荒鷲がやってきた
以前、「東北鉄道の日フエスティバル」でJR宮城野貨物駅を訪れた際、県営宮城球場の脇を通ったことがあった。仙石線が地下化され面目を一新したのと対象的に、錆がうきボロボロで、野球場だけはクモハ73が活躍していた「昭和」のままだと感じたものだった。
今回県営宮城球場が「東北楽天ゴールデンイーグルス」の誕生に伴い、「フルキャストスタジアムみやぎ」として面目を一新したので見に行ってみた。
仙台市営地下鉄から仙石線乗り継ぎ通路を通ると、野球場から仙台駅へのシャトルバスのチラシが貼ってあった。なにもここにバスのチラシを貼らなくてもと思ったのだが、この点については現地で認識を改めることになる。あおば通駅から仙石線で宮城野原駅へ。大勢の野球観戦客が宮城野原で降りた。ホームが狭いので客がなかなかさばけず、乗車客が待っている状態。エスカレーターでB1階に上がり改札を抜け、帰りの混雑を予想して復路の乗車券を買っておく。
仙台でプロ野球を見るのは鈴木孝政が逆転満塁サヨナラホームランを打たれた試合だった。あれから20年近くたっている。子どものころは後楽園の日本ハムの試合を見に行ったが、地下鉄丸ノ内線は18m車6連であり、しかも水道橋からは都営三田線や中央線も走っていた。20m車4連の仙石線、しかも宮城野原駅の狭いホームではピーク時の輸送能力に若干不安が残る。でも、これはJRを責められないだろう。仙石線の地下化の設計の当時、仙台にプロ野球チームが誕生するとはだれも考えていなかったのだ。
イーグルスの装飾が施されていた出口を抜けて球場まで歩く。好天に恵まれ大勢の観客が球場に向かっている。やがて化粧直しをした「フルキャストスタジアム宮城」が見えてきた。当日券売り場には長蛇の列。すでに3塁側(楽天側)の内外野指定席は売り切れだったので、フィールドシートを購入した。
球場の周りにはたくさんの屋台があってお祭り気分を盛り上げてくれる。中には「足湯」なんてものもあった。T型フォード改造の牛タン屋があった。珍しい。

フィールドシートを初体験
フィールドシートのゲートをくぐると係員がチケットを確認の上席まで案内してくれる。確かに目の前にネットがなく展望はすばらしい。そして、改修された球場が一望できる。
あの古い球場を短期間にここまで改装したことはすばらしいことだが、でも、骨格はかつての宮城球場のレイアウトを色濃く残している。
試合開始前には「グラウンドで親子でキャッチボール」や「守備位置で選手をお出迎え」といったファンサービスを行なっており、飽きることがない。でも、少々「早く試合をはじめてほしい」とも思った。また、試合前の選手の集中力に悪影響を及ぼさないかと気になった。
昼食をとろうとしたがフィールドシート内には飲食店がないので、一旦ゲートを出て屋台まで買いに行き半券を提示して中に入る。これが結構面倒である。あとでスタジアムのパンフレットを見るとバックネット裏には供食店舗がある。
試合前にはなんと国家斉唱。選手権試合でもないのに大げさな気もする。この日は宮城県第3女子高校の合唱部が歌っていたが、毎試合このようなことが行われているのであれば大変なことだ。
試合は、0−6で楽天がロッテに敗れ8連敗となってしまった。僕には野球の解説なんてとても出来ないが、それでもパスボールで点を失ったり、せっかくフォアボールで出た先頭打者が初球に走ってアウトになったりという試合であった。連敗中で選手が固くなっていたのだろうか?
個人的には、関川選手が途中から出てきたのがうれしかった。
それと、肝心のフィールドシートから、角度の関係でレフト線のゴロの打球が見えなくなるということがあった。バックネット席が1,000円安いことを考えると、前述の供食サービスの点も考え、これからはバックネット席を選択するだろう。(あくまでお金があれば。実際にはもっと安いほうから選択していくでしょう。)
それにしても、マスコットキャラクターによる競争や記念撮影、ジェット風船飛ばしなど、観客を飽きさせない努力は認められるのだが、守りの時間が長い野球観戦は辛い。やはり勝利が最高のファンサービスであろう。

臨時出札所を開設
帰りの電車の都合もあるので、8回で席を立ち、宮城野原駅へ。宮城野原駅では臨時出札所を設けて帰りの乗車券を販売していた。この乗車券がどのような乗車券であるか興味のあるところだが、すでに帰りの乗車券を買っていたので今回は確認できなかった。Suicaを持っているとこういうときは便利なのだろう。球場前の広場ではシャトルバスや宮城野原駅への誘導を行なっている。前述したように宮城野原駅はプロ野球開催地の最寄り駅としては十分な広さがあるとは言いがたい。仙石線のほか、シャトルバスへの誘導も行なわなくてはならないだろう。帰りの仙石線利用者にしても、石巻方面は榴ヶ岡へ、あおば通方面には宮城野原と誘導するということも考えられる。
いろいろ注文もつけたが、なんにしても東北にプロ野球チームができたことはうれしい。ベガルタがJ1に上がったときも興味を持って見ていたが、実際にスタジアムまでいったりはしなかった。やっぱり自分は野球の年代の人間なんだと思う。これからもイーグルスには地元の球団としてがんばってほしいと思う。
この次はぜひ勝利するところを見たいものだ。はばたけ、ゴールデンイーグルス!