手術を受けさせることができないので、手術前に発情してしまった場合は、発情が収まって少ししてから受けさせるようにします。オス猫の去勢手術は、数十分で済む簡単なもので、入院も1日以内です。メス猫の場合は、卵巣と子宮を摘出する本格的な手術になりますので、2・3日間の入院が必要です。手術費用のめやすは、オス猫の場合で1〜3万円前後、メス猫の場合で3〜6万円前後かかります。病院によってかなり差がありますので、事前に問い合わせてみるとよいかと思います。

 ・去勢・避妊、そして繁殖についてはさまざまな意見があり一概には何ともいえませんが、私個人的には繁殖を望まない場合及び、繁殖に適さない猫の場合は、きちんと手術をうけさせるのが、最良の選択だと思っております。


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