「僕の家族を紹介します」

 えっと、こんにちは。鳥辺山六津です。今日は、僕の家族を紹介してみたいと思います。

「おや、六津。其処で何しているのかね?」

 始めに、この人が僕の祖父――鳥辺山鑑三です。今は「白鶴堂」という骨董品店を営んでいます。
 少し昔に浅草六区から、この市に移転してきたそうです。
 歳は……何歳になるのかな? だいぶ長生きです。とても優しい人だから、僕は大好きです。

「ところで、六津。最近お前の病気を診てくれた人がいるそうだね。ルネから聞いたよ」

 はい、響要さんという優しい人です。小児科のお医者さんなのに、僕たちは何度かお世話になってます。

「そうかい。中々面白い人のようだね」

 面白いんですか?

「うむ。お前は知らんだろうが……まあ、お前が気にすることでは無いよ」


 祖父は笑って行ってしまいました。どういうことなんだろう? まあ、いいか。じゃあ、次は……

「六津、誰に喋りかけてるんだ?」

 あ、紅魚さん。紹介します、いつも祖父の店の手伝いをしてくれる雅善紅魚(みやよしべにお)さんです。
 勿論血は繋がってないけど、もう家族同然です。
 彼は三味長老という渾名されるくらい、三味線を片時も離したことが無いんです。
 僕は彼の唄と三味線の音は好きです。似合わないくらい――失礼だけど――音色が優しくなったりするから。

「だから君は一体誰に喋ってるんだ?」

 ええと、読者の人です。

「まあ、私は気にしないが……。そう云えばルネから聞いたんだが、先日愉快な人に会ったそうだな」

 え、愉快な人ですか? それって響さんのことかな?

「そうそう、響要――私たちを《視》ることの出来る奴で、しかも対抗出来る奴なんて早々いないからな。面白いから他の奴らに云い触らしておいてやろうと思ってな。きっと、ウジャウジャ人外のヤツらが……アハハハハハハ、考えただけで面白い」

 あ、余り迷惑かけないで下さいね!! もう、何度も僕たちが迷惑かけてるんですから。

「案ずることは無いさ。私たちも中々治せる奴がいないからな。だから君の云っているその響とやらが、我々を治せれば安泰だろう。それに、彼だって診療所が儲かれば嬉しいだろうし」

 う〜ん、そうですけど……。紅魚さんは面白がってるでしょう。顔が変に笑ってますよ。

「嗚呼、私は面白いことは好きだよ。響男だってそうじゃないか。人間楽しいのが一番だろう。いやぁ、響とやらの反応が見物だ。増える増える妖怪の数〜 人外魔境の出来上がり〜

 変な唄唄わないで下さい!(上手だけど) それに人間じゃない癖に……。
 でも、止めたって止まる人じゃないんだよね。……ハァ、響さんに迷惑がかからないことを祈ろう。

「そう云えば、今日は鬼多見はいないぞ」

 え、そうなんですか? 残念だな。鬼多見さんも紹介したかったのに。

「これは我が主人(モン・メートル)、こちらにおわしましたか」

 あ、ルネ……。

「如何なさいました。御顔色が優れませんが」

 ううん。何でもないよ。あ、最後に、この人が僕の執事のルネ・バルドーです。
 僕が小さい頃から世話を見てくれていて、彼女(彼)ももう僕の家族です。

「有難き御言葉。しかしながら我が主人、御気分が優れないのは先日の無礼者の所為ではないのです、か?」

 うわぁ、ルネ。髪の毛を逆立てないで、怖いから(汗)。っていうか、流石に其処までは遡らないかなぁ。
 第一、この前仲直りしたばかりだし。良い人なんだってば!
 もう僕の友達なんだよ。二度とあんなことしちゃ駄目だから!
 酷い怪我させても、全然笑ってくれたし、事情を話したら「じゃあやっぱ俺が悪かったんだな」「ごめんって伝えといて」って、云ってくれたし……。
 ね? ルネも考えを改めよってうわぁ!!! どうして泣いてるの!?

「何と優しき御言葉。このルネ、自らの浅慮加減にほとほと愛想が付きました。あのムシューがそのような御仁でいらっしゃったとは。加えて私(わたくし)の短慮な行動の所為で我が主人に斯様な御心労まで……!!」

 嗚呼、僕が云い過ぎたから!! ゴメンね、ルネ。だから泣かないで!!

「いえ、良いのです。我が主人、はっきりと仰って下さい。数々のご無礼……このルネ、今すぐ断頭台に上がれと仰せ付かっても、何一つ厭うことはありません――いえ、それこそ最適の御判断かと存じます」

 ちょっと待って!! どうして咎めるだけなのにギロチンなんて使うの!! 真顔で自殺志願しないで!

「そうですね……申し訳ございません、我が主人」

 うん、解かってくれたんなら――

「我が主人のお手を煩わさずとも、自刎して御覧にいれましょう」

 ええッ、そっち!!??

「いえ、見苦しくないよう穴埋めでも宜しゅう御座います」

 いや、宜しゅう御座いますじゃないよ! 見苦しいとかの心配要らないから!!
 あっ、紅魚さん! 助けて下さい。ルネが、ルネがっ!!

「自刎? そりゃいけない」

 そうですよねっ!!

「此処は日本古来の作法に則り、切腹なんてどうだ? 今なら私が介錯してやる。それなら、六津も安心だ。後始末も私がしてやろう」
「然様で御座いますか。それならば、是非お願いしたく――」

 うわぁ! 助けを求める相手を間違えたぁ!! 切腹されて安心する奴なんていないってば!!

「じゃあ、どうして欲しいんだ、君は?」

 いや、思いっきり不服そうな顔しないで下さいっ! ルネ、死ななくて良いから! 死なないで!

「我が主人は、私を御赦(ゆる)しになるのですか……?」

 勿論! どうして、僕が君を赦さないの? ルネは僕の大事な執事だよ。
 ね、だから死ぬなんて云わないで。従者は勝手に自分の処分を決めては駄目だよ。

「……このルネ・バルドー、肝に銘じました」

 ふう。良かったぁ……。紅魚さんも二度と変な風に煽らないで下さいね。

「へいへい――さぁて、響とやらの話でも云い触らして来るか」

 本当に行く気なんですか?

「嗚呼、もののけと悪魔辺りにでも喋ってこようかと。悪魔にも知り合いいるし」

 ええっ、悪魔まで!? どうしよう、止めなきゃ…!

「何てったって、死神さえブッ飛ばす人らしいからな」

 死神を? 強いんだぁ……。でも、ほっとくのは良くないよね。
 まあ、どうせ僕たちもこれからお世話になりそうだし、その時にいたら追っ払えば良いよね。

「我が主人、その時には是非私も御供させて下さいませ」

 うん。其処でもし空君に会ったら、お詫びしようね。

「はい(ウィー)」

 ええっと、これで、僕の家族紹介を終えたいと思います。 長々と、お付き合い有難う御座いました。

「「有難う御座いました(メルスィー)」」

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 香々 東です。いつも通りこんな後書きです。
 香々 東です。いい加減マンネリ気味とです…。
 香々 東です。全然ギャグになりません!!
 香々 東です。ルネさんが出てきたのが最後のほう過ぎです!!
 香々 東です。面白くもなんともありません!!
 香々 東です。短すぎとです!
 香々 東です。香々 東です……。

 この後書き、いい加減にしろといった感じです。