〜Fate A Bond of Bluish Purple〜 

〜それは誰かの独白〜



いつからだろうか……その人のことを好きになったのは。
理由なんてものは、ささやかなもの、些細な出来事。それは、過去という言葉で覆われ、今には何の意味も無い。
それでも、何ものも拒絶した私にとって、その人は晴れた日のお布団を連想させた。

優しいそれに包まって……まどろみの中に埋もれたら、どれほど楽なのだろう。
そのようなこと、出来ないと分かっていても、せめてそれを夢見ることは罪ではないはずだった。
しかし、私のせいで、その人は今、大変な目にあっている。身体も魂も解かされ、砕かれてしまった。

私の、存在自体が罪なのだろうか、いったい、なにが悪かったというのか。
悪いのは誰、悪いのは誰…………?

私という存在そのものが悪と言うのなら、私は私をためらわず砕こう。
でも、私をこんな風にしたのは、誰――――身体も汚され、魂すら束縛されてしまうような目にあわせたのは、誰?

瞳の無い目で、私は地の底より地上を見上げる。そこにはいまだ、のうのうと生きている人々と……見覚えのある、黒い髪。
姉さん……私とは正反対の人……汚泥と闇に包まれた私とは真逆の、光と正道に生きるあの人……。
いつも羨ましいと思っていたそれが、今はひどく、気に障った。



憎い、憎い…………砂を食む様な苦味が、口内いっぱいに広がる。
全てに恵まれた姉さん。それから目を背け、上辺を取り繕っていた私……そんな必要は全く無かったのに。

壊してしまおう、砕いてしまおう――――たとえ世界がそう望まなくても、私はそれを欲している。
黒い淵より私は願う……乖離された世界の果て――――穢れた世界にとどまり、私はそう願い続けていた……。


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