〜Fate GoldenMoon〜 

〜Another Seven Day〜



そうして、二人はそこにたどり着いた。
山の中腹、その寺のはるか地下――――洞窟の最深部にその祭壇は未だに存在した。

それは、巨大な器。聖杯という器を助ける、大聖杯。
その雄大な姿が見える、丘のふもと。面白そうに小柄な少年が、目の前にそそり立つ、その建造物を見上げた。

「しっかし、大きいなぁ……エリン、本当にこれが?」
「ああ、そうだ。聖杯という存在を動かす大元。これこそが聖杯戦争の中核だ」

少年の質問に、二メートルはあろうかという体躯の青年は、実に楽しそうに答えた。
槍を持った少年と、大男のコンビ。彼らはこの冬木市中を探しまわり、とうとうここへとたどり着いたのだった。



「今まで続いた聖杯戦争の中で、この存在に気づいたものは皆無だった。前回、前々回優勝者の衛宮父子も、残念ながら知り得なかった」
「ふ〜ん、で、これを使ってどうするんだよ、エリンは」
「そうだな……」

少年の言葉に、大男は考え込み――――それを中断するように顔を上げた。

「それを考えるより、ここを守る者をどうにかするのが先だろうな」
「お出ましってことか……今回は、思いっきりやっちゃっていいんだよね」
「ああ、いいぞ。ルーフ」

楽しげに槍を構える少年、ルーフに、魔術師の大男、エリンは頷く。
丘の上より、彼らに近づいてくる三つの影があった。

一人は老人、一人は、眼帯をした美女。そうして、もう一人は――――

「え、桜、姉ちゃん――――?」
「ルー……君?」

驚いたのは、どちらが先か、槍を持ったランサーの少年と、妖艶な美女、ライダーを従えたマスターの少女は呆然と互いを見る。



「良くここを嗅ぎつけたものじゃな、お若いのに大したものじゃて」
「いやいや、ご老体には及びませんよ。聖杯の管理者殿」

対峙するのは、古代の魔術師、間桐臓硯と、時計塔の魔術師、エリン。
大聖杯の祭壇の陰に潜むように、もう一つの影、臓硯の英霊であるアサシンが隙をうかがい、
呆然とした表情の、桜を庇うようにライダーが前に出、それを見て、槍兵の少年が槍を構えなおす。

風すら届かぬ洞窟の奥深く、じりじりと身を灼く様な空気の中、周囲は一触即発な雰囲気を帯びていった――――




……Another Seven Day End

      Go To Golden Moon......


戻る