〜アルイエット戦記〜 

〜決起〜



ジン=アーバレストは、ヴィスト王国に何かしらの因縁があるようだ。それが何かは分からないが…その因業は生涯、彼を縛り付ける事だろう。
さて、契約を結んだ直後にヴィスト軍と休戦条約を結んだと聞かされ、大いにへこんだ様子のジンであったが…それでも契約は契約と、エルト国の内状を知ろうと書類を手に取った。
騙された方が悪いと割り切っている当たり、諦めが良いのか大人なのか、判断に迷うところであった。

「………」

王宮内の一室――――先程まで会合に使われていた部屋には、ジンとアルイエット、ムストの3人が座を囲んで座っている。
ジンが騙された事を聞き、先程まで笑い転げていた彼の付き人――――八重は、所用で出払っていてこの部屋には居ない。
パラパラ、と指先で書類をめくる音だけが、室内に響いている。書類をめくっているのはジンであり、アルイエットとムストは、固唾を呑んで見守っている状況だ。

「………」

沈黙が、痛い。ムストもアルイエットも、自分達のクーデターが困難であるという事は、何となく、そうじゃないかなーくらいには思っていた。
だが、書類に目を通すなり、仏頂面になり、今では苦虫を噛み潰したような顔になっているジンの様子を見て、とうてい声を掛けられる雰囲気ではないと、理解したのだった。
けっきょく、小一時間ほど――――集めた膨大な量の書類にジンが目を通すまで、二人は身じろぎすら憚られる緊張を強いられていたのだった。

「………酷いもんだな」

書類を机の上に投げ出し、呆れた様子でジンが最初に吐き出した一言が、それであった。何が、と言わないのは、その嘆きの向く先が、複数である事を物語っている。
実際、エルト王国の現状、キューベル公爵達の謀反、そして、今進めているクーデター計画など、指摘する場所は多々あった。

「じゃから、お主を引き入れたのじゃがな………それで、まずは何から始めれば良い?」
「始めるも何も…まだ、その段階でもないんだがな。兎も角、今進めているクーデター計画とやらは中止だ」
「ど、どうしてよ? 今が差し迫った状況なのは、分かってるんでしょ?」

ムストの問いに答えるジンに、不満そうな声を上げたのはアルイエットである。その態度を察するに、ジンの事は未だに半信半疑らしい。
そんなアルイエットの表情を見て、ジンは再び溜息をついた。補佐役をするにしても、これは手を焼きそうだ、と思っているようだ。

「差し迫っている状況だから、だ。一手を間違えれば致命的になる状態で、危険の大きい賭けをするのは得策じゃない。代案は考えたからな。そちらの方が割りは良いはずだ」
「――――そうじゃな。基本的に軍事の事は、門外である以上、お主の進言に従った方が良いじゃろう」

ジンの言葉に賛同するムストに、アルイエットは不満な表情を見せるものの、面と向かって反論を言うこともできなかった。
自分が、お飾りの総大将という事は身をもって知っていたし、文句を言って、じゃあ代案を立ててみろと言われるのを恐れたのかもしれない。

「とりあえず、ムストは王宮内で派閥を作るなりして、勢力を拡大させておいてくれ。領地を持たないで困っている貴族達なら、積極的に話に乗ってきてくれるはずだからな」
「それは、前々から進めているのじゃが――――それだけで良いものなのか?」
「ああ。軍事関係は俺たちで何とかする。戦後の治世を安定させるのが、内政官の仕事だろう?」
「なるほど、正論じゃな」

納得したように、ムストは頷いた。そんな両者のやりとりに困惑した様子で二人を見るのは、アルイエットである。

「俺達――――って、ひょっとして、私も数に入ってるの?」
「おいおい、当たり前だろ。俺が補佐役に就くと言っても、実際に命令を出すのはお前さんだろうが」
「で、でも………それで本当に、うまくいくのかしら?」

ジンの言葉に、自信なさげに目を伏せるアルイエット。ちなみに、アルイエットの戦績は芳しくは無い。というか、一度も勝った試しが無いのである。
初陣から一年…総大将という肩書きがあるとはいえ、まともに指揮がとれる状況自体が皆無だったので、無理は無いのだが…どうもその事が、彼女の覇気に影を落としているようだ。
その様子を見て、これは性根から叩き直さないといけないと、ジンは悟ったようである。ジンは険しい表情を緩める事もせず、ムストに声をかけた。

「――――すまないが、少し場を外してくれないか? アルイエットと二人で話をしたい」
「む………それは構わぬが、手を出さないという約束は覚えておろうな」
「ああ。それは分かっている。別に変な事をするつもりは無い。だが、この性根では、軍の指揮をとるのは少しな………」
「………そうか。たしかにそうじゃな」

ジンの言わんとすべき事を察してか…ムストもしばしの沈黙の後、納得したように首肯する。ムストとて、このままではアルイエットが重責に耐えられないことを理解していたのだ。
ムストは席を立つと、さっさと部屋を出て行ってしまった。その行動に驚いたのはアルイエットである。彼女にしてみれば、二人っきりという状況は、貞操の危機と考えたようだった。

「ま、待ってください、ムスト様!」
「こらこら、どこへ行く? そうやって、警戒されてもな…そもそも行軍中は、常に傍に居ないといけないんだぞ。そうしなければ、補佐役として力を発揮できないんだからな」

暗に、こういった状況は、これからもあるぞと言外に告げられ、アルイエットはギョッとした表情で身じろぎする。
ムストを追っかけようと、ソファから立ち上がったアルイエット。そんな彼女の様子を値踏みするように見た後、ジンはゆっくりとした動作で腰を上げた。
そうして、ゆっくりと、棒立ちになったアルイエットの元に歩み寄る。身長差もあり、怯えた様子でアルイエットはジンを見上げた。そんな彼女に、ジンは更に近づくと――――。

「ほら、いつまで身を縮こませてるんだ? もっとしゃんとしろ!」
「きゃっ!?」

パンッ! と、アルイエットのお尻を、手の平で平手打ちにしたのである。派手な音ほど痛くは無いはずであるが、急に叩かれた事が驚きだったらしい。
アルイエットは一瞬泣きそうな表情を浮かべたものの、生来の負けん気がムクムクと湧き出してきたらしい。彼女は肩を怒らせながら、ジンに詰め寄った。

「い、いったい何をするのよ、いきなり!」
「お、少しはマシな顔になったようだな。それぐらい迫力があった方が、将軍らしくて良いぞ」

怒りの表情を見せたアルイエット。その様子を見て、ジンは飄々とした風に微笑んだ。その笑みに怒気を抜かれたのか、アルイエットは微妙な表情になる。
どうも、今のはセクハラというよりも、自分に喝をいれたようだけど………もう少し、他にやりようは無かったのかしら? と、アルイエットはしかめっ面をする。
ただ、そんな彼女の不満など、当の軍師には全然伝わっておらず――――ジンはムスッとした顔のアルイエットに、諭すように言葉をかける。

「全軍を統率する将に一番に必要なものは、才能でも知識でもない。皆を統率するカリスマだ。お前さんは容姿の方は充分に合格点なんだから、後は実績と立ち振る舞いだな」
「………簡単に言うけど、そのどっちにも自身がないわよ、私」
「そんな情けないことを、自信満々に言うな。ともかく、常に背を伸ばせ。常に胸を張っておけ――――張子の自信でも、いずれは本物になるはずだからな」

アルイエットの不満の声を右から左に聞き流し、それからも幾度か、ジンはアルイエットの立ち方や姿勢に注文をつけつつ、色々と指示を出した。
最初は不満そうな表情を見せていたアルイエットだったが、しっかりと指示通りに動いた時には、ジンが誉めてくれるのに気を良くしてか…後半は積極的に指示に従っていた。
そうして、数時間が経過した後――――

「よし…今日は、このくらいにしておこうか。後で暇な時間にでも、おさらいをしておけよ」
「ふぅっ………」

ジンの締めの言葉を聞いて、アルイエットはソファに座り込んだ。夢中になっていたせいで、疲れを感じていなかったのが、気の抜けたせいで一気に疲れが表に出たようである。
もうすっかり冷めてしまったお茶を、美味しそうに飲むアルイエットを見やり、ジンは幾分か安心したような微笑みを見せた。

「しかし、意外に肝は据わっているようだな。これなら時間も掛からずに、計画を実行に移せるな」
「ん――――こく、こく………計画?」

お茶を飲む事に夢中になっていたアルイエットは、ジンの言葉に怪訝そうな表情を浮かべる。そんな彼女に、ジンは自信満々に言い切った。

「ああ、まずは総大将の権力で、王都に居る兵士達を、王宮の前に集めるんだ。そのくらいなら、貴族達の妨害もないだろうからな」
「ええ、そのくらいなら、多分できると思うけど………いったい、何をするの?」

喉の渇きは治まったのか、テーブルの上にカップを置き、アルイエットはジンに質問をする。至極当然な彼女の疑問に、ジンはニッコリと頷くと――――

「大演説だ」と、妙に自信たっぷりと表情で言ったのである。



後の歴史書に曰く――――王宮の前に集いし3万余の兵に、アルイエット将軍は宣言する。過酷な戦いの幕開けと、勝利への誓いを。
兵士達の士気は天を突かんばかり、声を張り上げ、拳を突き上げ、数多の勝利と、来るべき栄光を期待し、雄たけびをあげた………とは、英雄談の捏造であったと判明している。
実際の所、負けが込んでいる状態で、厭戦気分に陥っている兵士達に、過酷な戦いが待っていて、これから大変だと告げればどうなるか――――。

3万の兵士達のうち、残ったのは3千と少し………まぁ、一緒に戦いたくないのなら、故郷に帰れと演説内容に含まれていたのだから無理も無いが。
その残ったもののうち、自らの意志で残った者は、更に半分にも満たないであろう。3千の兵士の中には、事情があって故郷に帰れないため、渋々残る者も居たのである。

「それじゃあ、気をつけてな」
「…トール隊長は、これからどうするんですか?」
「俺は、残る事にするよ。いまさら村には帰れないし、アルイエット将軍が頑張ろうとしてるのを、手伝ってあげたいと思ったからね」

もっとも、アルイエットの行った演説自体は、決して拙いものではなく――――その演説に心動かされ、軍に残ろうと決めた者も、確かに居たのであった。

「あ、あの………アルイエット様!」
「あら、貴方は――――…」

キューベル公爵領で内乱が起き、いよいよ貴族達の討伐に向かう準備に追われるある日、城の廊下で、アルイエットは一人の少女に呼び止められた。
声をかけてきたのは、騎士姿の少女である。少女の顔に、どこか見覚えがあったアルイエットだが、とっさに名前が出てこなかった。
言いよどんだアルイエットの態度で察したのか、少女は特に気を悪くした様子も無く、あらためて自らの名を名乗る。

「ルカ=マーチカです。アルバーエル様の葬儀の時にお目通りさせていただきました。その、この前のアルイエット様の演説に感動して、どうしても一言、お礼を言いたくて」
「…は?」

いったい、何の事だろう。思わず怪訝そうな表情をしたアルイエットだが、演説という言葉が何を指しているのかは、すぐに気づいたようだ。
3万の兵士に聞かせた、彼女の演説――――大半の兵士が逃げ出してしまったあの演説のどこに、目の前のルカという少女は感動したのだろうか?

「誰もが皆、自分の事を考えて、好き放題に振舞っている中で…アルイエット様は、国の為に事をなそうと、あの宣言をなされたのでしょう?」
「え、ええと………うん、まぁ」
「やっぱり、そうなのですね――――私も、アルイエット様のように、この国の為に何かをなしたいんです。微力ですが、応援しています、頑張ってください!」

感極まった様子で、ルカはアルイエットの手を握ると、高揚した様子でアルイエットにそう告げたのであった。



「って、ことがあったの。これってつまり、私の演説を聞いて、味方になってくれたって事よね?」
「…そうかもしれんが――――随分と、ヒロイックな状況に憧れているんだな、その娘も。俺だったら、あの演説を聞いても鼻で笑い飛ばすぞ」

それからしばしの後………出陣前の打ち合わせをしている途中で、アルイエットは声をかけてきた少女の事を、ジンに報告した。
アルイエットからの報告を聞いたジンはというと、呆れたように肩をすくめただけである。その物言いに、アルイエットは不満げな表情を見せる。

「ちょっと、それってどういう意味? そもそも、あの演説の原案を考えたのは、貴方でしょ?」
「まぁ、そうなんだが…どうも、この国の人間は、単純というか、純朴な奴らが多いよな。辺境のせいかもしれないが」

ジンとしては、別段、残った者達の忠誠心など、期待はしていなかった。現状では王国軍に過度の期待はできないし、当面は傭兵でやりくりするつもりだったのである。
その面で言えば、嬉しい誤算といえなくも無い――――トールやルカなど、残った者達の中には、後にエルト王国軍の一端を担う者も居たのである。

「それにしても…その娘の名前は何だったかな?」
「ええと、確か…ルカ=マーチカって名乗ってたけど」
「八重」

ジンの質問に、アルイエットが頭をひねるように少女の名を思い出すと――――ジンは、傍らに控えた副官の美女に声をかける。
その言葉だけで、何を聞いているのか察した侍女姿の少女は、つらつらと言葉を口の端に載せた。

「ルカ=マーチカという名前は存じませんけど………アルイエット様が出会った場所は、平民の立ち入りが禁止されてる地区ですし、その人は多分、貴族の娘じゃないでしょうか」

その禁止されている区域内を、平然と往復している事をおくびにも出さず、八重はしれっとした表情で言葉を続けた。

「マーチカ家といえば、クルマド伯爵の親戚筋にあたる家柄だと記憶してますけど」
「ふむ、とすると、こちらの様子を探るスパイの可能性もあるが――――と、そんな風に睨むな。今は少しでも、隙を見せるわけにはいけないと分かってるだろう?」
「それは、そうだけど………」

ジンの言葉に、アルイエットは悔しそうに俯く。基本的に、軍でも孤立ぎみのアルイエットにとって、ムストのように信頼できる相手が見つかったと思っていたのだった。
アルイエットの表情を見て、ジンはふむ、と一瞬だけ考え込み、アルイエットの頭にぽんと手を置いた。

「だったら、その娘をお前の傍に置いたらどうだ? ヴィストとの戦乱のゴタゴタで、お前の部下も、数えるほどしか居ないんだろ?」
「え………良いの?」
「まぁ、その娘がどれほど信頼できるかは知らんが………幕僚に一人加わったところで、それほど大事にはならないだろ。お前の好きにすれば良い」

驚きの表情を見せるアルイエットに、ジンは鷹揚に笑いつつ言う。もちろん、本当にスパイの類だったら八重に命じて処理する気、満々であったが。
そんなジンの内心など知る由も無く、アルイエットはというと、嬉しそうに笑顔を浮かべながら声を弾ませた。

「分かったわ。今度会った時、私のもとで働いてみるように誘ってみるね」

――――そうして、翌日。城内で再びルカと出会ったアルイエットは、自らの傘下にルカを誘い――――ルカは喜んで快諾したのだった。
ルカの実家であるマーチカ家からは、当然の如く反対の声が上がった。だが、ルカは見た目よりも気丈な少女であり、それらの苦言を一蹴して、アルイエットに従ったのである。
そして、彼女はアルイエットの傍付きの騎士として、彼女に仕え………短い間に将軍の一人となるほどに、実力をつけるのであるのだが…それはもう少し、後の話である。



アルイエットの演説が呼び出した波紋――――その波は、貴族達の足元をすくい、見事に転倒させた。その波は、画策したジンの予想よりも遥かに大きなものであったが。
エルト王国は王族、貴族、平民によって成り立っている国家である。王族が貴族を取りまとめ、貴族が民衆を支配する。
獣人や、森の民といった民族が存在しない国家という事もあり、平民は支配階級の最下層に位置し、貴族の統治の下での生活を強いられていた。

かつて、ラルフウッド王が健在だった頃は、それでも国家としての体裁は保つ事が出来ていた。
王族は誠実に、貴族は驕ることは無く、平民は慎ましやかながらも平和な生活を送る事が出来ていたのである。それが変わったのは、やはり昨年の大敗にあっただろう。
王の死に加え、重臣の死により押さえを失った貴族達は、その身分をかさに平民達からの搾取を強める事となったのである。

事態の推移がどうであれ、エルト国の未来が明るいものだと信じる事の出来た貴族は皆無であり、逃げるにせよヴィストに降伏するにせよ、先立つものは多いに越した事は無かった。
その為、様々な理由――――ほとんど言いがかりにしか聞こえない理由を挙げては、平民達から金をむしりとり、家を奪い、美しい女を強奪したのである。
傍から見れば、見苦しくしか映らないその様子は………火事場泥棒を髣髴とさせるものであった。平民は貴族に反感を覚え、王家に対して憎しみすら抱いていたのである。

民衆の怒りの矛先は、いずれ王家に向かい、爆発を余儀なくすると思われた。その矛先が変わったのは、アルイエットが城での大演説をした後のことである。
城勤めの兵士達は、その大半が平民であり、彼等が郷里に帰ることを王家が黙認したことで、兵士達は王家に…というより、アルイエットに感謝し、故郷に戻ったのである。
郷里に帰った2万超の民達は、そこで貴族達の横暴を目の当たりにする事になる。軍に徴集されていた若者達は…当然の如く貴族達に抵抗し、あちこちで小競り合いが始まった。

騒動に直面したのは、キューベル公爵ほか、南方貴族の面々である。子飼いの貴族達の横暴を疎ましく思っていたキューベル公爵であったが、事は対岸の火事とはいかなかった。
内乱に際し、彼は自領の民を極力傷つけないようにと、流れ者やその筋のもので軍を編成しようと試みていた。
それは、遠まわしには民衆の為になる事ではあったのだが………民衆の側からすれば、自分達を護ってくれるはずの軍に、元犯罪者が多数居るという状況は、愉快ではないだろう。
疑心暗鬼が反発を生み、それが爆発に至った時、キューベル公爵領でも他の領土と同様に内乱が始まったのであった。



これを機にアルイエットは手勢を招集――――内乱の沈静化とそれを引き起こした貴族達の討伐を目的に、軍を動かしたのである。
国外には…ヴィスト軍が虎視眈々と侵攻の機会をうかがっており、内部では貴族達が反旗を翻そうとしている、まさに内憂外患の状況である。
しかし、悠長にそれらに対応する事は出来ない状況であった。時間的にも、ヴィスト軍の横槍を防ぐ為には、この時期の挙兵しかなかったのである。
アルイエット直属の兵、3千弱…それに、ジン=アーバレストが率いる5千の兵を加えた8千ほどの軍は、慌しくも準備を万端に済ませた後、王都・エルストーナを出立した。

キューベル公爵領他、各領土での内乱の報を受けてから、僅かに半月ほどの準備期間を経ての………まさに神速の出陣であった。