はすのはな第2号  -平成18年秋号-

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昔の蓮花寺

昭和42年ごろの蓮花寺
昭和42年頃の蓮花寺

蓮花寺の表参道の石段は段差がきつくだれもが敬遠したくなる。車で上れる表の坂道は先代が寺領整備の一番手に取り組み大変苦労して作られたもので今その効果は大きい。この道の出来る前は北面墓地のところに境内に上る小坂道があったが以後なくした。

南面口から入る一帯は見事な竹藪で京都の嵯峨野に劣らない。春の季節の筍は寺の財政に役立ったこともあったと思う。うっそうとした竹林の続くトンネルの様な小道を抜けると古びた庫裡があり、雑木林の山を背負って大きな本堂がどっしりとかまえる。創建以来幾百年古色蒼然たる姿はこの地の菩提寺として星霜を重ねた長い歴史を物語っている。
丘の中腹境内より眺める正面は矢上川の流れと挟んで久末、子母口の水田が一面に広がり人家はほとんど見あたらず、遙か多摩川の沿岸迄は約5km余り、稲毛領は平坦な地形に小さな町並みが幾つか遠望された。(約五十年前)資料によると蓮花寺の檀家は明治三十一年(約百年前)三十九戸であった。徳川時代初期の頃、主家滅亡によりこの地に帰農土着した先人が営々として郷土を育て守り、旗本領として武士の収奪による過酷な年貢の取り立ての中で三百年の長い歳月を耐え、系譜を守ってきた。

明治の世になり、制度改革後も農家の生計は苦難の時代が続いたがその中にあっても祖先崇拝菩提寺信仰は変わることなく伝承されてきた。蓮花寺は昭和の後期頃より大きな修復の事業が続き、住職の寺運興隆にかける一途な努力は檀信徒の協力と相まって内外陣共面目一新の姿となった。整った寺容を見るとき、昔の姿を知るものとして誠に感慨無量の想いである。

前総代長  鈴木貢

蓮花寺施餓鬼法要

施餓鬼法要
平成18年施餓鬼法要
厳しい暑さの中、多数の皆様にお越しいただきました。

お盆の入りを告げる夏の風物詩、蓮花寺施餓鬼会法要が八月二日、盛大に営まれました。当日は多くの檀信徒の皆様方にお越しいただき、満席の本堂でした。今年から女性二名の世話人が加わり、森学総代長のもと新役員として初めて執り行う大きな事業です。
ご参列いただいた皆様方の温かいご指導、ご協力に厚くお礼を申し上げます。蓮花寺スタッフの皆様方の連日に亘るお骨折りにも深く感謝いたします。厳かな雰囲気の中にも優しい感性があふれた季節の行事になれば、役員としてとても幸せなことです。

午後3時、鐘楼堂の梵鐘の音を合図に、いよいよ奉修開始。十名の僧侶の先導を受けて、当山第四十二世飯田盛重住職が入堂。導師、盛重住職の導きにより、施餓鬼会法要のすべてが滞りなく、つつがなく進行しました。

「私は、この年になって初めてお施餓鬼に来たよ。はじめてだけど本当に良いもんだねえ」久末に生まれて、嫁がれて幾歳月。とうに七十才は越えていると思われる女性の、懐かしむ表情と、キラキラ輝く美しい笑顔がいつまでも心に残る施餓鬼会でした。

檀徒総代  森安男

総代長をお受けして

盛夏の候、蓮花寺檀信徒の皆様には、ご健勝にてお過ごしのこととお慶び申し上げます。
さて、私儀今度役員改選に伴い、前鈴木貢総代長様のあと森学が総代長の大役に就任する事に相成りました。寺の運営につきましては、ご住職役員一同教義和合の精神にて誠心誠意微力ながら努力いたす所存でございます。皆様におかれましては前任者同様ご指導ご鞭撻ご協力を承りますよう伏してお願い申し上げる次第でございます。
皆様のご繁栄ご健勝を心より祈念いたしましてごあいさつとさせていただきます。合掌

檀徒総代長  森学

コラム・心の遊び

 
 

《ゆっくり走ろう久末》という交通安全標語を六月完成した成願堂・成願門駐車場外壁に掲げました。昨今、親子の殺傷事件が頻繁に報道されていますが、日常生活の中で、ゆとりあるおおらかな気持ちが失われつつあるのではないでしょうか。

車のハンドルのように〝心の遊び〟を一人一人が心の片隅に持ち続けたいものだと思います。成願堂におきましては、交通安全の祈祷をはじめペットのご供養・寺の資料館・地域の皆様と楽しめる各種の催し会場として活動していきたいと考えております。ご利用希望の方はお気軽にお問い合わせ、ご予約ください。

住職  飯田盛重





コラム・ペットブーム

境内の一角で、ペットの火葬を行っています。残念ながら第一号は我が家のシェパード《アド》でした。犬や猫、兎、ハムスターなど大小様々なペットが天国へと旅だっていきました。お客様の中には、喪服姿の方も少なくありませんし、泣き腫らした目で別れを惜しまれる光景も見受けられます。今や、ペットは家族の一員であり、掛け替えのない存在になっています。十三年前の秋彼岸に境内に捨てられていた雑種の《ミルキー》も今では耳が遠く、足腰も弱り、呆けも目立ってきました。その姿に寂しさを感じますが、家の中で飼っているミニチュアダックスの《ラブ》が甘えてくるので、心癒されます。正に我が家はペットブームにはまっているのです。

最近ではペットと共に、お墓参りに来山される方も増えてきました。皆様方のペットちゃんと会えるのを楽しみにしています。

飯田英子