大番長・西欧編 

久那妓とミスティ



「クーナ、クーナっ♪」
「ん……なんだ、ミスティ」
「これから、どこいくの?」
「修行だ、ミスティも来るか?」
「うん」

テクテクと、久那妓の後をついて歩くミスティ。
カルガモの雛よろしく、最近ハルが忙しいこともあってか、久那妓について回っていることもあるミスティである。

「あら……」
「カミラか、これから書庫か?」

向こうから歩いて来たカミラと、久那妓が立ち止まって挨拶する。

「ええ、宝石については、分からないことも多いですから、貴方達は?」
「修行だ、ちょうどそこで会ってな、一緒にすることにした」
「本当に、仲がいいのね。姉妹みたい」

久那妓はその言葉に、ちょっと驚いた顔をして、苦笑を浮かべた。

「私は、兄はいたが、弟や妹は居なかったから……妙な気分だな」
「いいものよ……妹って」

どこか思うところがあってか、少し悲しそうに微笑んでカミラはいう。
その微笑の理由を知っている久那妓は沈黙をまもった。

「ほら、クーナっ、早く行こうよ」
「あ、ああ」

ミスティに手を引かれ……歩みさる久那妓。
その光景を、カミラはどこか眩しそうに、目を細めて見つめていた。


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