金色の月、漆黒の風 


「覇王 対 騎士王」


「さて、それでは始めようか」

士郎が駆け出すのを横目で見るセイバーに、ギルガメッシュは轟然と言い放つ。
瞬時にその姿は、黄金の甲冑に包まれ、さすがにセイバーもそれ以上気をそらすことはできないと思ったのか、視線を戻した。

「加勢します」

ギルガメッシュの横に並ぶようにライダーも一歩でて、武器を構える。


「無用だ」
「……え?」

しかし、拒否の声を上げたのは他ならぬギルガメッシュであった。
ライダーが怪訝そうな表情で見つめると、ギルガメッシュはめんどくさそうに手を振る。


「我は手助けなぞ不要と申したのだ、娘。王である我に適う者など、この世にはおらぬ」
「よくいう……お前も私同様に、影に取り込まれたのだろう。その魔力、通常の百分の一も残っていないのは分かっている」

セイバーの言葉に、ライダーがはっとしたような表情を見せる。
確かに、目の前の青年の魔力は、彼女ですら分かるほどに、僅かなものでしかなかった。


しかし、セイバーに指摘された本人は、その言葉を一笑に付す。

「ああ、そうだな。だが、それがどうした。それでも、一月やそこらは動けるほどには残っている」
「む―――」

ギルガメッシュの言葉に、セイバーのほうこそ眉をひそめる。
自身に不利な状況。だというのにギルガメッシュは慌てる風もなく悠然としている。

「魔力なぞ、必要とあらば手にいれる方法はいくらでもある。それに―――」
「な―――」

ギルガメッシュの言葉に応えるかのように、彼の背後の空間がゆがむ。
その光景に、ライダーは眼を見張らせて、愕然とする。

彼の背後の空間より生み出たのは、無数の武具の類である。
しかも、どれもが宝具と同等の質の武具であることが分かったからだ。

「我の宝具は、その程度では些かも弱くはならぬ。もっとも、さすがにこの状態ならお前の一撃を喰らえば致命傷になるやも知れぬが―――」

ギルガメッシュの笑みが消える。
今までの轟然とした態度とはまた異質。明らかな闘気に、セイバーが押されたかのように、半歩あとずさる。

「ゆえに、ならばこそ。驕りも驕慢も捨て、王の戦いを挑むとしよう―――!」

士郎の掛けてゆく足音を合図のように、ギルガメッシュの指し示すまま、無数の武具がセイバーに向かって放たれる!

「来い、ギルガメッシュ―――!」


対するセイバーも踏み止まる。 ギルガメッシュの豪雨のように攻撃を、暴風のような剣さばきでことごとくはじき返す。


あまりの凄まじさに、手を出しかねているライダーの見守る前で、二人の王は激突する。
それは、十年前の決闘の再開でもあった。

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