☆ 答 4 ☆
B・「鐚一文」。漢字で書けばよくわかる
「びた」は漢字で書くと「鐚」と書きます。「金」へんに「悪」、とてもわかり易いこの字は、中国から来たものではなく、日本でつくった「国字」です。また、「びた」という音の方は、関東弁の「うすべた銭」が訛ったものと言われています。
「うすべた銭」の由来は、薄っぺらくて質の悪い貨幣が出回ったことでした。日本の貨幣は1535(天文4)年まで銅銭で、室町時代には明から輸入した「栄楽銭」が流通していました。しかし室町末期には質の悪い鉄でつくった悪銭が流通し、撰銭(センセン)令で規制されることになりました。この時の悪銭が、東国では「うすべた銭」、西国では「びた銭」と呼ばれたのでした。
「びた一文出さない」というのは、質が悪くて価値の低いお金でさえ出さない、という意味です。しかし、元を辿れば室町末期に端を発するとはいえ、この語句が残ったのは、江戸時代になっても金銀の生産が減少して度重なる貨幣改鋳が行われたり、金・銀・銅の交換比率が乱れたりと、相変わらず貨幣経済が定着していなかったからなのです。
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