〜Fate Hollow Early Days〜 

〜リ・スタート〜



そうして、真夜中の十二時手前――――世界は再び終わりを迎える。
この先は無い、四日目の終焉…………地には黒い獣があふれ、命あるものは残っていない。

世界を完全に終わらせる、総ての終幕。そんな中で、わずかながら変化というものが起こっていた。
地にあふれる黒い獣――――総てが同じであるはずの中に、二つのグループができつつあった。

黒い影を形どる獣……姿は似通っていたが、わずかに一回り小さい獣が混ざっていた。
その違いは些細なもの――――しかし、それは獣達にとって、看過できないモノだったらしい。

声なき声を上げ、大きな獣は小さな個体へと襲い掛かる。襲われた方が少数であり、貧弱であったため、戦闘とすら呼べぬ、虐殺が展開された。



「結局、今回もたどり着けず仕舞いか――――」

苦笑を浮かべ、視線をはるか遠くに移す。はるか遠くの摩天楼。天に伸びる楼閣には、彼の女が待っているというのに、そこまで辿り着ける力を持っていなかった。
じりじりと、包囲の輪を縮めてくる獣達。オレというイレギュラーを決して許さず、衛宮士郎の身体を千々に引き裂こうというのだろう。

「は――――」

観念して、オレは立ち尽くす。周囲を覆い尽くす無数の獣の群れ。しかし、その時、意外なことが起こった。
オレの周囲を、獣が取り囲む。しかし、そいつらの向きは……中心部に居るオレにではなく、外側に向けて牙をむいていたのである。

「何だ、こいつら……?」

いかなる状況か――――何体かの小さな獣が、まるで俺を守るかのように、輪を作って他の獣に相対していたのである。
もっとも、そんな事をしても何の意味も無いが……砂の堤防では津波を止めることが出来ないように、オレやこいつらでは、あの獣達に太刀打ち出来るはずも無いのだから。

「変なやつもいるもんだな」

苦笑して、オレは空を見上げる。その空も、数秒後には見えなくなるだろう。獣に襲われるよりも、ほんの数秒早く――――四日目のオレの人生はそうして終了したのであった。