〜戦国恋姫艶絵巻〜 

〜月ノ下フーガ・艶〜



――――――――

【久遠】
「んっ……剣丞っ、ん……ちゅぱっ」

久遠の頬に手を添えて、花びらのような唇をついばむ。

ひな鳥に口付けるような優しさで唇をついばんでいると、
ふわりとした特徴的な香りが、鼻をくすぐった。

薄荷の香り……口に感じる甘さとは別の、久遠の甘さを感じつつ、
彼女の身体に覆いかぶさるようにする。

【久遠】
「あ……け、剣丞……その、だな」

【剣丞】
「なんだい、久遠?」

【久遠】
「その、笑うでないぞ。我は、こういった事にはその、なんというか、無学でな」

【剣丞】
「………」

【久遠】
「笑うなと言っておろう! まったく」

【剣丞】
「ごめん、でもさ、なんか嬉しくて」

【久遠】
「……? なんだ、変なやつだな」

【剣丞】
「その変なやつを旦那にしたのは、誰かな」

そっと久遠の髪を指先で梳きつつ問うと、久遠はその手を愛おしそうに撫でて、目を細める。

【久遠】
「それは……我だ。まったく、自分でも呆れるほどの物好きではあるな」

【剣丞】
「ひどい言われようだなぁ。俺はこんなに、久遠のことを好きなのに」

【久遠】
「だ、だから貴様のそういうところがだなぁ……んっ」

会話を中断し、再び久遠の唇に吸い付く。

そうして、キスを繰り返しながら、久遠の身体を覆う衣類を、脱がしに掛かった。

俺の手が服に掛かると、久遠はほんの少し怯えたような顔をしたが、
抵抗するそぶりを見せることもなく、久遠は服の下に隠された素肌をあらわにする。

宵の寒さのせいか、それとも心細さのせいなのか、下着一枚を残した久遠の身体はわずかに震えていた。

【剣丞】
「怖い?」

【久遠】
「こ、こわくなんかないぞ。そういう剣丞は、どうなんだ」

【剣丞】
「そうだな、実を言うと、少し緊張してるんだ。ほら」

そういうと、俺は久遠の手をとって、自分の左胸に押し当てる。
どくどくと、早鐘のようになる心臓の音は、久遠の手を介しても感じるのではないかというほどだった。

【久遠】
「……すごい鼓動だな」

【剣丞】
「俺も初めてだからね、緊張していればそうなるさ」

【久遠】
「――――そうか、剣丞も初めてなのか」

俺の言葉に、嬉しそうに顔をほころばせる久遠。

正直、姉さん達が持ってた書物とか雑誌で知識があるとはいえ、ちゃんとできるのか不安ではあった。
でも、そんな些細な心配は、久遠の笑顔を見たら、どこかに吹き飛んでしまった。

久遠に触れたい。もっともっと重なり合いたい。
本能に近いそんな感情のまま、俺はあらわになった久遠の胸に手を添え、その桃色の突起を口に含んだ。

【久遠】
「あ……ひゃんっ、けんすけ……っ」

胸に吸い付き、甘く噛むと、久遠はくすぐったいのか、むずがるような声を出す。
乳房をもみながら、舌で久遠の肌をなめる俺の頭を、久遠は両の腕で抱きしめるように包み込んでくれる。

荒い息遣いと共に、久遠の肌が上気していく。
月明かりに照らされる、そんな彼女の艶姿をもっと見たくて、俺は執拗に愛撫を繰り返した。

【久遠】
「はぁ…………ぁ…………んっ…………剣丞、けんすけぇ」

【剣丞】
「久遠の、味がする」

【久遠】
「言うなっ………馬鹿ものぉ……」

早鐘のように打つ胸の鼓動は、久遠のものか俺のものか、
どちらのものであるか、分からないほどに、俺も久遠も昂ぶりあって、息を熱くさせていた。

【剣丞】
「久遠、そろそろ……」

【久遠】
「ぁ……」

【剣丞】
「俺、久遠のすべてが欲しい。いいよね」

【久遠】
「ああ……我の全てを持って行け。いや……剣丞に、我の全てをもらって欲しい」

俺は、久遠の身体に残された最後の一枚に手をかけて、それを剥ぎ取る。
そうして、月の下に久遠のすべてがさらけ出された。

つつましく花のように開くその部分に、俺は思わず見とれてしまう。
忘れていた緊張がぶり返してきて、俺は思わず、生唾を飲み込んだ。

【久遠】
「あまり、まじまじと見るな……我とて恥ずかしいんだ」

【剣丞】
「ああ、ご、ごめん」

顔を背けながら、気恥ずかしそうに言う久遠。
そんな彼女を愛しいと思いながら、俺は滾り立って破裂しそうなものを取り出す。

久遠の両腿に手をかけ、足を開かせ、ゆっくりと腰を重ね合わせていく。

【久遠】
「あっ………ぐぅっ………」

【剣丞】
「久遠っ……」

今までの愛撫とは違い、激しい痛みに久遠の身体がこわばる。
だけど、その口からは悲鳴も嗚咽も放たれない。

【久遠】
「けんすけ………っ……けんすけぇ」

すがるように伸ばされた指先。
久遠の手と俺の手が絡み合い、痛みをごまかそうというかのように、強く握り合う。

そうして

【久遠】
「っ! ――――!」

みじり、という感触と共に、久遠の身体と俺の身体がつながり、一つになった。

【久遠】
「はぁ――――ぁ、おわった、のか?」

【剣丞】
「ああ、良く頑張ったな、久遠」

うっすらと、涙を浮かべる久遠の頭を撫でる。
久遠は俺の言葉に、ほっとしたように息を吐いた。

【久遠】
「んっ……身体の中に、剣丞が入っているのだな。すごく、大きくて、熱い」

【剣丞】
「ああ。俺と久遠は、一つになってる」

そうして、抱き合ってじっとしているだけでも、
幸福で意識が飛びそうだった。久遠の中は熱を持って、俺を包み込んでくれる。

そうして、俺は久遠と口付けを交わす。
甘い吐息と、薄荷の香り。そうして、彼女を抱きとめていたが、さすがにずっとそのままというのは苦しかった。

いまだ治まらない俺の猛りは、久遠の中で果てたいと、理性では抑えきれないほどに高ぶっていた。

【久遠】
「っ……いたっ………剣丞、うごかすなっ」

【剣丞】
「あー、ごめん、久遠、さっき、終わりって言ったんだけど、実はまだ、続きがあるんだ」

【久遠】
「へ………?」

【剣丞】
「その、この大きくなったのをさ、久遠の中で動かして、鎮めなきゃいけないんだ」

申し訳なさそうに言う俺の言葉に、久遠はしばしの沈黙。そうして、拗ねた顔を彼女は見せる。

【久遠】
「さっき、終わったといってたではないか。剣丞は、うそつきだ」

【剣丞】
「ごめんよ、ほんとにごめん。でも、出来れば俺としては、最後までやりたいんだけど。駄目かな」

【久遠】
「…………」

俺の言葉に、ぶすっとした顔で黙る久遠。とはいえ、その顔もすごく可愛らしいのだったけど。

【久遠】
「………よい」

【久遠】
「妻たるもの、旦那を満足させれぬようでは、矜持に関わるからな」

【剣丞】
「久遠……」

【久遠】
「そ、そのかわり、あまり痛くするなよ。我慢はするが……」

百万の言葉をつむいでも、表しきれない感情、これを感謝というのだろうか。
俺は、久遠の身体を抱きしめながら、ゆっくりと腰を動かす。

【久遠】
「く、あっ……剣丞、っ……」

やはり、苦しいのだろう。それでも、久遠は懸命に、俺の全てを受け入れてくれる。
久遠がなるたけ苦しまないように、肌を合わせ、腰を打ち付ける。

互いの吐息が混ざり合い、その熱さがはてなく感じるほどになった時――――

【剣丞】
「っ、久遠っ!」

【久遠】
「はっ、あっ、ぁ―――――――――!」

溜まりに溜まった身体の高ぶりを、俺は久遠の中に解き放っていた。
一度だけでなく、数度、数十度。魂の全てがぬけるかのような放出が続き、
そうして、俺は大きく息を吐きながら、久遠に覆いかぶさった。

【久遠】
「剣丞の身体、あたたかいな……」

荒げた吐息に混じり、久遠がそう呟く。
そんな彼女の唇に、俺は口を寄せた。
互いの熱を混じらせるように、俺と久遠は今一度、深い口づけを交わしたのだった。

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