くりでんをめぐる最近の動きです。(平成15年8月)

宮城県地域振興センターの報告
 宮城県地域振興センターでは、「経済的に負担の軽いバスに転換することはやむをえない」とする「くりはら田園鉄道運行対策検討調査報告書」をこのたびまとめました。
 このなかの「くりでんとバスの『運行経費』の比較」を行い、「バス運行に転換した場合は、初期投資費用は必要となるが、平年度での運行経費の比較では鉄道運行より少額である」としています。また、バス転換後の収入が鉄道輸送収入予想額と変わらないという仮定の上で、「収支における比較においても、バス運行のほうが経済的」としています。
住民アンケートの結果では「存続」「できれば存続」という回答の合計が46.7%「廃止」「廃止やむなし」という回答の合計が53.3%となっています。
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地元の対応
くりでん運行対策協議会(会長 若柳町長)では7月17日の役員会、29日の協議会全体会(町長、議会議長、商工会長、区長会長、各町担当課長、3高校PTA会長)において、存続の意向を確認し、10月までに今後の実施事項施策等を明確にして、宮城県に対し補助金の継続を要請することになっています。

管理人の考察
沿線5町での住民アンケートで「存続」「できれば存続」と答えた人の理由は「地域の交通弱者の足として必要だから」(55.9%)がもっとも多く、くりでんを必要としている住民がまだまだいることを示しています。
一方「廃止」「廃止やむなし」と答えた人の主な理由は「これ以上くりでん運行に関わる町の負担を増やすべきでないから」が64.6%となっています。つまり、町の財政支出の増加を恐れているのです。
くりでんの廃止問題には、地方自治体、特に宮城県の財政危機問題が深く関わっていると思われます。「くりはら田園鉄道運行対策検討調査報告書」の中では鉄道存続・バス転換の両方で補助金について触れていませんが、鉄道でもバスでも赤字が予測されている以上、何らかの補助金は沿線自治体で行わなくてはならないと思われます。昨年宮城県で行った「くりでん運行維持補助金」に対する意見の募集で、「補助金廃止反対」が400件中397件だったことも考えると、宮城県は補助金廃止を打ち出すだけでなく「この地域の公共交通をどうするのか」というビジョンがほしいと思います。
バス転換に伴い、ルートを再編すれば利用客が増える可能性もありますが、バス転換に伴い利用者がさらに減少する可能性もあります。(くりこま高原〜沢辺のシャトルバスも、あまり人は乗っていないように感じられます)このあたりは他の鉄道廃止→バス化を行った地域の事例を調べてみる必要性があると思います。バスの乗客も減り、結局公共交通自体がなくなってしまうことは避けたいものです。
なお、地元でももっとくりでんに対する愛着を高めてほしいものです。たとえば。ディーゼル化直前に行った、列車を利用した演劇「さらば黄金郷鉄道」の再演なんていうのはどうでしょうか。
鉄道ファン的には、もっと夢のある話題を望みたいです。独自車両の導入は無理としても、会津鉄道からのトロッコ列車の借り入れとか、オフシーズンの津軽鉄道からのストーブ列車の借り入れ、真岡鉄道からのC12の借り入れなどどうでしょうか?
存廃の正念場です。みなさまのくりでんにたいするご支援をお願いします。
ご意見、ご感想は管理人まで(文責 管理人 吉田電車こと佐藤幸浩)