恥の多い人生を送ってきました。
こんにちは、野島慎吾です。男子バスケ部、流風先輩のためなら死ねる勢いで日々猪突猛進です。
取りあえず最初に言っておこう! 今俺の目の前にはわけのわからん光景が広がっている。
以下はわけのわからん光景を俺の主観に満ちた解説とともにお伝えしようと思う。
「……おい、先生。俺いっこだけあんたに言いたいことあんだけど」
(これ先輩ね!! 俺の流風先輩ね!!)
「……それは聞けねぇな」
(これ一応金髪ね!! つーか何だ!? 破局か!? そりゃ嬉しいけど何やらかした金髪!!)
「真面目に聞け。――夢先生はあんたなんかに絶対渡せない」
「けっ。――だから聞けねぇっつったんだよ、ガキ」
(しかも何故か2人とも白いタキシードで赤いバラの花束持ちなんだよなぁ。何故。なにゆえ)
以上、わけわからん光景。リアルタイムでお送りしたぜ。
はー。よくわかんねぇけど破局じゃねぇな。ちぇー、せっかく流風先輩に近づくチャn
って、ちょう待て。
ちょう待て。待って。待って。待ってよねえ!!
夢先生ってどういうことですか。
リアルタイム実況を更に続けよう。白タキシード姿でバラの花束片手にした金髪と茶髪のお2人は、
某ジャニ○ズの某ユニットのホスト曲でもね、ええ、歌うんかいっ、な見た目となっておりますけれども。
飛び散る花火! 違った、火花! もうバチバチがわたパチくらいすごいことになっております!
これだけなら絵になる! これだけならな!! つーかもう俺状況読めねえよどうしよう!!
これなら先輩が金髪に告白するとかそういう展開の方がまだ俺も画面の向こうの誰かも裏切ることにならなかったのに!
夢先生って何だよ! そのタキシード何だよ! 似合うじゃねえかちくしょー!!!
そんな2人に近づくひとつの足音! 2人が音源を確認する!!
「――お前らみたいな奴らに夢ちゃん渡すかぁあああああ!! 今や存在さえ忘れられたこの竹刀でお前らたたっ斬ってやる!」
って、ちょう待て。
空先生、確か看護婦さんの恋人さんが! へちまの脳内じゃ双子の子供まで生まれるしあわせ家族計画なのに!
さっきから何で夢先生が。しかも空先生までタキシードだし! くくく、身長足りないからまるで七五三だ。
タキシードに花束に竹刀だし。花束バラじゃなくてぺんぺん草だし。らしいっちゃらしいけど待遇が。
「なんだよ空先生。先生には奈央ちゃんってかわいーい恋人がいんだろ」
「ああ、奈央は可愛い。ピンクレディーの左側くらい可愛い」
「世代的に通じないんですけど。いや、空先生だってその時代じゃないだろ」
「ええいうるさぁい!! 奈央の可愛さなんて夢ちゃんのフケにも及ばないぜ!!」
「表現が汚ねぇよ!!!」
ごもっとも。
だんだん状況が飲み込めてきたぞ。つまりなんだ、これは夢に違いない。
オチる前から夢オチってわかるなんて素敵な作品だ! ようし、これは夢オチなんだ!!
だって有り得ない! あの空先生が奈央さんとかいう恋人から乗り換えるなんて!(よく知らないけど)
先輩が夢先生にってのは有り得なくもないかもしれないけど遊びだろうし。
え、あ、いや、別にバカにしたりしてない! けど、先輩には合わないかなぁ、って。ははは。
それ以前に!!! あの金髪が職場恋愛なんて俺がチアダンスに精出しても有り得ない。
ないないないない絶対ない。言い切れるぞ俺は。ない。おそらく無い! 多分ない! きっとない!!!
えーと、とにもかくにもつまり、今流風先輩と金髪と空先生は夢先生を争って火花散らしているのであるー。
さてどうなるこの展開。読めないぞこの展開。おそらく夢オチになることはわかるけど読めないぞー。
寧ろ読みたくないから俺は早く目を覚ましたい。こういう苦労被りキャラは俺に合わないんだよっ!!
「み、皆さんっ、わ、私のために争うのはやめてくださいっ」
やっと出てきた!!!
お騒がせお姫様キャラの登場。いよっ、待ってました!!!
特別なこと書いてないのにやたら長いからそろそろ終わらせたいんだよな!!
お約束どおり夢先生、純白のウェディングドレス着用。白タキシードはこれの布石か。
もっと早く気づけって? 無理無理、これに遭遇してごらんなさい。パニクるから。
「やっと主役のご登場ってか。待ちくたびれたぜ。……俺と来るよな?」
(ありえない状況だからもはや誰かわからないことに)
「夢先生、俺と一緒にこんなとこから逃げよう!」
(えええっ、じ、じゃあ俺も一緒に逃げます!!!)
「夢ちゃんっ、こんなエセ教師とエセ生徒に惑わされんなー!! 俺が一番素敵だぜ、絶対!!」
(エセ教師はともかくとして、先輩は生徒だからエセじゃないんじゃ。そして自分で素敵とか言っちゃうのかい)
3人から花束(内訳:赤いバラの花束×2、ぺんぺん草花束×1)を突きつけられ困惑する姫君。
さあどうなるどうなるー。(この辺もう棒読みだけどいいヨネ?)
……はて、そういえばこのシチュエーション、うちの担任が好みそうな……
「慎吾はん危ない!! 伏せてや!!!」
「は!? 都筑!?」
突然聞こえた都筑の声に従って地面に伏せる。
そして地響き。向こうの3人も、みんなして夢先生守りながら地面に伏せた。
うおおお、すげえ地震。地面割れてるよ絶対。
揺れが収まって顔を上げると、何故か陰陽師服(どんなのかわかんないからこれでくくるぜぃ、みたいな)の
都筑が立ちはだかっていた。
今度は都筑の見据える先を見る。そ、そこにはなんと!
「が、ガ○ダム!?」
「いちいち伏字多い話やなぁ。ええか、あれはそんなんちゃう」
との事なので機動戦士ではないらしい。形は似てるけど。
じゃあ何だよ、と問うと、陰陽師モードの都筑はにっと笑ってこちらを向くと、口を開いた。
「――キヨウランダムや」
「ええっ、何だってぇ!?」
こ、この場合何から突っ込むべきなのか!! ランダムだから無作為なのか!? 清浦だからそれっぽい!!
何だ、どういうことだ、会話の流れから考えて「キヨウラ」をガ○ダムっぽくしたかったからなのか!?
だからキヨウランダムなのか!? 無理がありすぎる!!
都筑、さっきそんなんちゃうって言ってたじゃんか!!! バリバリ「そんなん」なんですけど!!
「HAHAHAHAHAHAHAHA!!! そこの悪役たち! わが姫君を返してもらおうか!」
フォントといい発言といいお前こそ悪役っぽい。
かといってあの3人を正義の味方というにも無理が。
そうこうしているうちに、先輩と先生2人は無敵の(無敵かどうかわからんが)キヨウランダムにはじき飛ばされた。
某ばいきんまんの如く空に散っていく。ああ、ここではそんな扱いなんだ、あの3人。
ラストバトルさえ描写されないままキヨウランダムの攻撃は続く。
「っ、都筑、清浦の奴、絶対俺らも敵だと思ってる、よな」
「当たり前や。夢先生はあいつのスウィートハニーやし」
「で? 何であいつあんな物騒なロボットに乗りやがってんだよ。面倒だから細かい描写は省いたけど」
「……慎吾はん、驚かないで聞いてや」
今まで伏せていたので、俺は立ち上がると膝をはたいてほこりを落とすと都筑を見た。
至って真剣。なら俺も真剣に聞かなきゃいけない。
「――ここは清浦先生の閉鎖空か、げふんげふんっ、妄想空間で、平たく言えば、」
「夢?」
「おおおおぉぉ!! 正解正解だいせいかい!! 慎吾はんすごいわー」
「馬鹿にしてんのかお前っ!! それで、ここにそんな服で来たからにはお前がキーパーソンなんだろ?」
力強く都筑が頷く。ああ、展開が読めてたお陰でラストが見える。近いぞー。頑張れ俺。
都筑は神妙な顔でどこからかちゃちいスイッチを取り出し……って、スイッチ!?
待て、待て待て待て待てっ、その服なんだからもっと数珠とかお札とか、いろいろあんだろうが!!!
よりにもよって何故ちゃちいスイッチ! しかもお○うさんスイッチっぽいし!!!!!
「出でよ、至貴じん28ごーう!!!」
「後で点呼さんに怒られるぞお前!!!」
「点呼はんのキャラ使うてるんやしおっけおっけ☆」
「俺知らないからな!! 点呼さんの胃にまた穴空いても知らないからな!」
ということで再び地響きが。ごごごごごごごご……とご大層な音と共に、『至貴じん28ごう』は現れた!!
見た目を描写しよう! キヨウランダムがガ○ダム級にでかいので、五十瀬をそれに対応してでかくさせたのだ!!
簡単に言えば五十瀬の巨大化! どうだ、わかったか!!
どの辺があれなのか、という質問は一切ナシで。キヨウランダムに対抗したかったという熱意を汲んでほしい。
「現れたね、至貴じん28ごう。ふははは、待ちくたびれていたんだよ!!」
しかも知り合いだし。
とおーくにちーさく見える清浦はやはりいつもの清浦服で、俺はため息をつくと取りあえず清浦の求める悪役像になるために
夢先生をこちら側に避難させた。これで清浦には俺たちが悪役にしか見えてないだろう。
清浦、まったくもってそれは悪役の台詞なんだけど。可哀想に解ってない。
「世界の平和はこの至貴じん28ごうが守るナリ!!」
「うわ都筑!!! この人格無視の発言何!?」
「こ、ここは清浦先生の閉鎖く、ちゃうちゃう、妄想空間!!!」
「じゃあ何だよ!! 清浦には五十瀬があんなキャラに見えてるってことか!?」
「残念やけど、俺がこの格好で召喚されたんもそれの裏づけになると思う」
「……ぷ、くくく、28ごう、頑張って戦うナリよー」
「野島うるさいナリ!! 俺だって好きでこの口調してるんじゃないナリ!」
「ふははははは!!! 君たちはとっとと塵と消えてコロッケでも食べているがいいさ!」
……もしかして五十瀬のコ○助口調はこの微妙なキメ台詞を言いたいがためだったのか……!?
うっわ、可哀想すぎる。哀れ五十瀬。もうこの際、塵になったらコロッケ食えねえぜ、とかいう話はナシにしよう。
よし、これまでにわかったことを整理すると、
・ 清浦の頭の中で、先輩以下3人は雑魚キャラ扱い(大体でメイン張ってるからか、もしかして)
・ 夢先生は清浦の花嫁。(公式設定では夢先生はカルロスと結婚するらしい。(嘘です))
・ 都筑は陰陽師スイッチキャラ。(清浦の知識が追いついてないだけなんじゃないのか)
・ 五十瀬は清浦の微妙キメ台詞のために借り出された可哀想なキャラ。(ナリ、ってどうなんだよ清浦)
「行くんや、至貴じん28ごう!! 必殺のどら焼きぱんちをお見舞いしてやり!!」
「言われなくても解ってるナリよ!!」
え、何で語尾がナリなのにどら焼きなんだよ。可笑しいだろ絶対。清浦の知識は乏しいくせに混同しているらしい。
ああ、なんかもういろんな伏字がごっちゃになっててへちまの奴は今頃になってこれ書いてること後悔している。
はいはい、至貴じん28ごうの必殺技・どら焼きぱんちが繰り出される。
どら焼きぱんちとは、俺が今見て解る限りを言うなら、至貴じん28ごうの手の部分が完全にどら焼き化している、とでも言おう。
つまりどら焼きでぱんちするのだ。当然だがキヨウランダムは少しも怯まない!
やがて至貴じん28ごうの渾身の一発がキヨウランダムの鋼鉄の機体にブチ当たる。そして振るこしあんの雨。
「く、っ……! どら焼きぱんちが効かないなんて絶体絶命ナリ……!」
「俺らにもう勝ち目はないんか……!?」
……お○うさんスイッチの時点で勝ち目はない。それ以前に清浦の妄想世界なら余計に勝ち目がない。
……ん? 勝ち目がないならやっても無駄じゃないか。
さあ、みなさんにも今後の展開が読めてきただろうか。そう、やられオチかつ夢オチであります。
ぐだぐだとものすごい勢いで始まり、さあさあ終わって行きますよ! ハンカチのご用意を!!
「ふははははは!! 弱い! 実に弱いよ至貴じん28ごう!!」
そりゃあお前が最強な世界でお前に勝てる奴なんかいねえよ。
はははは、と俺は乾いた笑みを漏らし、おそらくすぐに来るであろうキヨウランダムからの攻撃に備える。
これで目覚めることができるんだなぁ。キヨウランダムはワイパーで機体にはりついたこしあんを払っていた。
―――そして。清浦の掛け声が―――
「さあ行くんだ、セバスチャン!!」
「かしこまりました、慧悟様」
「お前じゃないのか!!!」
これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。
―――――それだけが私の望みです。
……って、結局何オチだよ。
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ごめんね!!! ごめんねごめんねごめんね!!!!
何ていうかみんなにごめんね!!!
え、最初は「あー、創兵くんと紗央のコンビ熱が上がった時期かー」とか思ってね?
最初はね、最初はダークでシリアスな創紗央書く予定だったんだよ!!
ほんとなんだよ信じて!!
けど「黒槍君が書いてるのになぁ」と思ってやめて、どうしようと思ったらね、
こうなったんだよ!! ごめんねごめんね!!
そして2周年超えて随分経ちました。
締め切りに間に合わせてくれたみんなごめんよ、ありがとう。
秋臼さんと点呼どんに土下座して謝りたいです。ごめん。