〜Fate GoldenMoon〜 

〜幕間・白湯流音(18x)〜



ざぱ〜ん

浴槽につかりながら俺はその光景に困惑していた。
本当に、どうしてこうなってしまったんだろうか。なにやら、泥沼の奥へ奥へと向かっているような気がする。

雨に降られたくらいで、お風呂に入ろうと言い出したのがよくなかったのかもしれない。
加えて、今は夏の夕方である。ぬるめのお湯は、湯気なんて出すことも無く、そんなわけで、何もかも丸見えだった。

「ほら、シロウ。もっと詰めて。私が入れないわよ」
「あ、ああ」

生返事をし、浴槽の片側に寄る。と、その目の前をイリヤの足が通過した。
浴槽に入るために、縁をまたぐのはしょうがないが、しかし、細い足首や張りの良い太腿……そして、その付け根まで丸見えなのはどうしたものか。

俺だって、健全な男子なんだぞ〜、と心の中で叫んでみる。
もっとも、そんな俺の内心の動きなどいざ知らず、イリヤは肩までつかって、大きく息をついた。

「う〜ん、いいお湯よね。シロウ、どうしたの?」
「いや、別に……」

気恥ずかしくて、目をそらす俺に、イリヤは面白そうな表情で、クルクルと瞳を輝かせながら顔を寄せる。

「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに。シロウの裸なら、前にだって見たことあるのよ」
「なんだって!?」

その言葉を聞いて、気が動転した。はだかを見られた、って、いつ、どこで?
あの時か、あの時か、あの時か――――そんな慌てた様子をみて、イリヤは面白そうに破顔し、答えを言う。

「ほら、半年前、私の城に招待したときよ」

あの時か……ほぼ拉致同然、と言うか、完全に拉致監禁だった当事の場面を思い出し、俺はげんなりした。
公園から、イリヤの城までの半日、何があったかは想像したくは無かった。が、

「森に入ってからは、バーサーカーに運ばせたんだけど、そのせいであちこちドロドロになっちゃったから、一緒にお風呂に入ったのよ」

などと、逐一詳細に話してくれるイリヤ。それはそれは、随分と楽しそうに話を続ける。

「リズが、とっても綺麗な身体だ、って褒めてたの。あ、リズって言うのは私の使用人の女の人よ」
「――――」

つまり、あれか。意識無くした俺は、拉致されて風呂に入れられた挙句、見知らぬ女の人に隅々まで洗われた、と……。
男子として、ひどく傷つく話であるが、イリヤは正しいことをしていたと思っているのか、怒るに怒れなかった。



「だから、こういうことも平気なのよ」
「っ――――!?」

その時、唐突に身体が反応した。白色のお湯の中、イリヤの手がどこに触っているのか、感覚で理解する。
そこは、俺の股間、生殖器の――――、

「い、りや――――」
「くすっ、お兄ちゃんったら、こんなに硬くなって、そんなに私の裸が気になったの?」

違う――――とはいえなかった。
肩までお湯につかり見えないその身体。それは見えないせいか、余計に蟲惑的に、その身体に興味を持ってしまったのだ。

イリヤの手がうごめく。まるで、一本一本が舌先のように、俺の生殖器に絡みつき、快感を送りつけてくる。
ペニスの先端から睾丸の根元まで、なでるように優しく、引きちぎるように強く、愛撫は行われる。

「ぁ――――」

我慢など、出来ようはずは無かった。お湯の中で、俺はイリヤの前で、無様にも射精をしてしまう。
どろりとした精液は、お湯に混じるように、白く湯のなかにただよった。

「は――――」
「お兄ちゃん、ほら、私の中、こんなに――――」

脱力する俺の前で、イリヤは俺にお尻を向けるように、浴槽に立つ。
濡れて光るお尻、付け根の太腿、そうして、毛も生えそろわず、俺を誘うようにヒクヒクと蠢くピンク色のひだひだが目に映った。

脳が熱を持って、まともに思考が出来ない、身体は熱を持ち、施行すらおぼつかない。
だが、それでもその身体は動いていた。犯したい……それは、常日頃では決して実行に移せない欲望の熱。

ザバッ、と音を立てて、浴槽に立つ。すでに屹立している生殖器は、イリヤの中にいつ入るかと、期待に震えているよう。
朦朧とした思考を総動員して、するべきことを考える。そうして――――

じゅ、ぐ、ずっ……

「あ――――」
「い、た、ぁ――――」

獣のように、後ろからイリヤの小さな穴へと、ペニスを進入させる。
犬の交尾のように、後ろからイリヤに覆いかぶさると、その慎ましやかな、可愛い胸をもむ。

突くたびに、イリヤの奥へと進んでいく。とろける様な快感は、その反面、イリヤの身体をこわばらせていた。
身を起こし、股間の結合部を見る。その股間から、純潔の証が赤く流れ出していた。

パンパンと腰を打ちつける音、ザブザブと浴槽のお湯が揺れる音が聞こえると言うのに……。

ぴちょ、ぴちょ、ぴちょん……

真っ赤なその赤が、太腿を流れ、伝い落ちながら、お湯に落ちる音は、何よりも大きく俺の耳に響く。

「――――!」

歓喜の声をあげる。少女の未開の地を踏み荒らす快感。身を硬くしながら、それでも耐える少女の身体。
その小さな尻部をつかみ、味わいつくすように身体を打ち付ける。

「あ、あ、シロウ――――お兄ちゃん――――!」
「だ、すっ……射精(だ)すぞっ、イリヤっ!」

先ほどまで処女だった、その身体の最深部、生命の神秘を生み出すその機関に、俺はその欲望をありったけ注ぎ込んだ――――



「シロウ、シロウったら、どうしたの?」
「あれ、イリヤ――――?」

声を掛けられ、俺はハッとなった。気がつくと、そこは相変わらず、浴槽の中だった。
目の前には、心配そうに俺を覗きこむイリヤ。その様子は、いつもどおりだった。

「そうだよな……いくらなんでも」
「?」

多分、夢だったのだろう。そうでなければ、イリヤにあんな事するなんて説明がつかない。
お湯にのぼせたせいか、だるく感じた身体をほぐし、俺は息をつく。

その隣では、イリヤが不思議そうに、或いは可笑しそうに小首をかしげていた。
そうして数分後、俺とイリヤはお風呂から上がったのだった――――。

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