Q−ZAKUの
『珍説・考察ガンダム論・SEED編』
『SEEDとドラグナー』
今話題のガンダムSEED、製作発表当時に飛び交った話の中で気になる内容があった。主役のストライクガンダムが、とあるアニメの主役メカとそっくりだというのである。名指しされていたのは『機甲戦記ドラグナー』のD−1、背中の翼といい、顔つきといい、確かによく似ている。私も同意したい。
さて、そのガンダムSEED、遅ればせながら本日拝見させていただいた。作画が良くできているとは聞いてはいたが、テレビアニメもここまで来たかと、正直、驚嘆させられた。
以前、たまたまリヴァイアスを観ていた時、このスタッフでガンダムを作れば面白いのではないかと思ったこともあるし、ゾイド的なCGをガンダムなどに生かせないだろうか?とも感じたことがあるので、美形ぞろいというマイナス面を考慮しても、正直、さほど抵抗はなかった。いいアニメを作っているな、と感じた。今後に期待したい。
美形ぞろいということであるが、はっきりいって、私もこの点はいただけないと感じている。ただ、渋さを求めるなら83ですでにやっているし、下手にヒゲ面、向こう傷をおった白々しいキャラを登場させ、失敗した例も少なくは無い。冨野臭さを残せば、大変失礼だが率をとることは難しいだろう。新しいガンダムを生み出す作業は容易ではあるまい、というより、メーカーにとっては新しいガンダムなどはどうでもいいのかもしれない。おそらく、私が思うに『SEED』というアニメは、ターンAの次をどうするか?ではなく『ウルトラマン』の次をどうするか?と言うコンセプトで生まれたアニメなのだろう。かつて大ヒットを飛ばした番組を、圧倒的な物量でリメイクし、親子そろって楽しむという形が利益を生み出すことに気が付いたメーカーの打つ手はすでに決まっていたと言える。中途半端なアニメを10本作るより、すでにブランドが定着しているキャラに対して多額の投資をしたほうが、より現実的と考えられなくもあるまい。 『ウルトラマン』 『仮面ライダー』 そしてガンダム。次は何だろうか?永井漫画?松本零士?素人の私には正直予測できないが、過去の財産(シリーズ)が豊富だということと、ブランドイメージが定着しているもの、そして、特定のクリエーターの顔が見えない、つまり作家性の低い物(作家性が強いとどうしても古臭くなってしまう)が適当だと思われる。そうなると、浮かび上がるのは何か?
これは個人的な意見だが、スパロボのアニメ化は考えられないだろうか?ただ、古いキャラだけでは面白みが無いのと、版権などで苦労しそうな気がする。まぁ聞き流していただきたい。(実は、再びTVでシャアが観たいという下心があったりする)
さて、先に書かせていただいたドラグナーを皆様はご存知だろうか?あのZZの後番組であり、伝統の名古屋テレビのロボット路線を死守できず、事実上最後のリアルロボット路線となったアニメである。
このドラグナーに対して放映当時、数多くの野次が飛んだことを私は良く覚えている。内容は、あまりにもガンダム(1st)と似すぎているという非難である。
確かに、主役メカのD−1はまさにガンダム、そして両肩に大砲をつけたD−2はどう見てもガンキャノン、敵のエースパイロットは色つきのニックネームで、その妹が主役の仲間、スペースコロニー「アルカード」、たまたま乗り合わせたという設定、宇宙(月)に建設された軍事国家、どれをとってもいわゆる「ガンダム」なのである。
しかし、設定は確かに似ていたが、内容はどうであったか?答えはガンダムとはまったく別物の、超ネアカ・バカアニメであり、ZZのような超寒いギャグとは比べ物にならない、センスと小気味よいテンポの秀作だった。スタッフも知る人ぞしる名作 『銀河漂流バイファム』 の面々であり、かつて「脱・冨野」を掲げて若手を導入した『重戦機エルガエム』でも払拭できなかった冨野カラーを脱ぎ捨てた、唯一のサンライズ・リアルロボットアニメなのである。
形的に観れば、確かにドラグナーとガンダムは似ていた。しかし、中身はまったく別物だった。しかし当時、こうるさい多くのアニメファンが高々に叫んだ言葉はこうである。
「結局サンライズは、ガンダムの呪縛から逃れられない!!」
私は、当時高校生だったが、正直思った・・・・呪縛から逃れられないのは、一体誰だろう?それはひょっとして、「視聴者」の方ではないか?
ドラグナーは正直、面白いアニメだった。よく観ればガンダムとの違いは明白である。
・・・・・今、新たなガンダムが誕生したわけであるが、過去の呪縛に取り込まれながら観ることは、結局、観る側が損をするような気がする。どうせ観るなら、楽しんだほうがいいのだ。
しかし、ここまで書いていてなんだが、SEEDを観るのは、ひょっとしてこれが最後になるかも・・・(結局そそられない)←おい!!
そうです、所詮ガンダムの呪縛から離れることができても、シャアの呪縛からは離れられないのです・・・・・わたくしは・・・・