Q−ZAKUの

『珍説考察ガンダム論』

「セイラ・マス」


『ガンダムのアダムとエヴァ』

セイラ・マス・・・・本名、アルテイシア・ダイクン。ガンダムシリーズの主人公にして、最重要人物、シャア・アズナブルの妹であり、ガンダムの代表的なヒロインの一人である。

私が彼女に関して、まず第一に言いたいのは、『1STはセイラに始まり、セイラに終わる』 ということである。全ての出発は彼女から始まり、全ては彼女で締めくくられた。こういう意見は巷ではあまり聞かれないが、ガンダムの物語で彼女が果たした役割は極めて大きいといわざるを得ない。

この世は女性を中心にして回っている。『女』と呼ばれる精神は、この世の断片的な法則を現しているといっていい。女性と呼ばれる人間、そして 『男の中にある女性的な部分』 は、言わば巨大なパズルのピースの一つ一つであり、お互いの違いを忌み嫌いながらも、パズルを完成させ、一つになりたいという強い願望を持っているように思える。

男というものは、女性がいなければ何も出来ない。以前にもお話をさせてもらったが、MSは男女の関係を表していると私は思う。巨大な力を持っていても、パイロットがいなければ、何も出来ないMSは男、意思は持っているがMSがなければ何も出来ないパイロットは女、つまりガンダムのMSは全て男女の関係を表現していると言える。

さて、皆様はアダムとエヴァのお話をご存知だろうか?内容を簡単に説明させていただくと、神は自らの分身を作り出し、それを楽園に住まわせることにした。しかし、高い地位にある人間に嫉妬した堕天使はエヴァをそそのかし、禁断の果実を彼女に食べさせる事に成功する。その後、エヴァはアダムに果実をすすめ、結果二人は楽園を追放され、過酷な運命が待つ地上に落ちた。

この聖書の話で、禁断の果実を食べたのは、まずエヴァであり、そしてアダムに果実を食べさせたのもエヴァなのだ。

エヴァは誘惑されて、自ら罪を犯した。そして、アダムを共犯にしたわけであるが、これはある意味全ての人間の行動パターンになっていると言える。

ちなみに、この物語は、男女のペアだけの物語と思われがちだが、これは一人の人間の中の出来事とも言える。人間は誰もが心の中に、男と女が存在し、意思の決定は女、行動は男という役割が分担されているのだ。

さて、この話は以前から、私はシャアとセイラにとても似ていると思っていた。二人は、ジオンの忘れ形見という、政治的に狙われる立場と同時に、大きな力から庇護される存在だった。言わば楽園に住むアダムとエヴァのようなものである。

楽園に住む二人は、至福の時を過ごす。シャアとセイラがお互い、『優しい』 というイメージを根強く持っている点を見ても、その日々の生活は想像に難しくない。しかし、二人に暗い影を落とす存在が現れる。リーダーを暗殺された人々の 『憎悪』 という名の 『果実』 である。

ダイクンを暗殺され、追いやられ怒りに満ちたジンバ・ラルなどの人々、すなわち 『堕天使』 は憎悪と言う名の 『禁断の果実』 をアダムとエヴァ、つまりシャアとセイラにすすめる。その果実を最初に食べたのが、実はセイラだったのだ。

セイラは子供ながらに、ダイクン暗殺を理解し、そして、その憎悪を兄、すなわちシャアに吹き込む。

もう、お解りだろうか?私はシャアを平気で友を謀殺するような、冷徹な復讐鬼へと変貌させたのは、実はセイラだと考えているのだ。

憎悪という 『禁断の果実』 を口にした、二人は楽園を離れ、過酷な運命に向かっていくことになる。



『全ての始まりと終焉』

Zでカミーユがハマーンに向かって、「お前は闘いを生む源だ!」 と叫ぶシーンがあったが、ある意味これは的中している。それは憎しみがどうのというより、戦場の最前線に走る女はあまりにも危険な存在だからである。

男にとっての最大の苦痛は、女性の肉体が傷つくことである。女性の肉体に傷が入いれば、男の精神にも深い苦痛をもたらす。男はそれを激しく恐れるものなのである。

つまり、戦場において女が前に出ようとすると、必ずかぶさるように男が前に出ざるを得ない。

この典型的なパターンが、セイラである。軟弱を嫌い、自らが前に出ようとする彼女の行動は周囲の 『男たち』 を戦場の中心に導いていく力があるといえる。アムロの戦果の背景にセイラの存在があったことはもちろんのこと、重傷だったリュウが、セイラが出撃をしているのを聞き、目の色を変えたシーンはまさに、その象徴とも言える。スレッガ−がドレン隊との戦闘時、セイラが前にいる事が気に入らず、前に飛び出し、あせってビームを発射したシーンも見逃せない。

さて、私は先にシャアが復讐の旅に出た理由はセイラだと言った。それはこのセイラが戦いに出ようとする性格が大きく関わっていると見ている。

つまり、シャアはセイラの憎悪を感じ取り、このままではセイラが復讐鬼と化してしまう危険を感じ取った。男にとって女は清らかな存在でいてほしいし、傷ついてもほしくない。女が望むなら、代わりに男はその役目を果たす、その為に男は存在するのだ。

シャアがザビ家に対して戦いを挑んだ理由は、宇宙移民者にとってザビ家が悲劇の種になっているという理由もあるが、セイラの復讐心をそのまま行動に移した可能性は少なくないと私は思う。

セイラはシャアにとって最初の女性であり、その精神支配はあの日まで続く・・・・そう、ララァとの出会いである。彼女との出会いでシャアはセイラという精神から開放されることになり、なんの歓喜も沸かない復讐の日々にピリオドをうつことになる。

しかし、ララァを失ない、セイラと再開したシャアの行動はどうか?まるで、一旦消滅したはずの復讐という名のプログラムが発動するがごとく、シャアは再びザビ家に牙をむく。

シャアのザビ家打倒の最大の目的は、戦争を終わらせるということにあると思うが、この変わり身の早さには、やはりセイラの影が見え隠れすると言えなくはないだろう。

ちなみに付け加えさせていただくと、これらの事実にセイラ自身はまったく気が付いていないと考えられる・・・・ようはここがポイントではあるのだが・・・・

相変わらずこんなことを言っているのは私だけだろうと思うが、可能性はまったくないとは言えない。ガンダムの全ての始まりはセイラであり、幕引きを演じたのもセイラなのである。

一年戦争後、セイラは一切戦場には出て行かず、財を築き、投資家として活躍したという・・・・

この、生き方は自分が常に前に出ようとする性分が、戦いを巻き起こすという火種になるということを理解した結果なのかもしれない

※細かいセリフを無視して、かなり強引な内容になっております。ご指摘、ツッコミに対してはどうか、どうかご容赦を(滝汗)


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