金色の月、漆黒の風
VSセイバー
「バースト」
選択肢
3.まだ機会を待つ……!
VSセイバー
「意外な乱入者」
「っ――――、ライダー…………!」
信じる。
信じて待つしかない。
ここでセイバーに切りかかったところで何になる。
すでに準備に入ってしまった投影で何ができる。
俺たちの作戦は決まっている。
ライダーはそれを受け入れて、俺を一時でもマスターだと認めてくれた。
それを――――
(降りしきる刃)
「ぇ――――?」
唐突に、それは起こった。
虚空から現れた無数の刃が、ライダーに止めを刺そうとするセイバーに降り注ぐ!
「くっ…………!」
とっさに、振り上げた剣を円を描くように振り、セイバーはそのことごとくをはじき返す。
ライダーも、予想外のことに辛うじてその刃の雨から逃れることしかできなかった。
「やれやれ、ずいぶんと無粋な姿となったな、騎士王よ」
からかうような声は、俺の背後から、振り向くとそこには金髪の男がいた。
(セピア色の画像・教会内での対峙)
なぜだろう、その姿は、どこかであったような気がする。
だが、思い出せない。もはや、覚えていることのほうが少なく――――、
「ギルガメッシュ……貴様がなぜ……」
「フン、あれに喰われかかったのは貴様も知っていよう。生憎だが、我は手を上げたものを生かしておくほど寛大ではないのでな」
尊大な口調で、男が言う。
セイバーはその言葉に眼を細め、剣を構えなおした。
異様な緊迫感がその場に満ち――――
「おい、そこの下郎」
「え……俺?」
「それ以外に誰がいるというのだ? 本来なら、生かしておくのも面倒だが、心踊る戦の前に、下賤の血を流すのも馬鹿らしい。疾く、我の前から消えるが良い」
そういう男の指し示す方向は、洞窟の奥への道だった。
その言葉に、セイバーは眉をひそめるが、先ほどのように通さないような絶対の気迫が伝わってこない。
「えーと、つまり、助けてくれるのか?」
「……さて、これがお前にとって助けになるとも到底思えないが」
「?」
なにやら、含むような男の言葉に、おれは首をかしげた。
と、体勢を立て直したライダーが、俺のもとによって声をかけてくる。
「士郎、ここは先へ進んでください。少なくとも、サーヴァント二人がかりなら、セイバーも士郎を止めることは出来ないでしょう」
「だけど、大丈夫か、ライダー」
「……士郎、私達の目的は、桜を救うことです。今この場にとどまるのは、時間の浪費以外の何者でもありません」
キッパリとそう言われ、俺の気持ちも決まった。
「分かった、けど、ライダーも無理するなよな」
「ええ、分かっています。あなたも気をつけて、士郎」
ライダーの言葉に頷き、俺はグルッとセイバーを迂回するように壁際を走り、奥へと進もうとする。
セイバーは、そんな俺の動きを眼で追っていたが、すぐにその視線をはずした。
そうして、俺は無事に広間を抜けでる。通路は一本、何かに導かれるように、まっすぐに続いていた。
その先に、障害となるようなものは見当たらない。後は、桜のところまで一本道なのだろう。
「まってろよ、桜……!」
走り出す俺の背後から、再び刃のぶつかり合う音が聞こえてくる。
それを耳にしながら、おれは振り向くことなく、通路を走り続けた。
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