はすのはな第14号 -平成22年秋季号-
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関東の高野山
川崎市麻生区に、古くから関東の高野山と呼ばれている王禅寺という真言宗豊山派の寺があります。奈良時代、孝謙天皇の勅命によって聖観世音菩薩を祀られたのがおこりとされ、中世には禅・律・真言の三宗兼学の道場として栄えた様です。
本堂に続く一直線の細長い参道には、幾つかの石段があり、その途中に当時の隆盛を物語るが如く、立派な山門が建っています。その周辺の森林と緑地は正に高野山を偲ばせてくれます。川崎市内最も静寂な処ではないでしょうか。近くには柿生という地名がありますが、王禅寺を中興した僧侶が柿の栽培を盛んにし、それが現在の国登録記念物に登録されている禅寺丸柿であり、その様な事から生まれた地名のようです。
来春当山の表参道石段の上に、待望の山門が姿を現します。
おぼん
当山においては、例年8月の盂蘭盆会期間本堂内に、閻魔十王図を展示しております。私たち人間の生き方の善悪の報いの死後の世界を表しています。肉親同士の殺害や居たたまれない凶悪犯罪が後を絶たない今日、この様な教えはどこに行ってしまったのでしょうか。
お盆はご先祖様の供養と今日ある命の感謝を話される行事であります。日頃の行いを見つめ直す期間でもあります。明年のお盆の際はどうぞお立ち寄り下さい。
平和の鐘
平成2年建立された鐘楼堂の平和の鐘は、爾来、除夜の鐘のみならず、8月6日、8月9日の原爆記念日と8月15日の終戦記念日に、欠かさず、世界に恒久平和が実現するよう願い鳴らし続けている。 オバマ大統領は『核兵器の無い世界』を提唱しているものの、現在今なお世界の各地において悲惨な戦争をしている。今年65回目を迎えた原爆記念日の平和の鐘の音が、紛争解決に向け、響き渡って貰いたい物である。
お大師様のことば
山や川は永遠だが、人間の命は百年生きても短いものだ。
大自然の営みに比べたら人間の存在はちいさなもの。その生命を無駄にすることなく、永遠の真理を求めよう。
昨今、百歳以上の方の所在確認の問題が浮上してきています。
俗に終わりよければ全てよしというけれど、折角長生きをされても悲しい結末は寂しいものです。宇宙の長さに比べれば、人の命の長さは一瞬のようなものでありますが、その短い人生をいかに生きるかが、大切な事なのです。家族葬・直葬・無戒名と簡略葬もいいけれど故人の功績を称え感謝し、偲ぶに相応しい事をしてあげていただきたいと思います。
シリーズ④ 生きる力 お大師さまのことば 「性霊集」より
猛暑
今年は梅雨明けから例年に無い猛暑続きで、熱中症で命を落とされた方が数多くいました。北海道も軽井沢も避暑地ではなくなりつつあり、これからの日本列島の夏が危惧され怖くもあります。
冷たい飲み物や食べ物などは、製造が間に合わないほどの売れ行きで記録を更新しました。暑さ寒さも彼岸までといいますが、その言葉もこれからはどうなのでしょうか?
日毎にこの暑さも和らぐ事と思いますので、皆様も健康に留意しながら元気を出しましょう。
蓮の実
住職の知人より分けていただいた蓮が、今夏境内の池の畔で、淡いピンクのおよそ40センチ程ある大輪の花を、見事に咲かせました。4、5日見惚れて、気持ちを癒してもらいました。
蓮の花弁が散ると、緑の若い種子が残ります。その種を、一皮剥くと乳白色の実が顔をだします。近隣の僧侶に、その実は酒のつまみになるよと云われ、半信半疑食べてみると本当に美味で和風アーモンドといった感じでした。
来年の蓮の時期が楽しみです。