〜グリンスヴァールの森の竜〜 

〜グリンスヴァールの森の竜〜



カーテンから差し込む、朝の日差しで目が覚める。春先の朝方は、少々の寒さを感じるほどの冷え込みだが、幸いなことに、今朝は暖かな温もりに包まれて目を覚ました。
ベッドに横たわる俺の傍らには、全裸のユメがいて、今も幸せそうな表情で、寝息をたてて眠りの中に浸っている。

「すぅ………すぅ………」

幸せそうに、俺の腕を枕代わりに寝息をたてているユメ。昨晩は、かなり遅くまで行為を続けていたから、疲れて寝入っているのも仕方がないだろう。
ユメの口中に2回。胎内に3回、後ろの穴にも2回。その他にも注ぎ込んだことを考えると、俺としても張り切っていた方ではないだろうか。
そんな事を考えていると、欲情したのか、はたまた朝の生理現象か、俺の股間のものがいきり立ってきた。

「まったく、幸せそうな顔をしているな」
「んっ……?」

苦笑をして、俺はユメの乳房を触ると、桃色の突起を指でつまみ、こりこりといじってみた。幸せそうに眠っていたユメは、刺激を受けてか、寝顔に苦しそうな表情が浮かぶ。
すこし、刺激が強すぎたようだ。俺は少し反省すると、ユメの胸元に口を寄せ、赤ん坊のように乳房にしゃぶりつき、口に含んだ乳首を舌で玩んだ。

「んっ、ふぁっ……」

胸を玩んでいると、ユメの吐息が荒くなっていく。眠っている状態でも、身体はしっかりと反応しているようだ。それにしても、どうしたものかな。
寝起きでの生理現象と、ユメへの悪戯で、俺の股間はすっかりその気になっているようだ。このまま入れるのもありかと思うが……反応が無いのは面白くなさそうである。
と、そんなことを考えている時である。コンコンと部屋のドアがノックされると、メイド服姿の女性が一人、部屋に入ってきたのだった。

「失礼します………旦那様、起きていらっしゃいますか?」
「ああ、ラキか」
「っ………!? す、すみません。お邪魔をしたみたいで」

ベッドの上で、裸でいる俺とユメに面食らったのか、ラキはあわてて部屋を出て行こうとする。そんなラキを、俺は呼び止めることにした。

「ラキ、少し待て。朝から悪いが、少し付き合ってもらうぞ」
「旦那様……。は、はぃ」

俺が呼ぶと、ラキは控えめに頷いて、俺のいるベッドに歩み寄ってくる。何をされるか予想したのか、その目は熱く潤んでいるようだった。
ユメを起こさないようにベッドから降りると、俺は、傍に立つラキに強い口調で命令を下す。

「下着を脱いで、尻をこちらに向けろ」
「はい………旦那様」

俺の命令に従順に従い、ラキは下着を脱ぎ、剥きだしの尻をこちらに向ける。卵の殻のような滑らかな肌が俺の目に映る。
手を伸ばして尻部に触れると、ラキは恥ずかしそうに肌を振るわせた。そのまま菊座や花弁、太腿を撫でていると、ラキの身体内から蜜が染み出してくる。
俺はいきり立った分身を取り出すと、ラキの花弁に添えて腰を突き出す。俺の身体に慣れ親しんだラキの秘部は、すんなりと俺を受け入れた。

「んっ………はぁっ………」

挿入された俺の物を味わうかのように、ラキは身体を振るわせる。膣道がざわめくように震え、心地よい締め付けが断続的に送られてくる。
叩きつけるように腰を前後させると、しどしどに濡れた蜜壷から、次々と蜜があふれ出してきて、ぐぷっぐぷっと水音を響かせる。

「いい締め付けだぞ、ラキ」
「んっ、あ、ありがとうございます、旦那さまっ………」

快楽に震えながら、俺の言葉に嬉しそうな表情を見せるラキ。より深く繋がるために、俺はラキの太腿を抱えると、犬の小便のように片足立ちをさせ、突き上げる。
子宮に届けとばかりの激しい突き上げに、ラキは動悸を激しくし、送り込まれる快楽に身を震わせていた。膣が激しく振るえ、限界が近いことを訴え始めている。
俺は押し倒すように、ラキを仰向けに寝かせると、正常位の体勢でラキの身体を突き上げた。蕩ける様な快感に、腰の奥から熱いものが込み上げてくるのが分かる。

「っ………出すぞ、お前の中に。いいな、ラキ!」
「はいっ、来てください、旦那様………っ!」

俺の言葉に、ラキは意図的にか無意識にか、俺を離すまいと、両足を俺の腰に絡めてくる。ラキが学生の時は、身体の中に注がれるのに、躊躇う表情を見せる事もあった。
その当時は将来に対する不安、身篭ることへの不安があったのだろう。だが、俺付きのメイドとなったことで、そのような不安からは開放されたようであった。
むしろ、積極的に俺の子を身ごもろうかというように、ラキは膣で俺の物を締め付け、腰を絡めてくる。俺も、躊躇などするつもりは無かった。

「いい返事だ………孕ませてやるぞ、俺の子を、いいな!」
「は、いっ………私を旦那様のものに………っっ!!」

ひときわ激しい締め付けが起こり、解放された俺の精が、ラキの胎内に注がれ始める。断続的に、しかし、いつまでも終わらないような射精。
ラキは、まるで子供のように俺にすがりつきながら、身体の中に熱い精が注がれるたびに、ビクビクと身体を震わせて、達し続けているようだった。
全てを出し尽くすような長い射精の後、俺はラキから身を離す。床に倒れたラキは、打ち上げられた魚のように、荒い息をしながら口を開閉させるだけであった。

「ふぅ、なかなかに良かったぞ、ラキ」
「ご満足されましたか、ご主人様」
「――――!? なんだ、誰かと思ったら、クーか」

期待していなかった返答が返ってきたのに、いささか驚いた俺は、その声がラキのものではないことに直ぐに気がついた。声は、部屋の外から聞こえてきた。
俺にとっても聞きなじみのある声は、クーのものであり、おそらくはいつもの燕尾服姿で、部屋の外に立っているのだろう。

「はい、その通りです。食事の用意が整いそうだったので、ラキを迎えに行かせましたが、人選を違えたようですね。私が行けばよかったです」
「そうだったのか………それにしても、何だか言葉に棘があるな。ひょっとして、自分が抱かれなかったのが不満だったのか?」
「………」

俺の言葉に、返答は無い。図星だったのか、俺の言葉に呆れたのか、しばらくしてクーから投げかけられたのは別の用件だった。

「そろそろ朝食のお時間ですので、着替えてから食堂にいらしてください。急いだ方が良いと思いますよ」
「なんだ、随分と性急だな………食堂に何があるっていうんだ?」
「お忘れですか、ご主人様? 今日は週に一度の、リュミス様と朝食を取る日ですよ」
「――――あ」

言われて、思い出した。学園にリュミスが来て、最初の頃は常に一緒に食事を取っていたのだが………それでは俺の神経がもたないので、週一回にしてもらったのである。

「あまり待たせると、リュミス様の機嫌が悪くなりますし、急いだ方がいいと思いますよ」
「わ、分かった………ええと、きがえ、着替えはどこだ? ラキ………は、こたえられそうもないな。ユメ、起きてくれ!」
「んぅ………? どうかしたんですか、ブラッドさん」

寝ぼけた様子のユメから着替えの位置を聞きだすと、俺は大急ぎで着替えを済ませると、食堂に向かった。
普段の朝なら、急ぐ必要も無い朝の一幕なのだが、リュミスを待たせていると言うのなら話は別である。食堂に駆け込むと、そこにはリュミスが席に座って待っていた。
幸いな事に、機嫌は悪くなさそうだった。もし、怒りの表情をしていたら、冗談抜きで死を覚悟しなければならなかったが、どうやら助かったようである。

「すまないな。待たせてしまったか?」
「いいえ、私もついさっき来たところよ。立っていないで、座ったら?」

大きなソファに座ったリュミスが、自分の横の空きを手で叩きつつ、座るように促してくる。なるべくなら、物理的な攻撃を受けない対面の席に座りたかったんだが。
俺は、一つ覚悟を決めると、リュミスの隣に腰を下ろした。柔らかい感触のソファだったが、それより何より、横から突き刺さる、リュミスの視線が気になってしまう。

「何だか、ブラッドの身体から、甘い香りがするんだけど」
「あ、あー………それはだな。昨夜もその、色々と勉強をしていてな」

まさか、今さっきまでユメ、ラキと連戦してましたとは流石に言えず、そう言って誤魔化すと、リュミスは少し、感心したような表情になった。

「ふぅん、そうなの。ちゃんと勉強しているようね」
「ああ、まだまだ学ぶ所が多いからな。色々と、人の身体というのは興味深い。昨夜も遅くまで色々と調べていてな」

どうやら、真面目に勉強している事がお気に召したのか、リュミスは穏やかな笑みを浮かべている。

「そうなんだ………ふふふ」
「はっはっはっ」
「――――何が可笑しいの?」
「いや、すまない」

機嫌が良いと思ったのだが、どうやら、そうでもなかったらしい。唐突に笑顔を消しての冷淡な一言に、俺はとっさに謝っていた。
しかし、本当にリュミスの心情は理解しづらいな………ユメやフェイは、機嫌の良し悪しが分かりやすいのだが、そこの知れなさはルクルと良い勝負だろう。

「まったく、他の女の話ばかりするんだから…」
「ん、何か言ったか?」
「なんでもないわ」

そんな事を話していると…焼きたてのクロワッサンや、スープの皿をトレーに載せたメイドの少女が歩いてきた。幸い、リュミスの頭にスープを掛けたメイドではなかった。
俺とリュミスの前に朝食が並ぶ。さて、食べるとするかと、食器に手を伸ばした俺だったが、リュミスが腕を動かさないのを見て動きを止めた。

「その、リュミス?」
「何のために、隣に座らせたと思っているの?」

などと言いながら、俺をじろりと睨んでくるリュミス。つまり、これはあれだろう。俺に食べさせろという事なんだろうな。
まぁ、今さら恥ずかしがる事もないんだが。なにしろ、その手の奉仕活動は村にいるときから日常茶飯事だったからな。

「………ほら、あーん」
「ん」

ひな鳥に餌をあげる感覚で、開いたリュミスの口に料理を運ぶ。実の所、雛ではなく竜なのだが………大人しくものを食べる様子は、実は可愛らしかったりする。

「美味しいのか?」
「………うん」
「そうか。なら良いが」

結局、リュミスが食事を終えるまでに、かなりの時間を要する事になった。自分の分の食事を終えたリュミスは、満足した様子で席を立つ。

「それじゃあ、私は行くわね。くれぐれも、私の恥になるような事はしないようにしなさい」

言い終えると、リュミスは満足した様子で食堂を出て行く。残されたのは、俺と俺の分の冷めた朝食だけであった。

「ふぅ………さて、遅くなったが朝食をとるとするか」
「残念ですけど、その時間は無いと思いますけど」
「っ!? な、なんだ、クーか。驚かすな」

朝食に手を伸ばそうとした俺は、背後からの声に慌てて振り返り、リュミスが戻ってきたわけでない事を知り、胸をなでおろした。
背後に立っていたのは、執事服に身を包んだ少女だった。すまなそうな表情のクーは、苦笑交じりに俺に言葉をかけてくる。

「ご主人様、あと少しで受け持ちの授業が始まってしまう時間ですよ。リュミス様の約束の手前、遅刻するわけにもいかないでしょう」
「何!? もう、そんな時間なのか………やれやれ、まぁ、食事を抜いたくらいでは死にはしないが」
「とりあえず、教室に向かいましょう。途中で口に入れるように、サンドイッチを用意しましたから」

クーの手に提げられているのは、携帯食を入れるためのバスケットだった。用意をしてくれるのは嬉しいのだが、一つ、気がかりな事があった。

「そのサンドイッチは、まさかクーが作ったものなのか?」
「………なんだか、微妙に腹が立ちましたけど、私じゃありませんよ。部下の娘に作らせて置いたんです」

いささか腹を立てた様子のクーだったが、自分の料理の腕が壊滅的なのは自覚しているようで、開かれたバスケットの中のサンドイッチは、至極まともなものだった。
そのことにホッとして俺は席を立つ。そうして、クーを連れて食堂を出ると、歩きながらサンドイッチを口に入れ、クーに受け取った飲み物で喉に流し込んだ。
基本的に、食事にはそれほど気を回さない俺だったが、手製のサンドイッチも飲み物も、充分に美味しいと感じられる代物だった。
歩きながらの食事が終わると、クーはその場に立ち止まってペコリと頭を下げた。

「それでは、行ってらっしゃいませ、ご主人様」
「ああ。それでは行ってくる。昼食は、ゆっくり食べたいからな。クーの方で手配しておいてくれ」
「はい、かしこまりました」

俺の言葉に、クーはニッコリと笑って返事をする。さて、昼食は後の楽しみにとっておくとして、授業に気合を入れるとしよう。



「………で、手配した結果がこれか。風景はともかく、クーもユメも、その格好は何なんだ?」
「いえ、その――――料理の腕では、ご主人様の期待に添えませんので、せめて彩りを見せようと思ったんですけど」
「ちなみに、発案者は私で、色々と手回しをしてくれたのはクーさんなんですよ」

朝食のドタバタから時は過ぎて、昼下がり――――クーの手配した昼食の席は、春先の湖のほとりに設けられていた。
草の上に繊毛と呼ばれる敷物を敷き、ユメの用意した料理が並ぶ。そして、何より目を引いたのは、東洋の着物に身を包んだ、ユメとクーの格好であった。
温泉宿の浴衣に似た着物の色は、ユメが若草色であり、クーは紫色の服を着ている。二人とも、あつらえたように似合っていた。

「なるほどな。まぁ、二人ともよく似合っていると思うぞ。ユメは身体の線が強調されているし、クーは身体の細さが良く分かるからな」
「ふふっ、褒めていただいて、ありがとうございます」
「………なんだか、微妙に差異が感じられるような気がするんですけど」

満面笑顔のユメとは対照的に、クーは何となく浮かない顔。胸に両手を当てたその格好が、その心情を物語っているかのようだった。
さて、目の保養も済ませたことだし、食事を取ることにするか。俺は並べられた料理を食べるために添えられていた箸を手に取る。
から揚げや卵焼き、焼き魚などもあるが、どれから食べるとしようか。そんな風に考えていると、俺の傍らに座ったクーが箸で卵焼きをつかむとこちらに差し出してきた。

「ご主人様、どうぞ。私は料理が作れませんから、こういうことしか出来ませんが」
「ん、ああ。いただくとしよう」

俺は口を開けると、クーの差し出した料理をもぐもぐと咀嚼しながら、クーを抱き寄せる。そのままクーを膝の上に乗せると、その滑らかな頬を撫でて笑みを浮かべた。

「確かに、こういう趣向も悪くはないな。ただ食べるよりは楽しめるだろう。それで、次はどのようにして食べさせてくれるのかな?」
「あ、はい………そうですね。それでは、失礼します」

クーは、ほんの少し悩んだ後で、俺に抱きすくめられたままで起用に身体を曲げ、料理の中から唐揚げを箸でつかむと、それを自分の口に持っていった。

「ふぁい、ほうぞ」
「どうぞ、と言っているのか………それでは、遠慮なくいただくとするか」

唐揚げを口に咥えたままで、顔を近づけてくるクー。俺は唐揚げを一口に食べながら、クーの唇に吸い付くように唇を這わせた。
口内に物が入っているため、舌を使ってのディープキスは出来ず、しばしの間、唇同士が触れ合うだけのキスに終始する。
数分間、そうした後で………頬を赤らめたクーが身を離すのを確認してから、俺は口内の唐揚げを咀嚼して噛み砕くと、一息に喉を鳴らして飲み込んだ。
俺が喉を鳴らしたのを確認してたのか、クーがおずおずと感想を聞いてくる。

「あの…ご主人様。今の食べさせ方は、いかがでしたでしょうか?」
「ふむ………そうだな………悪くは無い。続けてもらおうか」
「はいっ」

俺の言葉に嬉しそうに頷くと、クーは再び料理を箸でつかむ。そうしてしばらくの間、俺はクーを箸代わりにして、ユメの食事を堪能したのであった。

「はい、ブラッドさん。食後のお茶はいかがですか?」
「ああ、ありがたくいただくとしよう」

料理をすべて食べ終えた俺に、ユメが緑茶を入れて差し出してくる。俺は腕を伸ばして茶を受け取ると、それを一息にあおった。東方の茶葉で喉を潤し、俺は一息つく。

「いかがですか、ご主人様? ご堪能いただけましたか?」

あぐらをかいた俺の膝の上に腰掛けながらクーがそんな事を聞いてくる。既に食事が終わったのだが、俺の膝の上が気に入ったのか、下りようとはしない。
俺としても、少女の抱き心地は悪くないものだったので、そのままの体勢でクーの質問に答えることにした。

「ああ、なかなかに楽しかったぞ。ユメの料理は、相変わらず美味かったしな」
「ありがとうございます、ブラッドさん。頑張ったかいがありましたね♪」

俺の言葉に、ユメは嬉しそうに微笑みを見せた。一方、クーの方は不満そうである。色々と奉仕をしたのに、俺の第一声が料理に関してだったのが不服だったようだ。
ただ、すぐにクーの不満そうな表情は消え、不安そうな表情にとって代わった。生真面目な性格のため、どこかに落ち度があったのではないかと考えたようである。

「ご主人様、私の奉仕の方はいかがでしたか? もし、不満な点があったのであれば、遠慮なく言って頂けると嬉しいのですけど」
「ふむ、不満な点か。無いようでいて、有るようでもある」
「――――? それは、どういうことなのでしょうか?」

俺の言い回しに、クーはよく分からないといった表情で小首をかしげる。困惑した表情のクーの顔。その桜色の唇が、誘うかのように光沢を放っていた。

「まぁ、つまりは……こういうことだな」

そういうと、俺はクーの両肩に手をあてると、着ていた着物を脱がしに掛かった。俺の唐突な行動に、クーは、ほんの少し驚いた顔をする。

「ご、ご主人様!? こういう事っていうのは………?」
「まぁ、つまりは――――料理ではなく、クーを食べたりないということだ。分かったか?」
「………そ、そういうことでしたか」

俺の言葉に、照れたような表情で、なすがままにされるクー。着物の前が、はだけられて、クーの鎖骨からお腹の辺り、そして、可愛らしい下着までがあらわになる。
着物の着こなしのためなのか、下着は下半身の物のみで、胸に着けるはずのブラジャーは無かった。まぁ、つけても意味のあるものかは、分からないのであったが。

「……ご主人様? なんだか物凄く、憐れみのこもった視線を感じたのですけど」
「それは気のせいではないのか? さて……早速、頂くとするか。まずは木苺のような、この部分からにしよう」
「んっ……」

桃色の乳首に口付けをして、軽く歯を立てると、クーは気持ち良さそうに声を漏らす。胸の小さな女は感度がいいらしいが、クーもその例に漏れないようだった。
飴をしゃぶるように乳首を吸い、舌を這わしながら、股間の付け目に手を伸ばす。指先で下着に隠された秘所を弄ると、じっとりと濡れた感触があった。

「ふむ………濡れているようだが、どうもこれは、今しがた濡れたものではないようだな……いつからなんだ?」
「う、そ、それは――――食事中に、ご主人様に奉仕をしていた時にです」

俺の質問に、クーは照れた様子でそう答える。どうやら、食事中に俺に食べさせる行為の最中に、感じ入って濡らしてしまったらしい。

「そうか……それにしても、ここまで濡れているとはな。ひょっとして、期待していたりしたのか?」
「んっ、は、はい………ほんの少しですけど。今朝のこともありましたから」

今朝とは、起こしに来たラキを勢いで抱いてしまった事だな。あの時も、何となく嫉妬めいた感情をクーから感じたような気もしたが、気のせいではなかったのか。
さて、準備が整っているのであれば、遠慮なくいただくとしようか。俺は、クーの身体を幼児が用をたす様な体勢で抱えると、昂っていた肉棒を、彼女の膣に埋没させた。
愛液でトロトロに溶けた膣中に、ずぶずぶと分身が埋まっていく。小柄なクーの身体は、何度抱いてもきつく、俺の物を締め付けてきた。

「っ………ふぅっ………ご主人さまっ……!」
「なかなかに、いい具合だぞ、クー。ほら、もっと締め付けてみろ」
「っ、は、はいっ………ひゃっ!?」

俺に身体の中心を貫かれたクーが、慌てたような声をあげる。何事かと見てみると、着物をはだけ、下着姿になったユメが、身を屈めてクーの秘所に舌を這わせていた。

「んっ………二人だけで楽しんで、私だけ仲間はずれはずるいです。私も、混ざりますね」

そう言うと、ユメはそのまま、俺とクーの結合した部分に舌を這わせる。クーの陰茎や花びらだけでなく、俺の肉棒の竿にも舌の感触があり、なかなかに気持ちが良い。

「んちゅっ……どうですか、気持ち良くなってます?」
「ああ、良い感じだ。そのまま続けてくれ」
「はっ………! だめっ………ご主人様のが、奥に当たって………っ!」

下から突き上げられて、ユメに敏感な部分を舐められながら、クーは切なげに吐息を漏らす。子宮口の入り口をノックされてその身体は瘧がかかったように震えていた。
心地よい締め付けに気を良くした俺は、小柄な身体を乱暴に上下にゆする。荷物のように乱暴に扱われながらもクーの身体は反応し、蜜を滴らせている。

「んっ、くっ、うぁっ………!」

途切れ途切れのクーの声は、言葉にはなっておらず、喉の奥から搾り出すような声は、早くも達しようとしているようであった。
ヒクヒクと蠢く膣内、まずは一度、クーの胎内に出しておこうと、腰をつかみ、激しく上下に揺さぶった。ぐぷぐぷと結合部が蜜音を響かせて射精感がこみ上げてきた。

「っ、すごい……クーさん、気持ち良さそう」
「ぁっ、あ、あ、ぁぁぁぁぁぁ――――!」
「くっ………出すぞっ」

ひときわ大きい声をあげ、クーが両足を突っ張らせて絶頂を迎えると、彼女の膣が俺の分身から精液を搾り取るような、締め付ける動きを見せ始めた。
激しい締め付けと、それを俺が与えたという征服感――――その心地よさに酔いしれながら、こらえていたものを開放する。
背中に電流が走ったような痺れと共に、俺の精液がクーの身体を満たしていく。腹の中に精液を注がれる感覚に、クーは気持ち良さそうに身を震わせていた。
貫いた肉棒を抜き出し、クーを繊毛の敷物の上に横たえる。クーは荒い息をしながらも、満足そうな表情で薄い胸を上下させていた。と、

「クーさんは、満足されたみたいですね。ブラッドさん、次は私をお願いしますね」

艶のある微笑みを浮かべながら、ユメが身を摺り寄せてくる。俺とクーの情事を間近で見せ付けられて、すっかり興奮しきっているようであった。
下着を脱がし、ユメの股間に手を伸ばすと、指先に濡れた感触を感じる。どうやら、既に俺を受け入れる準備は出来ているようだった。
既に回復し、そそり立っている分身をユメの中に突き入れると、大した抵抗も無く、ずぶずぶとユメの中に入っていく。
しかし、抵抗が無いといっても、ユメの膣内は俺の分身をギュウギュウに締め付けにきており、その心地よさに、すぐにでも精を放ちたい欲求に駆られるほどであった。

「随分と、こなれているな……俺とクーの情事を見て、自分で慰めていたようだな」
「んっ……ブラッドさんっ…………ああっ」

艶やかな肌の、白いうなじに指を這わせると、ユメは気持ち良さそうに身を震わせる。その身の震えが、結合している部分にも伝わってきて中々に心地よい。
しかし、直接的な粘膜の接触に比べれば物足りないのは事実であり、俺はユメの腰をつかむと、遠慮無しにユメの体を貫いているモノを前後させることにした。
グプグプと水音を立てて、ユメの膣内を俺のモノが前後する。心地よい締め付けに、俺は理性を放り投げるかのように、荒々しく腰をユメに叩きつけ続けた。

「ひ、ああ、うぁ、あああっ………!」
「くっ………」

高ぶりが絶頂に達し、搾り取るような動きを見せるユメの膣内に、俺は背筋を駆け上がってくる快感のままに、精を迸らせた。
びゅるびゅると身体の奥から飛び出していくような、そんな射精感に脳髄を支配され、頭の中が真っ白になったような間隔のまま、俺はユメの身体に精を注ぎ込む。

「っ………っ………!」

子宮に直接注がれる、精の感触のたびに絶頂を迎えているのか、声も無く、幾度も身を震わせるユメ。そうして、出せる分だけの精を注ぎ込んだ俺は、腰を引いた。
ユメの愛液と俺の精が混じった、どろりとした粘液が、ユメの膣からあふれ出る。それをぬぐう気力も無いのか、仰向けに寝転んだユメは満足げに荒い息をついていた。
しかし、鋭気を養うために昼食をとったというのに、どちらかというと、出す方が多かったような気もするな。まぁ、元気にはなったわけだが。
そんなことを考えながら、俺はユメの頭を撫でる。頭を撫でる俺の手が気持ちよいのか、ユメは心地良さそうに、瞳を細めたのであった。



……その後、どうにか落ち着きを取り戻したクーに、昼食の後片付けを任せると……俺は、午後の授業の準備の為に、東方研究所の中にある研究室に向かう事にした。
竜に関する講義は、どうにもマイナーなものらしく、今年になっても生徒数はそれほど増加してはいなかった。とはいえ、数が少ないからと、手を抜くわけにもいかない。
俺の受け持つ生徒達には、きちんとした知識を身に付けてもらおうと、俺自身も暇を見つけては、竜に関する文献を読み、マイトに手紙を出しては相談したりもしていた。
とはいえ、竜である自分自身でさえ、分からない事が多々あるのである。これで生徒達にものを教える事ができるのかと、常々、疑問には思っていたのであったが。

そんなことを考えながら、研究室のドアに掛かっていた鍵を開けると、俺は室内に入ることにした。
大きな机と幾つかの本棚が壁に設えてある研究室は、文字通り研究を進めるための環境が整った部屋であり、勉学に集中することが出来る。
とはいえ、設備が整っていれば、頭が良くなるというわけでもなく、もっぱら、この研究室の使用意義は、フェイとの逢引とかに使われる方が多いのだった。
まぁ、今日のところは普通に勉強をするとしよう。俺は、昼休みの残った時間を使い、竜に関する知識を深める事にしたのだった。

そんなこんなで昼休みも終わり、俺は授業を始めるために、割り当てられた教室に向かう事にした。
昼休み終了の予鈴が鳴り、次の授業が始まるまでの、僅かな時間帯は――――…教室移動をする生徒達の群れを、学園内のそこかしこで見かけることになる。
広大な敷地内ということもあり、生徒によっては駆け足での移動を強いられる者も居るようだった。そんな事を考えながら、舗装された道を歩いていく。
と、軽やかな足跡と共に、歩く俺の横を、駆け抜けて行く生徒がいた。ポニーテールを揺らして走っていた少女は、俺のことに気づいたのか、急停止をする。
くるりと反転をした少女は、小走りに俺のもとに駆け寄ってくる。短パンとタンクトップという身軽なスタイルの少女は、満面の笑顔で俺に飛びついてきた。

「ブラッド先生、見ーつけた!」
「なんだ、オリエか。今日もトレーニングか?」
「うん。フェイ先生から、いつも身体を鍛えていろって言われてるから。ブラッド先生は、今から授業なんでしょ?」
「ああ。っと、汗くさいぞ、抱きつくな、オリエ」

子猫のように、じゃれ付いてくるオリエの額を指先で押し返すと、流石に不満だったのか、オリエはふくれっつらで俺を見返してきた。

「汗くさいってのは、ひどいなぁ。私だって女の子なんだよ、先生ってばさ」
「ああ、怒るな怒るな。しょうがないやつだな。ほら、ちょっとこっちに来い」
「ん? 何?」

俺が手招きすると、無警戒にひょこひょこと近寄ってくるオリエ。玉の汗が浮かんでいる顔を見かね、俺は懐からハンカチを取り出すと、その顔を吹くことにした。

「まったく、こんなに汗をかいて……」
「んぅ……くすぐったいよ、先生」
「ほら、動くな。まったく……何故、私がこんな事をしているんだか」

気まぐれに始めたことなので、数秒後には飽きたのだが、途中でやめるのも何となく良い気分にはならなそうなので、結局、オリエの顔を全部拭くことになった。

「――――拭き終わったぞ。今度からは、抱きつく前には、きちんとシャワーを浴びるようにな」
「うわ、なんだかそう言うと、やらしく聞こえるなぁ」
「…………そうかもしれんな」

けらけらと笑うオリエに、俺は苦笑する。他の女生徒が、歳相応な態度を取ったり、大人びた言動をする中で、オリエは何と言うか、女の子のままであった。
恋愛ごとに興味があるといっても、花より団子と言うか………軽い様子で俺に接してくるのは、ある意味、好意的に感じられる部分であった。

「それじゃあ、私はもう行くね。まだまだ、走り込みをしなきゃいけないから」
「ああ。私が言うことでもないと思うが、あまり無理はするなよ」
「はーい、分かってます」

俺の言葉に、元気よく敬礼をすると、オリエは軽い足取りで走り去っていってしまった。やれやれ、元気な奴だな。まぁ、そう言うところが魅力的なんだが――――

「ふぅん、あの娘と、随分と親しそうね、ブラッド」
「!?」

と、そんな事を考えていた矢先、背後から、地の底に住む悪霊のように、低い声が聞こえてきた。頬に嫌な汗が流れるのが、自分でも分かった。
壊れたゼンマイ仕掛けの人形のように、ぎぎぎと振り向くと――――案の定、そこには腕を組んで、不機嫌そうな表情のリュミスが仁王立ちをしている所であった。

「リュ、リュミス……? いつからそこに?」
「さっきからよ。ブラッドを見かけたから、声を掛けようと思ったんだけど、いきなり貴方に抱きつく娘がいたものだから、出る機会を逃しちゃったのよ」

そういいながら、組んでいた腕を解くリュミス。何と言うか、俺にはその動作が、肉食獣が獲物に飛び掛るために、身を屈める動きに見えた。
その予想は、あながち間違いではないのだろう。自由になった両手が、せわしなく握られたり開かれたりしている。
何かの弾みで、その手首が翻り、俺に強烈な張り手や殴打を浴びせたことが、過去に何度もあったのを、身体が覚えていた。

一目散に、逃げ出したい所だが、逃げれば確実にリュミスの機嫌を悪化させるだろう。俺に残された選択は、留まって死ぬか、逃げて死ぬかの不本意な二択であった。
せめて、半殺しくらいで済ませてもらいたいなと、冷や汗をだらだらと流しながら、俺は判決の時を待つ。そんな俺の目の前で、リュミスは俺に向かって腕を伸ばすと、

「え?」
「動かないで。まったく、こんなに汗をかくなんて……そんなに暑いとは思えないんだけど」

いつの間にか、その手にハンカチが握られており、それが俺の顔に押し当てられていた。てっきり、怒声と共に、拳が飛んでくると思っていた俺は、目を丸くする。

「リュミス、いったい何を……?」
「何を、って、見れば分かるじゃない。汗を拭いてあげてるのよ。まったく、だらしないんだから……」

そんな事を言いながら、笑顔で俺の顔を優しく拭いてくるリュミス…………これは、何かの罠だろうか?
油断した所で、唐突に攻撃を仕掛けてくるんじゃないだろうか……そんな風に不安を感じだ俺だったが、幸いなことに、その心配は杞憂に終わった。
ガチガチに固まっていた俺の顔を拭き終わると、リュミスは手を下ろして俺を見上げる。そこには先ほどまでの怒りが、綺麗さっぱりと消え失せていたのであった。

「はい、これで終わりよ。あなたは私の婚約者なんだし、身だしなみには気を付けなさい」
「あ、ああ。気をつけることにする」
「そうしなさい。それじゃあ、私は行くわね。精々、婚約者の名に恥じないように精進しなさいよね」

そう言うと、リュミスは丈の短いスカートを翻し、歩き去っていく。その後姿は可憐であり、普段なら思わずも見とれてしまう所だっただろう。
しかし、そのときの俺はと言うと――――予想もしなかったリュミスの行動に戸惑い、呆然とその後姿を眺めていたのであった。

「………な、なんだったんだ、いったい」



「――――うーむ」

その日の夕刻。人気のなくなった夕暮れの職員室で、椅子に座りつつ、俺は悩むように頭をひねっていた。その悩みの原因は、無論、リュミスのことである。
リュミスが学園に来てからというもの、気の休まる暇というものが無い。いつキレたリュミスにボコボコにされるか、分からない状況では気も抜けない。
ただ、ここ最近のリュミスは何故か大人しく、挨拶代わりに半殺しにあうようなことも無かったのだが。
それはそれで、何となく寂しいような不思議な昨今――――言っておくが、別に、俺が変な性癖を持っているわけではない。

言うなれば、リュミスのことを持て余しているというのが現状であり、彼女の態度の解せない点が俺を悩ませていたのだった。
くりかえすが、ここ最近のリュミスは大人しい。暴力を振るうことも無く、時には優しい態度を見せることもある。
それはそれで、良い事だと思うのだが――――いままで、散々な目にあってきた過去の経験から、手放しに喜んでいいのか疑問な所であった。

「そういえば、人間の組織の中には、殺す相手に花束を贈りつける慣わしがあると、前にどこかの本で読んだような気がする」

………もし、そうだとすれば、いわゆる今は、嵐の前の静けさというやつではないだろうか?
安穏とした状況にホッとしていたら、さっくりと殺られていた。なんて事になったら洒落にもならない。
やはりここは、油断もせず、細心の注意を払ってリュミスと接するべきだろう。まぁ、リュミスを前にすれば自然にそうなってしまうのだが。

「しかし、今さらながらだが……本当に良いのだろうか?」

椅子から立ち上がりながら、俺の口からは自然と、そんな呟きが口から出る。言葉の指し示すのは、これからリュミスと過ごす時間のことだった。
週に何回か、リュミスは俺の部屋でメイド達に用意させた夕食を一緒にとり、そのまま一夜を過ごすことがあり……今日もそうなる予定である。
一夜を一緒に過ごすと言うのは、まぁ、ベッドで一緒に寝るわけで、俺は指や舌でリュミスを満足させるまで奉仕させられるのだった。
長いときは、夜明けまで奉仕させられる事もあったが、それくらいなら問題はない。俺もリュミスも竜であり体力だけはある。
ただ、こういった行為がエスカレートした場合、いよいよ、しなければならないわけなのだが――――俺と、リュミスが……俺が、リュミスと?

「うーむ…――――やはり、想像がつかん」
「何がですか、御主人様?」
「っと、なんだ、クーか。どうかしたのか?」

職員室から出たところで、溜め息混じりに呟いた途端、ちょうど迎えに来た執事の少女と鉢合わせになった。
まぁ、執事のーと前置きしてはいるが、クーは学園の制服に身を包んでいるわけだが、それは言わないお約束と言うものだろう。

「リュミス様に命じられて、御主人様へ言伝を伝えに参りました。逃げ出す事は無いでしょうけど、遅れたら許さないとのことです」
「…………やれやれ、信頼されているのかいないのか」
「なんだか、お悩みみたいですね」
「――――まあ、少しな」

職員寮に向かうため、廊下を歩きながら、俺は付き従ってくるクーに目を向ける。そうだな、少し、リュミスの件で相談をしてみようか。
立場は違えど、彼女もまた、リュミスに振り回されているうちの一人である。建設的な意見が聞けなくても、愚痴を言うだけでも気は楽になりそうだしな。

「ここ最近の、リュミスのことなんだが」

そう前置きして、俺はここ最近のリュミスの態度の変貌と、それに対する戸惑いについて話すことにした。
優しくされるのは嬉しいはずなんだが、どうにも釈然としないことを口にすると、クーが呆れたような顔をする。

「……優しくされたのでしたら、素直に喜べば良いのではないですか?」
「いや、しかしだな。これまでのリュミスの態度を考えれば、何かあると疑ってかかるべきだろう?」
「はあ、そういうものですか」
「村にいたときは、顔を合わせるたびに殴られたり首を絞められたり、常に暴力を受けていたからな」

いつも暴力しかふるって来ない相手に急に優しくされても、どうリアクションして良いのか、分からない。
これが、ライアネとかだったなら、素直に喜べるのであるが……何か裏があるのかと戦々恐々とした気持ちになる。

「こんな気持ちでリュミスと一夜を過ごして、大丈夫なだろうか……いざとなったとき、勃たないのではと不安になっている所だ」
「随分と、自信なさげですね……処女の扱いや女性を感じさせる方法については、御主人様の力量なら問題ないと思いますけど」
「――――そうはいってもな、相手はリュミスだぞ?」

果たして今までの方法で、満足させることが出来るのか、自信はないし、確証も、もちろんない。
これから過ごす、リュミスとの時間に暗澹たる思いを抱いていると、そんな俺を見ていたクーが、小さく溜め息をついた。

「……良くも悪くも、ご主人様にとっては、リュミス様は特別な存在ということですね。少々、妬けますが」
「どういうことだ?」
「いえ、理解されておられないのでしたら、私の口から言うべきことではないでしょうから」

そういうと、クーはニコヤカ笑顔。なにやら、悪巧みを考えているような、底の見えない微笑みを見せられて、俺は何となく不安になる。
とはいえ、言及する時間はない。リュミスとの約束の時間も迫っているし、待たせるわけにはいかないのであった。

「まあ、いい。俺は急いで部屋に戻らなければいけないが、クーはどうする?」
「私は、することが出来た――――…いえ、する事がありますので」
「そうか。それではな」

歩調を緩めるクーを置いて、俺は急ぎ足で廊下を歩く。早めに部屋に戻っておくに越した事はないだろう。
校舎を出てから、木々の立ち並ぶ街路を抜け、職員寮に向かう。部屋の戸を開けると、良い香りが室内に漂っていた。

「あ、おかえりなさいませ、ご主人様」
「いま、夕食の準備をしているところですよ」

部屋の中にいたのは、同じ格好に同じ立ち姿……小柄で華奢な身体つきの二人のメイドである。
クーに付き従って、学園に編入して来たメイド達は、俺とリュミスの身の回りの世話を、持ち回りで行っている。
おかげで、ここ最近は生活面で色々と助かっていることが多い。家事やら何やらは、やはり手間が掛かるものだからな。
以前は、ラキが定期的に部屋を掃除してくれていたが、最近はほぼ毎日、メイドの誰かが部屋に上がりこんでは清掃をしているようだ。
まあ、逆に言えばプライバシーも何もあったものではないのだが……そのあたりは巣にいる時と変わらないので、あまり気にかけないようにしている。

ともあれ、部屋に勝手に上がりこんで料理を作られていても、今さら驚くようなことではなかった。
メイドが気を使って引いてくれた椅子に腰掛けながら、俺は室内を見渡す。隅々まで手入れの行き届いた室内に、リュミスの気配はない。

「リュミスは、まだ来ていないようだな」
「はい、もうしばらくしたら、お越しになると思いますよ。それまで、ハーブティはいかがですか?」
「そうだな、いただくとしよう」
「あ、それと、こちらもどうぞ」

テーブルに着いた俺の前に、一人が香り立つハーブティを、そしてもう一人は、薄く焼いたパンにベーコンとレタスを挟んだサンドイッチを、皿に載せて差し出してきた。

「これは?」
「リュミス様との食事は、ご飯を食べさせることが多くて、ご主人様は、あまり食事を取る余裕はなさそうですから………今のうちに、お腹に物を入れておいたほうが良いかと」

リュミス様には、内緒ですよ。と悪戯っぽく言って、人差し指を唇に当てるメイド。
クーの差し金か、それとも自分自身の判断かは定かではないか、気の効いた事ではある。とりあえず、リュミスが来る前に、口に入れてしまうとしよう。

「ふむ………なかなかに美味だな」
「ありがとうございます」

俺の言葉に、一人が嬉しそうに頭を下げている間に、空になったサンドイッチの皿を、手早くもう一人が回収し、あらってしまう。
証拠隠滅工作も、なかなかのものだな。と、ハーブティで喉を潤しながら、俺は、リュミスが訪れるまでの時間を、まんじりと過ごす。
正直、腹に物を少し入れたせいで、余計に空腹を感じてはいるが、完全に空きっ腹で夕食を迎えるよりは、幾分か余裕を持つことができていたのだった。
そうして、時を過ごしているうちに、部屋の扉をノックする音がし、ついで、豪奢な空気を身にまとったリュミスが、部屋に入ってきた。

「来たわよ」

ぶっきらぼうに言い放ち、部屋内を一瞥するリュミス。どうにも、何となく機嫌が良くなさそうな雰囲気だった。
とりあえず、俺は自分の席から立つと、彼女のための席の傍らに立ち、椅子を引く。

「ああ。いらっしゃい………とりあえず、こちらに座ってくれ」
「――――ええ」

俺の言葉に、リュミスはこくりと頷くと、席に座る。俺も、あらためてリュミスの隣に座ることにした。
竜の巣の豪奢な部屋と違い、こじんまりとしたテーブルと椅子の組み合わせ。本来なら、対面に座るほうが食事はしやすいのだが。
ただ、何故かここ最近は、暗黙の了解で、共に食事をするときは、俺がリュミスに食事を食べさせるような流れになってしまっており……並んで座ることが多くなっている。
まぁ、俺としては、どちらでも良いのだが………並んで座ったほうが、リュミスの機嫌が良くなるので、身の安全も考慮し、こういう席次になっている。
もっとも、本気でリュミスが切れたときは、至近距離にいる分、逃げ場もないというものだが。

そんな事を考えている俺の前に、手馴れた様子でメイド達が料理を並べていく。若鶏の香草焼きに、オニオンスープ………他にも、様々に手の込んだ料理が食欲をそそらせた。

「さて、それでは食事をするとしようか。それで、どれからにするんだ?」
「――――…」

俺の言葉に、リュミスは無言で俺を一瞥した後、料理に視線を向ける。
ここ最近、何度か食事を一緒にとってきたこともあり、リュミスがどの料理を食べたいと思ったのか、その仕草で何となくわかるようになってきた。

「ああ、まずは鶏肉か――――……はい、切れたぞ」
「……あむ」

食べやすいように切り分けた鳥の肉を、フォークで刺して口元に運ぶと、リュミスは無言で、その肉を口中に入れて咀嚼する。
無心で食べ物を頬張る姿は、見ていて心が和むというか、こういう時のリュミスは、正直、可愛らしいのではないかと、慣れてきた今では思ったりする。
もちろん、口に出した瞬間に、張り倒されそうな気がするので、そういった台詞を言うつもりは全くなかったのだが。

「…………(こくん)」
「さて、次はどれにしようか? また肉にしようか、それとも、スープにするのか?」

後で考えると、自分でも呆れるくらいに、甲斐甲斐しくリュミスの世話をする俺。
半分は、リュミスのご機嫌取りという面もあったが、なんというか、こうして彼女の世話をするのに、何となく幸福感を感じれていることも確かだった。
案の定――――メイド達に心配されたとおり、俺自身は、殆ど食事を取れなかったが、それもあまりに気にはならなかった。
…………なんというか、慣れというのは怖いなと、後になって思う俺であった。

そうして、リュミスとの食事の時間も終わり、後は寝るだけである。まあ、その寝るというのが、色々と問題なのだが。
まさか、添い寝だけで済むはずもなく、かといって、一線を越えてよいものか、微妙な状況であり、俺としてもここ最近のリュミスとの同衾は、悩みの種であった。
まぁ、考えていても仕方ない。なるようになるだろうと、半ば開き直った気分で、お茶をすする俺。
食卓に並んで座る、俺とリュミスの眼前では、メイド達があわただしく、食事の後片付けを行っている。
彼女達が、全部の後片付けを済ませて部屋を出ていってから、リュミスとの夜の時間が始まるのが、恒例の流れであった。

「それでは、私達は失礼しますね」
「おやすみなさいませ」

やがて――――後片付けを済ませたメイド二人が、俺とリュミスの前に並び、行儀良く一礼して、部屋を出て行こうとする。
特に言いつける用事もないため、俺は二人が部屋を出るのを無言で見送ろうとした。だが、

「待ちなさい」

と、制止の声が意外なところから上がったのである。部屋を出て行こうとするメイド達を呼び止めたのはリュミスであり、珍しいことであった。
普段は、よほどのことがない限り、メイド達を空気のように扱っているリュミスである。彼女からの声掛りに、メイド達も戸惑ったように踵を返して戻ってきた。

「あ、あの、どうかなさいましたか? 何か、お気になられることがありましたでしょうか」
「…………」

メイドの質問に、リュミスはというと、じっ、と二人の格好を上から下まで一瞥する。なにやら、考えているようだが、どうしたんだろう?
俺の目からすれば、彼女達の行動に落ち度らしき点は見られなかったが、いったい、リュミスは何を考えて二人を呼び戻したのだろう?
と、そんな風に考えていると、横に座ったままの、リュミスの唇が動いて、小声での呟きが聞こえてきた。

「あれは練習台、あれは練習台、あれは練習台………」
「りゅ、リュミス………?」
「――――ブラッド」
「は、はい!」

なにやら、ドスのきいた声のリュミスに、思わず背筋を伸ばして返事をする俺。いったい、何を言うのだろうと、俺はリュミスの次の言葉を待つ。すると……

「――――…今夜は、この二人も加えてするわよ」
「―――――――――は?」

正直、どう捉えていいのか分からない発言をリュミスが口にして、俺は目を点にしてしまったのであった。
リュミスの言葉が、想像の範疇外だったのは、俺だけではないようで、メイドの二人も、ノーリアクションのまま固まっていたりする。

「……どうしたのよ、ブラッド? 呆けた様な顔をして」
「いや、その、なんだ………すまない、リュミス。頭の悪い俺にもわかるように、説明してくれると嬉しいんだが」
「だから、今夜は私の相手をしながら、この二人を抱けって言ってるのよ………口にしたら、なんか腹が立ってきたわね」
「ええと、それは、なんでまた?」

メイド達を抱けと言ったのは自分であるのに、不機嫌そうに顔をゆがめるリュミス。
そんな彼女を極力刺激しないように気を使いながら、俺は事の次第を聞くことにしたのであった。俺の問いに、リュミスは唇を尖らせる。

「だって、実際にブラッドがどうやって女を抱くか、詳しくは知らないんだもの。私にも予備知識は必要なのよ」
「――――……ああ、そういうことか」

つまり、あれだ。俺がメイド達を抱く場面を実際に見て、自分がどういうことをされるのか、知ろうということなのだろう。
そういった行為をリュミスが怖がるとは思えないが、プライドが高いから、実際に俺とする時に、恥をかきたくないということなのだろうな。
しかし、本人はそれほど乗り気というわけではないし、自分で考えたというより、誰かに吹き込まれたという感じみたいだが――――…

(まぁ、心あたりというと、クーぐらいしかいないんだが)

夕食の前に、リュミスとの夜の時間についての不安を告げた俺を見て、俺とリュミスの間にワンクッションを置こうということなのだろう。
確かに、今の状態で、ぶっつけ本番でリュミスを抱くよりは、リュミスに見られているとはいえ、メイドを抱くほうが、俺としてはプレッシャーを感じずに済みそうではある。
不安要素は、出来るだけ排除した方が良いだろうしな。その点では、名案ではある――――何故か、リュミスの機嫌が宜しくない事を除けば、であるが。

「そういうわけだから、練習台代わりに、この二人も加えようって事なの。何か不満はある?」
「いや、俺は別に構わないんだが………リュミスは良いのか? 何だか、嫌そうに見えるんだが」
「……イヤに決まってるじゃない」
「ん?」
「なんでもないわよ。つまり、そういう事よ。何なら、この二人を外して、他のメイドを練習台にしても良いけ――――」

と、リュミスが言葉を続けようとした、次の瞬間である。

「「いえ、是非ともやらせてください!」」

と、俺とリュミスのやりとりを黙って聞いていた二人のメイドが、妙に意気込んだ様子で、異口同音に口を開いたのであった。
ぽかんとするリュミスの眼前で、メイド達は、喜色満面といった様子で、互いに手を取り合って、はしゃいだ様子を見せる。

「ご主人様に、ご奉仕出来るなんて、学園に来てよかったね」
「うん。こういう機会があったらなあって思ってたけど、先発隊に志願して正解だったかも」

きゃー、と黄色い声を上げるメイド二人。普段は、俺の生活の妨げにならないようにと、つつましげに振舞っているが、基本は年頃の少女達である。
こうした時に地が出るのは、微笑ましいし、それなりに可愛げがあるとはおもうんだが……リュミスの表情が険しくなっているのは、どうにかならないものか。

「…………こうしたのも、人徳というものなのかしらね?」
「まぁ、彼女達の忠誠心には、感謝の言葉も無いが」
「――――ふん、まぁいいわよ。異論が無いのなら、問題も無いでしょう。早速、始めるわよ」

そういうと、不機嫌極まりないという風に、リュミスは席を立ち、寝室に向かう。
やれやれ、という風にこっそりと溜め息をついた俺であったが、その腕を両脇からガッチリと押さえられた。
見ると、俺の両腕には、それぞれメイド達が腕を絡ませて、ガッチリとホールドしている。ちなみに、右のメイドのほうが、胸が大きいようだ。

「さぁ、ご主人様、リュミス様を待たせてはいけませんし、早く行きましょう♪」
「それはそうだが……何だか乗り気じゃないか、お前達?」
「はい。ご主人様の御寵愛をいただけるのは、私達としては願ったりかなったりですし♪」

喜色満面、といった様子で、俺に身体を密着させてくるメイド達。竜である俺にとっては、拘束力など皆無に等しいのだが。
しかし、こういったときは、男のほうが乗り気なものになるものなのだろうが、一向にそんな気にならないのはなぜだろうか。
まぁ、理由は一つ。リュミスの機嫌が、いま一つという点に尽きるだろうが。
とはいえ、女を抱くという行為をするという事には、しっかりと身体が反応しているのか、血が滾り始めているのが、何となく感じられた。

「「さあ、行きましょう、ご主人様」」

楽しげな二人のメイドを、左右にぶら下げるように抱きつかせるままに、俺は寝室に向かう。
色々と不安な面はあるが、まぁ、なるようになるだろうと思えるのは、それなりに場数を踏んでいるからなのかもしれない。



酒精の香りと、女体の芳香――――寝室に場所を移した俺達は、互いに服を脱ぎ、下着姿になった。
今、俺はベッドの上でメイドの一人を相手に愛撫を行っている。ベッドの傍らに置かれた椅子にはリュミスが座り、もう一人のメイドが、下着姿で給仕をしている。
ちなみに、景気づけという名目で、行為に及ぶ前に、全員がワインを一杯ずつ飲み下している。クーからの差し入れらしいのだが………何やら、一服盛られたようだ。
無論、毒の類というものではない。どちらかというと、媚薬のようなもので、酩酊感というよりは、興奮作用を強めるものなのだろう。





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