〜Fate GoldenMoon〜 

〜君を想う(18x)〜



「はぁ、ん、ああっ……」

じゅぷ、と、身体の一部が飲み込まれる音。
ほどけた黒髪が、ベッドの上に広がる。汗ばんだ体臭が鼻腔を刺激し、狂いそうな心地よさを感じる。

「あ、んっ……だめっ、もっと、ゆっくり――――」
「――――」

キモチイイ……ただ、肉体の交わりが、というだけではない。
遠坂凛が処女だという事も、恥じらいをこらえながら受け入れてくれるのも、性欲を掻き立てる。

荒い息遣い、壊れた廃墟で、背徳的な交わりを繰り返す、閉じた時間。
このとき、この瞬間は、全てにおいてただそれだけを優先する事が出来た。

「く、ぅあっ……おねがいっ、そんなに激しくされちゃ――――」

痛みのせいか、遠坂は涙を流しながら、そう口にする。
気持ちよくなりたい……それは遠坂も一緒に、だから、そのためにはもっと優しくしないといけない。

破瓜の血が流れる、俺と遠坂の繋がったトコロ、ペースを落とし、肉と肉とを擦りあうように、互いに高まるように。
掻き乱してグチャグチャに犯したい征服欲をこらえながら、それでも、その心地よさに息が荒くなる。

「は、ぁ――――ん、おおきいの、アタシの身体の中に入ってる……!」
「遠、坂――――」

遠坂の声に、脳髄が、脊髄がしびれる。
一つ一つの単語が、遠坂を犯していると実感し、早く汚したいと、身体が求めている。

唇で、遠坂の口内を犯す。甘い香りと、遠坂の味……絡まる舌に遠坂の唾液を絡め、嚥下した。
荒い息をする双丘の頂は、桃色の尖った部位が、際立って目立っている。
腰を打ち付ける衝撃で、遠坂の下半身は時折、痙攣するように震え、それがまた、いっそうの快感を感じさせる。

――――何もかも、滅茶苦茶だった。
気持ちよくて、遠坂の身体を犯しているというのに、それだけでは物足りない自分がいる。
もっともっと、体中、細胞の一つに至るまで、遠坂を感じたい。

終わる事はない快感、身体が経験したことを、今、この場でも再現している。
細い少女の身体、締め付けられる性器、こらえる事も出来ず、そのまま、彼女の身体の奥へ――――

ドグッ、ドグッ…………!


「あ、、やっ、なかに出しちゃ――――うぁっ!」

射精した、その事実がありながら、身体はいっこうに萎える事はなかった。
組み伏せていた遠坂の身体を四つんばいにさせ、尻を高く持ち上げる。張りのある腰のライン……その中心から、交わった証である白濁がどろりと溢れる。

「ちょ、ちょっと、士郎……! なんて格好させ……ひっ!?」
「いや、ちょっとな……」

遠坂の身体が、びくりと縮こまる。俺の指が、遠坂のお尻の穴をさすったからだ。
何をしたいのか分かったのか、遠坂は慌てたように、首を振る。

「やっ、だめよっ……! そんなことしたら、嫌いになっちゃうんだからっ……!」
「む」

そう言われ、さすがにそれ以上するのは躊躇われた。それでも、遠坂を犯したいという願望は収まらない。
先ほど交わったばかりの、遠坂の身体の中へと、再び進入する。

「ひぅっ……あっ…………なんか、さっきよりも、深ぃっ……!」

新雪を踏むような快感……遠坂の身体は、奥へ、奥へといくにつれて、快感が増すように感じる。
生殖のための器官を肉の壁にこすりつけ、再び遠坂の身体を染めようと、本能のままに動く。

「ぅあ、そんな、ダメっ――――頭、おかしくなっ――――!」

突くたび、引き抜くたび、大きな快感が繰り返し襲う。
玉のような汗が浮き、それすら潤滑油にするかのように、身体を密着させ、獣のように互いを貪った。

狂いそうな快感は、すぐに次の射精を促した。
彼女の身体の奥深く、子宮の壁を染めながら、ビクビクと、精を排出する――――、

「くうっ……!!」
「ぁ、――――――――!!」

遠坂の身体が、瘧のように激しく震えた。ブルブルと震える彼女の身体。
ギュウッと締め付ける感じの、彼女の中から引き抜くと、彼女は絶頂の余韻に浸るかのように、身体を再度、振るわせた。



そうして、満足げな遠坂の傍で、俺は何故か、物足りなさを感じていた。
何かが足りない。この場面、この情景、足りないものを探し、周囲を見て、そこに立ち尽くす彼女を見つけた。

「そうだった、来いよ」
「っ……!」

俺の言葉に、びくりと身体を震わせるが、その娘は臆することなく、俺のもとへと歩み寄ってきた。
金髪の髪、そして、碧眼――――……? 何か、違和感があった。

薄布に包まれた少女の身体を前に、俺は戸惑ったように動けない。

「どうしたの、士郎? 何か、戸惑ってるみたいだけど」
「あ、マスター……?」

熱に浮かされたような感じの遠坂が、少女の身体に蛇のように絡み、その身体を弄る。
少女の頬をなめ、慎ましやかな胸を揉み、そうして、薄布に包まれた、少女の秘められた部分へと手を伸ばす。

くちゅ……と、湿った音。静かな廃墟の中に、その音は大きく響くかのように聞こえた。
少女の顔が、真っ赤になり、それを見ていた遠坂が愉しそうに微笑んだ。ひょっとしたら遠坂、百合の気があるかもしれない。

「ほら、この娘だって、ちゃんと出来るようになってるんだから、してあげなさいよ、士郎」
「きゃっ」

遠坂が突き飛ばすように、少女をベッドへと放る。
思わず俺は、少女を抱きとめていた。どこか、怯えたような表情の少女。しかし、身体のほうは正直で、続けて行う交わりに、血が上っていた。
少女の唇を奪う。少女はどこか怯えたように、しかし、拒絶することなく、俺を受け入れていた。

――――それで、止まらなくなった。

慎ましやかな反応と、初々しい表情。僅かな違和感はあっても、行為自体に歯止めをかけるものではなかったのだ。
あの夜の再現……互いに初めての交わりだったあの夜を繰り返すように、俺は彼女を抱こうとした。

「ひゃ、や、あっ……!」

溢れる愛液、火照りだした身体……身体を弄る俺の手に敏感に反応し、戸惑う声をあげる。
小ぶりな胸を舐め、そのまま下へ――――、鎖骨、脇腹、腰、そうして、彼女の閉じた花弁へと到達する。

「やっ、まってください、そこは――――!!」

慌てる声を無視し、俺はその部分に舌を這わせる。甘い……極上の蜜を舐めているかのように、うっすらと毛の生えた彼女のその部分は、蜜を溢れさせる。
閉じた花弁は少女の形を留めており、ここに今から俺のものが入るか、不安になりそうなほどであった。
ぴっちりと閉じた花弁を押し広げ、俺はその中へと舌を進入させる。

「――――――――!」

声もなく、身体を振るわせる少女。温かい彼女の中を味わい、俺は舌を抜いた。
彼女の身体を抱き上げる。細身の身体は、俺の腰の上にのっかり、戸惑った表情を浮かべる。

「さ、準備は出来たみたいだし、始めましょ」
「始める、と言われても……」

ベッドの隅で見ている、観客である遠坂の言葉に、泣きそうな表情を浮かべる少女。
その様子に苦笑を浮かべると、遠坂は俺達の方に、にじり寄った。

少女の後ろに膝立ちになると、少女の腰を上げ、横になった俺の、屹立した生殖器の上へと導いた。
そうして、遠坂は――――、

「は、むっ――――」
「と――――」

声が、でない。遠坂の頭が、俺の股間を覆っている。その唇が、俺の猛り狂ったものを銜えている。
這い回る感触なは、遠坂の舌か、思わず反射的に射精をしそうになり、俺は必死にこらえた。

ビクン、ビクンと震える肉棒に遠坂は悪戯っぽく俺の方を見た。
ちゅぽ、と唇から引き抜かれる。遠坂の唾液で光っている生殖器は、爆発寸前になっていた。

そうして、今度は遠坂は、少女の花弁へと頭を向ける。水の滴るような音。

「ん、ちゅ、ちゃっ……」
「ぁ、ぁぁ……」

舌が少女の股間を這い回り、少女は真っ赤になりながら、熱に浮かされたようにそれを受け入れる。
遠坂は、そのまま少女の腰に手を当て、ゆっくりと移動させる。ボウッとしたまま、少女はなすがままに従い――――、

「そのまま、腰を下ろしなさい」
「――――――――」

亀頭と、膣口が触れ合う。生殖器が、呑み込まれていく――――、
少女の顔に、苦痛の表情が生まれ、それでも、少女は腰を下ろすのを止めようとはしなかった。

彼女の身体を引き裂くような感触。その後には、彼女の奥底まで、留まるものもなく、最奥へと俺は到達していた。
結合している部分からは、破瓜の血が流れ、赤く染め上げていく。
その光景が扇情的であり、遠坂のせいで前もって爆発寸前だった俺の身体は、堪える事も出来ず、精を溢れさせていた。

下から上へ、まるで間欠泉のよう――――白い濁流は吹き上がり、彼女の子宮を染め上げる。
無垢な締め上げは、間断なく、幾度も幾度も、射精の衝動は続けられた。

「よくがんばったわ、偉い偉い」

愉悦の声をあげる遠坂。そして、声もなく、身を震わせる少女……やはり、おかしい。
ここは、どこなのだろう、今、俺と交わっているのは、遠坂の英霊じゃなかったか……。

これは、夢か、現実か――――横たわりながら、周囲を見た俺は、そこに見つけることになった。
ぼやけた光景……見知った鎧姿、金色の髪……しかし、俺は――――、



「セイバー……」

飛び起きる事もなく、俺は目を覚ます……気分は最悪だった。
夢の中で、遠坂とジャネットを犯すような自分に自己嫌悪し、加えて、一つの事柄に突き当たり、俺は叫びたくなった。

敬愛し、尊敬した彼女。その記憶が、徐々にではあるが薄れてきているのを感じたのだ。
今はまだ、はっきりと覚えている。しかし、数年後には、彼女の面影すら、自分は覚えていないのではないか。

記憶に留まるものを何一つ残さず、俺の前より消えた最愛の人。
想いはいつまでも残る。しかし、それを形作るものは、時と共に劣化し、曖昧になってゆく……。

「俺は、君を想っている」

それは、事実。でも、それだけでは、どうしようもない現実もあった。
永遠に叶わない願いを抱え、俺はどこへと行くのだろう……?

傍らで眠る、イリヤを起こさないように、そっと寝床を抜け、窓を開ける。
風と共に開けた光景は、夏の夜……空には月はなく、ただ煌びやかな星々の輝きがあった。

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