〜史実無根の物語〜
〜孫呉の三姉妹〜
【小蓮】
「……そーっと、そーっと、ふふ、一刀ったら、お寝坊さんなんだから」
【蓮華】
「こら、シャオ……! こんなに朝早くから、寝室に忍びこもうなんて、はしたないとは思わないの?」
【小蓮】
「べっつに〜? シャオは一刀の奥さんなんだし、夫を起こすのは、妻の勤めの一つだもん」
【蓮華】
「……ちょっ! 誰が妻だと!? そんなこと誰も認めては……」
【小蓮】
「しーっ、声が大きい、一刀が起きちゃうでしょ」
【蓮華】
「ぁ……」
【小蓮】
「だいたい、昼夜を徹して一刀に会いに来たのは、お姉ちゃんも一緒でしょ? なんで、肝心なとこで尻込みするのかなぁ」
【蓮華】
「う……だって、会いに来たのは私の我儘だし、それで一刀に嫌われたらと思うと」
【小蓮】
「一刀が、そんなことでお姉ちゃんを嫌いになることはないと思うけど。なんだかんだ言って、一刀はお姉ちゃんのこと、大好きだし」
【蓮華】
「そ、そうか?」
【小蓮】
「むー、いちいち、シャオに聞かないでよ。とにかく、お姉ちゃんが起こさないなら、シャオが一刀を起こすからね」
【蓮華】
「ちょっと、シャオ、そんなに乱暴に敷布を剥いで……って、え?」
【小蓮・蓮華】
「あああああああ〜〜〜〜〜!?」
※
【一刀】
「ん……? なんだ? 朝から騒がしいなぁ」
甲高い声が耳朶を打ち、眠りの淵から引きずり起こされた。
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