〜そして僕らは病んでいく〜 

〜前書き〜



今よりもう少しだけ、ネットワークが発達した時代………といっても、人は今までと変わらずに、日々を過ごしている世界。
メールやBBS、チャットなどが、老若男女当たり前となり、それを利用した産業も次々と発生し始めた。

市内の高校には、当たり前のように一人に一台以上、パソコンが支給され、もはやゲーム機よりも、ポピュラーな生活器具として普及している。
そんな環境下ではあるが、それで人々の生活が飛躍的に変わるはずも無かった。
ただ――――それによって、恩恵を受けたものも少なからずいる。高校1年の男子生徒、折原 将もその一人である。

彼は、普通に生活を行うために必要な、喋る事が苦手であった。どこか言葉足らずな彼の生活を支えるのは、手持ちのノートパソコン。
そこに記入する文字が、彼の言葉。彼の指は、自らの唇の代わりに、キーボードに言葉をつむぎだす。
これは、彼と彼の周囲の人たちの、どこか普通とちょっと違う、そんな人間模様を描いた物語です。


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