〜三十年の日記帳〜 

〜三十年の日記帳〜



――――悲鳴と絶叫。まるで糸の切れた人形のように、四肢を折り、倒れていく人間。いや、黒焦げになったそれは、人と呼べるものだろうか?
吹きすさぶ風には熱気が混じり、焦げた毛髪や肉の臭いが辺りに充満している。どこか遠くで、火悔い鳥の鳴き声を聞いたような気がした。
なぜ、このような事をしてしまったんだろうか………悩んでいた俺は、不意に誰かに見られている事に気づいた。
それは、無数の濁った瞳――――もはや命を失ったヒトの残骸に、空ろに残った二つの眼窩――――もはや瞳も無いはずのそこは違う事無く、俺を見ていた。



「――――っ………はぁ、はぁ」

呼吸する事すら忘れていたのか、息苦しさに耐えかね、俺は眠りから覚めた。寝ながら見上げる天蓋に、俺はようやく、自分が夢を見ていた事に気づく。
村を襲い……そして全滅させた日から一週間――――ここ数日、俺は眠れぬ夜を過ごしていた。眠りに堕ちる度に、悪夢のような光景は繰り返される。
恐怖に悲鳴を上げたことは今まで多々あったが、悲鳴すらあげれない事は、生まれてこの方、経験した事が無かった。

「っ………くそっ!」

汗でべったりと額に張り付いた髪の毛を払い、俺はイライラした気持ちを発散させるために、悪態をついた。無論、それで気が晴れることは無かったのだが。
なぜ、こうも気に障るのだろうか。人を村を襲い、初めて人を殺した事による、高揚感が妙な幻覚を見せるんだろうか………?
一度、夢から覚めてしまうと、再び眠りにつくのは困難であった。よしんば眠れたとしても、またあの夢が脳裏に繰り返され、すぐに起きてしまうのだろう。

「失礼します――――ブラッド様………? おはようございます」
「――――もう、朝か」
「その………大丈夫ですか、ブラッド様? お疲れのようですが…私の声が、聞こえていますか?」

夢か現かも分からぬまどろみの後、いつの間にか、担当のメイドが起こしに来る時刻になっていた。体力的には問題ないものの、最近は、精神的な疲れが溜まっているように感じる。
本当に、何故…こんな事になってしまったんだろう。俺は、部屋を訪れたリィルに気を回す余裕も無く、額に手を当て、苦悩の淵に沈んだのであった。



「さぁ、今日も一日、がんばっていきましょう!」
「お〜!」

クーの号令一過、メイド達は、今日の割り振られた仕事場所へと三々五々と散っていく。ここ数日、クーの機嫌は最好調であった。

「〜♪、〜♪」

鼻歌混じりに、事務処理を済ませていくクー。そんなクーの様子を、俺は同じ部屋に設えてあるソファに寝転びながら眺めていた。
しかし、随分と楽しそうだな………今までは、事務仕事をする度に落ち込んだ様子を見せていたのに、今日に至っては笑顔すら浮かべている。

「ご主人様〜、お昼寝中ですか〜?」

間延びをした声が聞こえてきたのは…寝っ転がりながら、クーの事務仕事を眺めていた最中である。身を起こすと、ティーセットを乗せたトレーを持ち、微笑むメイドの姿があった。
古参のメイドであるミュア。ピンク――――厳密に言えば薄桃色の髪をした彼女は、この巣における、家事全般を任されている。
いつも朗らかで、誰に対しても穏やかな態度をとる彼女は、今のささくれ立った俺にとっては…少々、気に障る存在ではあった。

「………別に、眠ってなどいない。何だ、何か用か?」
「はい〜、南方の珍しいお茶菓子が手に入ったものですから、ご主人様に味見をしていただこうと〜、あ、他の皆さんには、秘密ですよ〜」
「ミュア、私がここにいるって事…忘れてない?」

のんびりとしたミュアの様子に、クーが実務の手を止めて、呆れたように顔を上げた。そんなクーにも、ミュアはニコニコ笑顔で語りかける。

「はい〜、もちろん分かってますよ。連隊長さんの分も、用意してますから〜」
「そう、それなら良いわ」

口調とは裏腹にテキパキとした様子でお茶の用意をするミュアに、クーは笑顔を向ける。しかし、俺は…どうにも気が乗らなかった。
ソファから身を起こすと、俺は部屋の出口に向かう。

「あれ、ご主人様〜? お茶は〜…」
「別に、茶などいらん。その菓子も、お前が食っておけ」
「わあっ、良いんですか〜、ありがとうございます〜」

つっけんどんに言い放ったというのに…ミュアは、ほんわかと嬉しそうな笑顔を見せた。正直、付き合いきれん――――どこか、他の場所に行こう。
イライラとした気持ちも治まらないままで、俺は竜の間を出ると、まるで逃げ場所を探すかのように、あてもなく辺りをうろつく事にしたのだった。



「ご主人様………どうも昨日から様子がおかしいのよね――――私、何かミスでもしたのかしら」
「ん〜…この栗饅頭、美味しいですよ〜、連隊長さ〜ん」
「………あなたは、悩みがなさそうで良いわね、ミュア」



「――――はぁ」

あちこちを歩き回り、何か気晴らしになるものは無いかと探してはみるものの、特に俺の気をひくようなものは見つからなかった。
そうして、小一時間ほど歩いたあと…俺は足を止めた。洞窟の通路の先に、俺の見知った顔…もとい、見知った髪のメイドが居るのが見えたのである。

「リィル」
「ブラッド様………いかがなさいましたか?」

俺が歩み寄りながら声をかけると、リィルはいつも通りの淡々とした表情で、俺の顔を見つめてきた。と、その表情が気遣わしげになったように見えた。

「ブラッド様――――御身体の加減が優れないのですか?」
「いや、別に身体に異常は無いが………どうしてそう思うんだ?」
「その、上手くは言えないのですが――――どこか、疲れているように見えますので…今朝も、何か思い悩んでいたように」
「気のせいだ」

リィルに皆まで言わせず、俺は打ち切るように言い放った。まったく………変に気が回るのも困る。
イライラした気分のままに、リィルを睨むと、リィルは申し訳なさそうに視線を落とした。叱られた大型犬のような仕草を見ると、こっちが悪い事をしたような気になる。
こんな空気では息が詰まるので、俺は少々強引に、話題を変える事にした。

「それはともかく…何をしているんだ、こんなところで」
「あ、はい。少々汚れが目立つところがありましたので、掃除をしているところです」
「…掃除?」

言われて見れば、リィルの両手には普通のチリトリと箒(ほうき)が握られていた。リィルの場合、いつも剣を持ってるので、なんというか………。

「なんというか、掃除用具を持っていて、違和感のあるメイドというのも珍しいな」
「違和感、ですか…?」
「ああ、リィルは剣を持っている方がしっくり来るというか………似合っているからな」
「………」

俺の言葉に、小首を傾げるリィル。いちおう俺としては、誉めたつもりなんだが――――本人にとっては複雑な心境らしい。
それはそうと、掃除中というのなら、邪魔をするのも悪いな………そうそうに退散するとしよう。

「さて、私は部屋に戻って寝る事にするが………リィルはどうする?」
「はい、清掃も一段落しましたし、巣の見回りを続けようかと――――ブラッド様、部屋でお休みになられるのですか?」

リィルは何やら、言いにくそうなそぶりで俺を見つめてくる。無表情なリィルには珍しく、その表情はどこか冴えなかった。

「ああ、そうだが………何か言いたそうだな。巣の主、失格とでも言いたいのか?」
「いえ、そういうわけではないのですが…」

俺の詰問に、リィルは言いよどむ。そのはっきりしない態度に、俺はだんだんイライラしてきた。いったい、何が言いたいんだ?

「いいから、言ってみろ。それとも、無理やりにでも聞きださせる気か? 俺に」
「は、はぁ………それでは、その――――お眠りになるのでしたら、一人ではどうかと」
「………は?」
「その、よろしければ――――私が添い寝いたしますが」

思いっきり生真面目な表情で、リィルがそんな事を言ってきた――――なんというか、冗談なのか本気なのか、判別できないんだが。

「リィル、クーに聞いた話では、そういうのは禁じられているんじゃなかったのか?」
「…は? 添い寝が、ですか?」
「いや、添い寝をするというのは、一緒に寝る、という意味じゃないのか? 性的な意味で」
「ぇ」

どうも、俺の考えていた添い寝とリィルのそれとは違っていたらしい。俺の言葉を聞き、リィルの顔に赤みが差した。
そうして、リィルは右を見たり、左を見たり――――どうやら、思いっきりうろたえているようだった。そうして、よっぽど動転していたのか…。

「そ、それは…ブラッド様が望まれるのでしたら――――いえ、し、失礼しましたっ!」
「あ、おい――――…いってしまったか」

驚いたな、無表情が板についているリィルが、あんなにうろたえるとは。しかし、何と言うか――――…、

「先ほどのリィルは、なかなかに見物だったな………ふっ」

慌てていたリィルの姿を思い出し、俺は思わず吹き出してしまった。なんというか、ほんの少しだけ、胸のつかえが取れたような気がする。
これなら少しは、ましな夢が見れそうだな――――…俺は一度、リィルが走り去っていった方向に目を向けた後、自室に向かって歩き出したのであった。



それから数日後――――慌てた様子で、メイドの一人が竜の間に駆け込んできたのは、俺がクーと一緒に優雅に昼食をとっている最中であった。

「連隊長、た、大変です!」
「どうしたの? そんなに慌てて………」

のんびりと昼食を楽しんでいた様子のクーは、慌てた様子のメイドの少女に怪訝そうな表情を見せる。クーの問いにメイドの少女は数度、深呼吸をすると言葉を続けた。

「洞窟内に、侵入者が入り込みました。数は十数名! 現在、リィル少佐が迎撃指揮をとっていますっ!」
「侵入者ですって? ふぅ、なにも食事の時間に来なくても良いのに――――まぁ、リィルに任せれば大丈夫でしょう」

報告を聞いたクーは、まるで時期外れの大雨が来たかのようなうんざりとした表情を見せた後で、何事も無かったかのように食事を再開した。
しかし…リィルはクーに、よほど信頼されているようだな。普段なら何事につけ、クーの判断を仰ぐのが常である。
そんなクーが迎撃を任せるということは、リィルの能力がそれほどに傑出しているのだろうか? ちょうど、食欲も湧かないで、暇を持て余している所だし…様子を見に行ってみようか。

「………リィルは何処にいるんだ? 差し障りが無いなら、様子を見に行こうかと思うんだが――――案内してくれ」
「は、はいっ!」

席を立って声を掛けた俺に、メイドの少女はかしこまった様子でコクコクと頷いた。そんな彼女の様子を、クーは黙って見つめていた…ひょっとしたら、呆れていたのかもしれない。
ともかく、俺はメイドの少女に案内をされ、リィルのもとに向かう事にした――――リィルは竜の間より地下………迎撃の為の設備のある部屋にいるらしい。
案内されて辿り着いた場所は、思ったよりも広々とした部屋であり、十人ほどのメイド達が椅子に腰掛けて、何やら作業をしているのが見えた。

「ブラッド様………? このような場所に来られるとは、いったい、どうなされたのです?」

俺が部屋に入ってきたのが見えたのだろう。シックな侍女の装いとは不釣合いな、大仰なカタナを腰に佩いたリィルが席を立って俺に歩み寄ってきた。

「ああ、侵入者が来たと聞いてな………それで、何となく気になって様子を見に来たんだが」

リィルと話しながら、何とはなしに視線を巡らすと…部屋の中心部に大きな鏡があり、そこに侵入者らしき一団が映っているのが見えた。どうやら、洞窟内の様子を写しているらしい。
俺の視線に気づいたのか、リィルは静かな口調で、現在の状況を報告してきた。

「現在…侵入してきた一団は、洞窟の入り口付近を捜索中です。お望みであれば、音を拾う事も出来ますが」
「そうか。やってみてくれ」
「はい。映像魔術班、音響魔術の追加を実行するぞ。映術者はそのまま術を続行。音響魔術の同調は――――私が行う」
「「「了解!」」」

リィルの命令に椅子に腰掛けた数人のメイドの声が唱和する。どうやら彼女達の力で、鏡に映像を映しているようであった。原理は分からないが、魔法の類のようである。
様子を見守る俺の前で、リィルは鏡の前に進み出ると、両手の指を複雑に動かし始めた。なにやら、まじないの類のようである。

「………」

小声で何やら呟くリィル。良くは聞き取れないが、聞いたことのない言葉である。異世界の言葉なのか…ひょっとしたら、俺の知らない遠方の国の言葉なのかもしれない。
そんな事を考えている俺の前で、鏡の表面が不意に、石を投じた水面のようにさざめきを数度発する。そして、鏡から複数の人の声が聞こえてきたのだった。

「おい、本当にこの洞窟で間違いないのか?」
「ああ、噂によると、ここに人食い竜が住んでいるらしいが」

聞こえてきたのは、いかつい男の声――――まぁ、鏡に映っているのは武装した男の冒険者だけなのだから無理は無いが。
冒険者達は周囲を警戒するようにきょろきょろとあたりを見回している。慎重というよりも――――臆病と言えるのかもしれない。
なんと言うか、小さな酒場の用心棒をやっていそうな、うだつのあがらない顔ぶればかりだ。やれやれ、巣へ初めて進入してきた冒険者が、このような奴らとはな。

「しかしよぉ………まずいんじゃねえか? 噂によると竜の巣ってのは、入ったら最後、生きては出られない難所とか言われてる場所だろ?」
「んなこと言ったって、前金をもらっちまったからしょうがねえだろ。あの旦那、金払いだけはいいからな」

ふむ、話を聞く限り、その旦那というのがこいつらの頭目のようだな。どうも話を聞く限り、この場には居ないようだが――――…。
と、そんな事を考えていると、鏡に映し出される映像に、変なものが入ってきた。ガシャン、ガシャンと金属のこすれる音…金属の鎧が歩いてきたのである。

「やあ、みなさん。首尾はどうですか?」

と、金属の篭手を上げて、気さくに冒険者の一人に話しかける金属鎧――――どうやら、全身をくまなく、金属の鎧で包んでいる冒険者だったようだ。
声から察するに、かなり若い男のようだが………いかつい顔が並ぶ冒険者達に、媚びることもせず、へつらうこともせず、平然と応対しているようである。

「おう、旦那。入り口近くには罠は無いみたいですぜ」
「そうですか、この調子で頼みますよ。我々は、このようなところで立ち往生しているわけには行きませんからね」
「はぁ…そうっすね」

自信満々で胸を張る金属鎧に、男達の反応は微妙である。正直なところ、つきあっていられないが金をもらった以上、付き合わなければならないといった感じだ。
この程度のやつらなら、たいした脅威にもならないだろう。興味が失せ始めた俺は、リィルに言って、映像を止めさせようとした。しかし、その時である。

「騎士様…」

どこか憔悴した女の声がしたかと思うと、ふらふらとした様子の女が、鏡の示す画面に姿を現す。中年の女は冒険者の男達とはミスマッチであった。
その姿に、どこか見覚えがあるような気がしていた。所々、焼け焦げた衣服………その腕に、何かを大切に抱えているようだった。

「騎士様、お願いです………仇を、仇を撃ってください。私の、私の子供を奪ったあの竜に、復讐を………!」
「!」

それで、思い出した。その女は、俺が襲った村にいた住民の一人――――…そして、俺に石を投げつけた子供を守るように庇っていた母親だった。
腕に抱えているのは、焦げた炭の棒のようなもの――――俺はようやく、それが焦げた子供の腕であることに気がついたのだった。
嫌な汗が、頬を伝う。炎にまかれる人々、狂乱と悲鳴――――そして俺は、そんな彼らに向かって、無慈悲に炎を浴びせかけたのだ。
近くにいた者も遠くの者も、ある者は熱気で喉を焼かれ、苦悶にのたうち………ある者は俺の腕や足の一撃を受け、粉みじんに吹き飛んだ。
あの子供の最後は、よく覚えていない。ただ、何かを踏み潰す感触と、小さな悲鳴。そして…母親らしき女の、慟哭の叫びを聞いたような気がしたのを覚えている。

「分かりました、どうぞお任せください。この、ロベルト・カ――――」

と、すがりついてきた女の肩に手をやり、騎士が何かを言いかけたところで、鏡の映像は不意に途切れた。気がつくと周囲はしんと静まりかえっている。
部屋にいるメイドたちが気遣わしげな視線を向けてきているのに気づき、俺は居心地の悪い気分でリィルに声をかけた。

「………何故、映すのをやめたんだ? 俺に気を使ってというのなら、大きなお世話というものだぞ」

イライラした気分を隠そうともせずに俺が言うと、リィルは一つ大きく息を吐くと俺に向かって深々と頭を下げてきた。

「申し訳ございません。なにぶん不慣れなものですので、集中が途切れてしまいました………お望みでしたら、いま一度、術を試みますが」
「――――…いや、別にいい」

リィルの声にそっけなくこたえると、俺はきびすを返した。そう、別に興味は無い。滅ぼした村の女が来ようと、それが何だというのだ。
侵入者に興味がうせた俺は、早足に部屋を出て行くことにした。そんな俺の背後から、静かな問いを投げかけてきたのはリィルであった。

「ブラッド様、侵入者を捕らえた場合、その処遇はいかがなさるおつもりですか?」
「………なぜ、そんな事を聞く? 侵入してきた者達に情けなどいらないに決まっているだろう――――…お前達の好きにすればいい」
「――――了解しました」

俺の言葉をどう受け取ったのかは分からないが、リィルは静かにそう返事をした。まるで、俺がどうやっても「殺せ」と言えなかったのを察しているかのようであった。
俺は振り返ることをせず、部屋を出て、竜の間に戻ることにした。それにしても、気分が悪い――――その原因が何であるのかは、正直、考えたくも無かった。



………それからしばらくして、リィルが竜の間に現われた。どうやら、侵入者達の撃退に成功したようである。

「侵入者は十余名――――トラップの罠にかかり、負傷した者が出ると、大半のものはそのまま遁走…一人残っていた騎士も、先に進めないと見てか撤退しました」
「そう、ご苦労様」

リィルの報告を満足そうに聞くと、クーは俺に黙礼し、竜の間を出て行った。クーの昼食後は、巣の増改築にあたる予定であった。
竜の間に残ったのは俺とリィル。リィルが竜の間を出て行く気配を見せなかったため、先程から気になっていたことを、俺はリィルに問うことにした。

「リィル、一つ聞いていいか? 先程の報告の中には、あの女のことが入っていなかったようだが…」

冒険者達にすがりついて、竜退治を頼んだあの村の女――――その事が報告に含まれていなかったのは、どういうことだろう。
そんな俺の疑問に…リィルは少しだけ、気づかう様な視線を向けてきた。そうして、ことさら淡々とした風に、言葉を返してくる。

「侵入者としての報告は、戦闘能力を持つ者に限られますので。武器も持たない子供や女性を、侵入者とカテゴリするのを控えただけのことです」



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