かつて魔王が君臨した時代があった。それは人類にとって最悪の時代であり、栄光への最初の難関でもあった。
その頃、人類はどこからか現れた魔王とその軍勢により、個体数を激減され種の断絶という恐怖にさらされていたのだ。
脆弱な肉である人類は、ただ破壊を繰り返し世を混沌たらせるためだけに生まれてきた魔物たちを悦に浸らされることしかできなかった。
そう、できなかった。魔物たちは先に述べたように特化された身体能力、それから時に物理法則すら捻じ曲げる超常的な力ももっていたのだ。
抗う術はなし、しかし、そう誰もが絶望の淵に立たされた時、奇跡が天に届いたのか救いの光明が見えた。
新人類、そう称される彼らは旧人類の内から出でし最後の希望だった。
本来、人体には備わるはずの無い器官を備え、魔物を屠り、外敵を排除するだけの力を手に入れた者たちだった。
それは壮絶なまでに繰り広げられる種の淘汰の末に人類の出した答えそのものだった。
ないのなら取り込めば良い、魔物を倒す毎に力を手にした人間たちは魔物の持つ強大な力を自らに吸収し、躍進を行った。
いつのころかパワーバランスは一転し、新人類たちは旧人類を飲みこみ、さらには魔王すらも打ち倒すに到った。
頭目が破れ、指令系統を失った魔物たちは人類にとってもはや敵ですらなかった。
地上から全ての魔物が駆逐され、人類の栄光の時代が訪れるのは時間の問題ではなく、すべては当たり前のように片づけられた。
そう、魔王戦役から百年の時が流れた。奪われた土地は取り戻され、国が復興し、政治的な駆け引きを行う程度には余裕が生まれ来た。
魔物という名の外患を取り除かれた人類が魔王襲来以前のように内部で分裂し、いがみ合うのは目に見えていたのかもしれない。
- 作品名
- ラビリンス・ダイブ その1
- 登録日時
- 2008/11/12(水) 03:20
- 分類
- 長編::ラビリンス・ダイブ
まなみ URL 2012年10月03日(水)16時29分 編集・削除
評価:☆☆☆☆
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