大番長・西欧編 

支倉 政宗(1)



「ハル……よんだか?」

執務室で、狼牙と話しているハルのもとに、政宗がやってきた。

「あ、お呼びしてすみません。ちょっと相談したいことが」

ハルの返事に政宗は反応せず、狼牙のほうを興味深そうに見ていた。

「何だ、何か用かよ」
「あんた、数年前……日本で番長やってた、斬真狼牙だろ?」
「ああ。ま、あのころはちっとは有名だったからな」

苦笑気味に答えた狼牙。そんな彼に、淡々と質問を重ねる政宗。

「じゃあ、あんたの仲間に居た……あの、影を使う片目の人もここに?」
「いや、あいつはここには居ない。今頃、どっかで旅を続けてるだろ」
「……そうか」

狼牙の答えに、視線をそらす政宗。何となく、残念そうな表情が見えた。

「何だお前、匡一郎の知り合いか」
「知り合いなんてものじゃない……ただ、俺が一方的にあこがれてるだけだ」

不遜そうな物言いだが、何となく年頃の少年らしく見えるのは、彼が照れているからだろうか。

「それはそうと、用件は何だ?」
「あ、すいません。実は……」

興味深げに狼牙が見る傍らで、ハルと政宗が打ち合わせを始めた。


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