〜Fate Hollow Early Days〜
〜☆ぼーいず・ぽーしょん〜
今日の見回りを切り上げ、家へと戻る。まだ夜の半ばという事もあり、通りの家々には煌々と明かりがついている。
門扉をくぐり、玄関へ。ようやっと家の中にたどり着いて、俺は声を上げた。
「ただいま。誰かおきてるか〜?」
「おや、シロウ、いったいどこに行って――――」
俺の声が届いたのか、廊下を歩いて、セイバーがやってきた。彼女は俺の方を見るなり、言葉を止め、怪訝そうな顔で沈黙する。
う、何となく視線が痛い。セイバーは、無言で俺を見つめた後……俺の傍らに立つライダーに問いかけた。
「ライダー、先ほど、シロウの声が聞こえたと思ったのですが、私の聞き違いだったのでしょうか」
「いいえ、貴方の耳は正確です。別段、おかしくは成ってはいません。ただ……」
セイバーに返答するライダーは、そこまで言って口ごもり……そうして、
「この子が、その……士郎だったりするのですが」
そういって、俺の頭に手を置いた。俺の身長は、いつもの半分くらい。長身のライダーと一緒に居ると、今の背丈が、いかに低いかがよく分かる。
言っている事がよく理解できなかったのか、眉をしかめ、首をひねるセイバー。そんな彼女に、
「ただいま、セイバー」
とりあえず、挨拶をしてみた。心底、驚いたようなセイバーの顔――――事の発端は、今日の見回りに起こった事件にあった。
「さて、今日はどっちに行くかな」
夜も暮れた頃……家を出て、今日の見回りのことについて考えを巡らす。ここ最近は、見回りをしても大した収穫を得る事も無く、引き返す事が多い。
あちらこちらへと歩を進めても、もはや行き着く所は見知った場所ばかり…………これでは、何事も起こらず終わって当然だった。
「――――今日はちょっと、思い切った場所に行ってみるか」
よし、と一つ気合を入れて、俺は歩き出す。普段は寄り付かない場所に、今日はなぜか思い至り――――俺は迷わず、そこへと向かったのだった。
交差点を抜け、見知った街並みを通り過ぎ、そして――――光苔に包まれた地下洞に、俺はたどり着いた。
あの事件の後、ここに寄り付く事も無かったけど……鎖で宙吊り状態の英雄王は、元気にしているだろうか?
――――まぁ、ひょっとしたら街中ですれ違っていたり、あまつさえ話をしたかもしれないけど、俺としては記憶に無かったりする。
「とはいえ、大聖杯に取り込まれかかってたからな……あの状態でどれだけ保つのやら」
触れれば解かされ、取り込まれる黒い凝りだが、さすがに取り込む相手が相手なだけに、奇妙な力関係で飽和状態になってたりしていた。
まぁ、ここまで来たんだ。様子を覗いてみるのも面白いだろう。俺は大聖杯の場所へとテクテクと歩みを進める。その時、
「士郎」
「ん、あれ? ライダー、何でこんな所にいるんだ?」
掛けられた声に振り向くと、そこには普段着でなく、眼帯に黒衣を身に纏った、ライダーの姿があった。
俺の質問に、ライダーは憮然とした表情を崩さずに――――どこか呆れたように、一つため息をつく。
「出かけるのを見かけましたので、興味が沸いて傍に付き添っていたのです。まさか、このような場所に来るとは思いませんでしたが」
「そっか。心配を掛けちゃったな」
夜半、俺が街中を見回っているのは、セイバーをはじめ、皆が知っている事だった。
面と向かって止めるように言われた事は、数えるほどしかないが――――それでも、何かにつけて気に掛けてくれているのは知っていた。
今回のライダーの行動も、人知れず俺を護ろうとしての行動である事は間違いないだろう。
「別段、さほどに心配はしていませんが……今後、出歩く時は、私にも声を掛けてください。セイバーほどでないにしろ、護り手としては不足しないと自負していますので」
「セイバーほど……って、まさか、ライダー」
言葉の節に思い当たる事を感じ、恐る恐る聞いてみると――――ライダーはとても愉しそうに笑みを浮かべたのであった。
「はい。二人が、夜中に連れ添って出かけるのを、何度か目撃させていただきました。最初は、逢引かと懸念を浮かべたのですが」
「デートって――――そんな色気のあるものじゃないぞ」
「ええ、分かっています。さすがに、帰ってきた時の二人の真剣な表情を見れば、そのくらいは理解できますので」
どこか揶揄するように、からかうような口調で話すライダー。沈黙する俺の横を通り過ぎ、ライダーは滑らかに振り返る。
紫紺の髪が、洞窟内の鈍い光を受け、艶やかに光沢を放った。見とれる俺に、ライダーは笑顔で言葉を続ける。
「話はこれくらいにして――――先へ進むとしましょう。前方には不穏な気配もありますし、露払いは任せてください」
「あ、ああ。よろしく頼む」
何となく、知らぬ間に同行を承諾させられてしまったが、良いのだろうか?
ライダーが同行して、困るという事は無い。むしろ、卓越した戦闘スキルとか、助けになる面も多々あるだろう。
ただ、何となく気になったのは、ライダーと一緒に見回りをした事を、セイバーが知ったら――――どんな行動にでるかという事であった。
「けっこう、根に持つからな――――今更、どうしようもないけど」
一つため息をつき、俺はライダーの後を追うように歩を進めた。何はともあれ、大聖杯の祭壇跡に向かうとしよう。
そうして、地下洞を抜け、俺とライダーは大聖杯の祭壇跡へとたどり着いた。
閉塞された広大な空間に広がっている瓦礫の山――――かつて、大聖杯と呼ばれた願望機の在りし場所に…………、
「ふっ、てこずらせてくれたものだ。しかし、王である我の深謀には、適わないであろう。所詮は辺境の魔術師の残した遺産でしかないという事だ」
はっはっは、と、高らかに笑いつつ、勝ち誇ったように窪みの淵を見下ろしている英雄王がいた。
どうやら、自力で黒い凝りから脱出したようである。町の平穏のためには、もう少し取り込まれてた方が良かったかもしれないが。
「む、誰かと思えば雑種に蛇ではないか。珍妙な取り合わせだが、セイバーに愛想を尽かされでもしたのか?」
「いきなりな挨拶だな。ライダーとは、さっき合流したばかりだよ。セイバーは、家でくつろいでると思う」
そういって、俺はざっとギルガメッシュを一瞥する。英雄王は五体満足で、悠然と立っている。
…………大聖杯の方も、英雄王のような規格外を吸収するのは難しかったんだろうか?
「なにやら我に含む所があるようだな。今は上機嫌ゆえ、聞いてやっても良いが」
「別に、お前と口喧嘩するつもりは無いけど――――いったいどうやって脱出したんだ? 立派な鎖使っても、振り解けなかったのに」
ミノムシのごとく簀巻き状態のギルガメッシュを思い出し、俺は質問を投げかけてみる。ギルガメッシュはその問いに得意満面の表情を浮かべた。
「何、所詮は知能を持たぬ泥濘のごとき代物よ。我のコレクションを幾ばくか与えたら、そっちに群がったわ」
それはつまり……ギルガメッシュより、コレクションとやらの方が、泥には美味しそうに見えたのだろうか?
などと意味も無い事を考えながら、俺は興味をそそられ、穴の淵から中の様子を覗き込んでみた。
「う――――なんだ、ありゃ?」
そこには、金銀財宝が山と詰まれており、その上をまるでナメクジのように黒い泥が這いながら、財宝を溶かしつつ蠢いていた。
まるでシロップを注がれたかき氷のように、財宝は見る見る堆積を減らしてゆく――――遠坂が見たら、あまりの理不尽さに暴れだしかねない散財っぷりだ。
「はっはっはっ、面白いであろう? 知能を持たぬくせに、食欲だけはある。そら、もっと喰らうがいい」
その言葉とともに、様々な金銀財宝がギルガメッシュの背後の空間に産み出されては、地面に落ちる。
ギルガメッシュは、財宝の幾つかを手につかむと、まるで金魚に餌をあげるような感じで、ポイポイッと穴に投げ捨てた。
投げ捨てられた財宝に、泥が早速にじり寄ると、溶かして取り込み始める。そんな様子を、満足そうに英雄王は見下ろしていたのだった。
「しかし、随分と大盤振る舞いだな。そんなことして良いのか? 一応、自慢のコレクションなんだろ?」
「なに、無くなれば、民衆よりかき集めるだけの事よ。我を誰だと思っている?」
そんな事を言いながら、踏ん反り返る英雄王。ああ、小さい方って、本当に良い奴だったんだなぁ。
ライダーも何か言ってやってくれ……と半ば諦めた表情でライダーのほうを見ると、ライダーは地面に落ちているビンらしい物を手にとって、しげしげと眺めているところだった。
「あれ、ライダー……? いったい何を手に持ってるんだ?」
「はい――――その、何となく妙な雰囲気を漂わせた宝物がありましたので、様子を見ようかと」
ライダーの手に持っているのは、古ぼけた陶器の瓶である。なにやら厳重に、十重二十重に封印が施されているようにも見える。
どうやら先程の王の財宝に紛れ、異空間より出てきた物品のようだ。中に何が入っているのかは分からない。
「ほぅ、それに目をつけるとは、さすがは蛇。目ざとさでは比類ないのは他の輩と一緒らしいな」
と、ライダーの手にしたそれを見て、感心したように言葉を発したのはギルガメッシュだった。
どうやら、その口ぶりからするに、ライダーとは別に、ライダーに似た英雄を知っているかのようだった。
「英雄王、これは一体、どのような代物なのですか? 感触からして、中に何かの液体が入っているのは間違いないようですが」
ライダーは、手に持った瓶を振り、中の感触を確かめるようにしながら、ギルガメッシュに質問を投げかける。
だが、ギルガメッシュはというと――――答える気はないのか、からかうようにライダーを見て首をかしげた。
「知りたいか? 知りたいのなら開けてみればよい。我は別に止めだてはせぬ」
「――――そうですか、それでは遠慮なく」
ギルガメッシュの言葉を額面通りに受け取って、ライダーは瓶の封の部分に手を掛ける。どうやら、封を取り外すつもりらしい。
「といっても、そう簡単に開けれる代物ではないがな。常々より厳重に封をし、開けるときも細心の注意を払って――――」
めきょり。
ギルガメッシュの言葉が止まる。明らかに不吉な音は、俺の隣にいるライダーの手元から聞こえた。
おそるおそるライダーを見ると、ヒビの入った瓶をもって途方にくれたような顔をしている。
「ラ、ライダー……?」
「その――――簡単に開けれるような気がしたので、ついつい力任せに封を開けてしまったのですが……まずかったですか?」
気まずそうに問うライダーの声に、ギルガメッシュの反応は無い。呆然とライダーの手元を見たままのギルガメッシュ。と、次の瞬間――――、
「む……いかん」
ぽつりと呟くと、大聖杯の大穴に身を翻して、そこへと飛び込むギルガメッシュ。その行動に反応するよりも早く――――。
ぽんっ! と普段では聞きなれない音とともに――――霧のような水蒸気と、爆風がその場を荒れ狂ったのである。
「うわっ!?」
「士郎!」
霧吹き機を思いっきり頭から浴びたような感じ――――もしくは、唐突な小雨と暴風にみまわれた時といったほうが適切だろうか。
バランスを崩した俺は、地面にしりもちをつき、ライダーのほうを見る。ライダーは、あの小規模の爆発でも無事だった。
爆発というよりは、水蒸気の爆散と言った方が適切か……その身体はぐっしょりと濡れていて、足元には砕けた瓶の残骸が転がっていた。
「ライダー、大丈夫か?」
「ええ、驚きはしましたが、大丈夫です。士郎のほうこそ……――――!?」
そこまで言って、ライダーは驚いたように俺の方を見て、急にずずいっと近寄ってきた。
「な、ら、ライダー……ちょっと近いって」
「その身体は、いったい如何したんです、こんな……」
屈みこんで俺を見下ろすライダー。あれ……? 何か、遠近感がおかしくないか。いつもより、ライダーを見上げなきゃならない、っていうか……。
「な、なんだ、これ!?」
慌てて、自分の身体を見下ろす。明らかに小さくなった子供のような俺の手――――握ったり開いたり、思ったとおりに動く手は、間違いなく俺の手だった。
それで、俺も気がついた。明らかに、俺の体が小さくなっている。だけど、いったい何が――――、
「おお、随分と小物になってしまったな、雑種。そちらの方が、可愛げがあるのが、せめてもの救いか」
「な……ギルガメッシュ、原因はお前か!?」
混乱した俺は、ギルガメッシュに問いただす。しかし、件の英雄王はフン、と鼻を鳴らして俺を一瞥した。
「我のせいではない。言うなれば事故のようなものだな。蛇の持っていた薬の効果が出ただけの事よ」
「薬――――さっきの瓶か」
「ああ、神酒と呼ぶ薬膳でな。使用者の潜在意識から一部を切り取り、固定化させる。我が幼年体になるのに使った薬と似た代物よ」
なるほど、ギルガメッシュが子ギルになるのに使った薬か――――……って、のんきな事を言ってる場合じゃない!
「じゃあ、俺はずっとこのままなのか!?」
「我はそれでも一向に構わないが――――そうは成らないだろう。本来あれは、密閉した物質を身体の中に取り込んで定着させる」
「?」
「単純に言えば、飲み薬を身体に振り掛けたようなものだ。何かの間違いか、効果を発揮しているが、一晩経てば元に戻っているであろうよ」
その言葉に、安堵のため息をつく。もしずっと、こんな子供のままでだったら、どうしようと思っていたからだ。
と、沈黙する俺に代わり、ライダーがおずおずと、ギルガメッシュに質問をしたのはその時だった。
「あの……士郎の状態はよく理解できました。ですが、士郎よりも近くに居た私に、何の変化も無いのは……どういうことでしょうか」
「先程の話を聞いていなかったのか? 雑種の要に、如実に効果が現れた方がおかしいのだ。まぁ、体質的なものなのかも知れぬが」
我はそこまで関与せぬ。と言外に言い切られ、沈黙するライダー。結局、薬のために小さくなった身体を、即座に元に戻す方法は無いようだった。
そうしてそれから、ギルガメッシュをその場に残し……帰りはライダーに背負われて、なんとか家までたどり着き、今に至るのだった。
「――――なるほど、話は分かりました」
手短に説明を終える俺に、静かにセイバーは頷いた。といっても、眉をしかめて、顔は明らかに怒っていたのだが。
「ですが、納得できない事もあります。どうして、一人でそのように危険な所に行ったのですか?」
「一人、って……ライダーも居たんだけど」
「それは結果論です。そもそも、私ならシロウをどのような危機からでも護ってみせる。なぜ私を連れていってくれなかったのですか?」
怒った表情で、セイバーは俺に詰め寄る。どうも、ライダーと一緒に見回りをした事で、随分とご立腹らしい。
口では一言もそんなことは言わないが、表情では明らかにそう言っているように見える。
この前、剣の修行でもライダーに習った技を見せたら怒ってたしな……この分野は今後、セイバーに一任したほうがいいかもしれない。
「セイバー、そんな風に怒るべきではないでしょう。いつもならともかく、子供の士郎が相手では、貴方が暴君にすら見える」
「む――――」
と、その時、ライダーが静かに横槍を入れた。セイバーはいつもならムキになって反論をするが、今の俺の姿に思うことがあったのか、押し黙って考え込んでしまう。
ともかく、玄関先にずっと居るのもなんだし、居間にでも行こうか……俺は、ブカブカの靴を脱ぐと玄関に上がろうとして――――、
びたんっ!!
思いっきり転んだ。いつもの調子で足を上げたせいで、足の脛部分をぶつけた挙句、顔面からすっ転んでしまったのだった。
「し、シロウ――――大丈夫ですか?」
「あ、ああ。大丈夫だ、ありがとう、セイバー」
セイバーの手を借り、立ち上がる。すると、セイバーは俺の身体についた埃を落とすかのように、パッパッと服を優しくはたいてくれる。
転んだ子供に、母親がするような事をされて、俺はなんとなく……こそばゆいような、恥ずかしいような気分になった。
「ちょっ、いいから、セイバー」
「じっとしていてください。今は、貴方の世話を焼くべきなのでしょうから」
恥ずかしがる俺だが、セイバーは微笑を浮かべてそれを聞き流す。正直、これ以上セイバーに触られたら、心臓がおかしくなってしまうだろう。
俺はセイバーから身を離し、玄関から立ち去ろうとした。
「とりあえず、今日はもう寝るから。セイバーもライダーも、ゆっくり休むんだぞ……それじゃ、おやすみ」
要件だけを手短に告げ、俺は小走りに廊下を走り出す。と、後ろから聞きなれた足音。
今の背丈では、とうてい引き離せない。まぁ、いつもの身体でも、彼女から本気で逃げ切れるとは思えなかったが。
「何で、追ってくるんだっ!?」
「追っているわけではありません。ただ、シロウの部屋で一緒に夜を明かそうと思ったので。今のシロウの身体状況では、危機的状況に対処できませんから」
何を言い出すんだ、このセイバーは――――! あれ、そういえばライダーは?
「ライダー、先輩が大変な事になっているって本当!?」
「ええ、セイバーがついていますが、どうしたものかと」
「あれ、どうしたの桜? そんなに急いで」
と、居間の方からそんな声が聞こえてきた。何だか、またややこしい事になりそうだった……。
その後――――事の経緯をかいつまんで説明した後……俺の部屋に泊り込もうとするセイバーと、止めようとする桜。
面白そうに傍観している遠坂と、どうしたものかといった表情のライダーといった風に場は展開していたのだった。
「ですから、私はシロウの身の安全を考慮して――――」
「それは、そうかもしれませんけど……やっぱり駄目ですっ。不許可なんです〜!」
「へぇ、魔術っていっても、変わったのは肉体だけで、服までは作用してない、か。とすると、戻る時も大変かもしれないわね」
「――――はぁ……」
言い合うセイバーと桜。それを尻目に俺の身体をペタペタ触る遠坂に、人知れずため息をつくライダー。
そうして、夜はとっぷりと暮れてゆく――――結局、セイバーと桜が俺の部屋に止まる事になり、自室で三人、川の字になって眠る事になった。
横になって、天井を見上げる。時刻はすでに日付が変わった真夜中。だというのに、俺は眠気を感じない。身体の変化で、バイオリズムが変わったんだろうか?
「――――」
「すぅ、すぅ……」
しかし――――小さい事が、こんなに不便だったなんてなぁ……高い所に手が届かないし、布団を敷くのも桜に任せっきりにならざるを得なかった。
明日の朝には元に戻ってればいいけど……セイバーの緩やかな息づかいと、桜の寝息が聞こえる部屋で、俺は言葉に出さず、そう願って眠りについたのだった。