Q−ZAKUの
『珍説・考察ガンダム論』


『愛・戦士たち(前編)』

まず始めに私の好きな人物の一人をご紹介させていただきたい。 『マハトマ・ガンジー』 ご存知の通り,非暴力主義で民衆運動を拡大させ、インド独立を勝ち取った、世界屈指の賢人の一人である。

当時インドはイギリスの植民地だった。そんななか、ガンジーは暴力を否定した戦いを一人挑む。だが、英国の将軍は彼をあざ笑う、微動足りもしない。そして、ある日、ガンジーはもっとも弾圧に加担していた将軍を前にする 「いつまでこんなことを続けるつもりなのか?」 将軍は言う。 「独立を勝ち取るまで戦います」 「勝ち目などあると思っているのか?」 と将軍 「援軍が来ます」 ガンジーは確信を持って言う。 「援軍だと?」 「そうです」 「そんなものが来る分けない」 「いや、来ます」 「それは何者だ」 その問いにガンジーはメガネの奥の眼光を光らせこう言った。

「私の前にいます」 「何?」 「あなたです、あなたが我々に味方をしてくれます」 「なにをばかな!」 将軍はあざ笑った。しかし、その後、その将軍はガンジーの予言通り、独立に協力する運命をたどったという。

そして、別のエピソード。 ある日若い母親がガンジーのところにやってきた。理由は子供の病気を治してほしいというものだった。まだ小さなその少年には全身に湿疹ができていた、命にも関わる症状、理由は明白、甘い物を食べつづけ、やめることが出来ない、これが原因だった。

なんとか母親はやめさせようと努力したが、いっこうにやめることが出来ない。そんな少年に対してガンジーは、そっと耳元でなにかをささやいた、すると少年は、その瞬間に甘い物を口にする事をしなくなった。

一体どうしたわけなのだろう?母親はガンジーに訪ねた 「なにをおっしゃたのですか?」 「簡単なことです、私も甘い物を食べないから、君もやめなさい・・・こう言ったんです」 ガンジーはさらに語った 「自分もがまんするから・・・と言えば、子供には伝わるものなんです」 

ガンジーは人の、『心』 を知り尽くしていた人物と言える。それが非暴力という究極の力を身に付け、敵対する軍を味方にし、小さな命を救うことを可能とした所以なのだろう。

さて、前置きが長くなってしまった。実は私がガンジーを引き合いに出して言いたい事が二つある。それは、ガンジーが人の心を知るという点においては、極めて非凡な力を持っていること、そして幼少の頃から母親に溺愛されていたというエピソードである。(今回は前者を中心に語らせていただきたい)

私は以前、男というものは女性がいなければ何もできないという事を書かせていただいた。それは決して私の我見だけではなく、さまざまな著名な人物が言っていることなのである。その一人の中に実はガンジーも含まれる。 彼は言う 「物事を考える上で、女性の判断力は優れている、女性の直感は良く当たる、男はそのことを知っていて、大事な判断は女性に頼っている、女性がいなければ男は何もできない」 人の心を知り尽くしたガンジーの言葉、実に重みがある。

私はガンダムに登場する男性キャラ (特にシャア) はまさに、これに当てはまるケースが多いと気がついた、ガンダムに出てくる男たちの行動の影には、女たちの理念や意思が、はっきりと伺える、いくつかご紹介したい。

まずはシャアから。 シャアは当初、実に冷酷な戦士として描かれる。アニメの内容を見る限りシャアの目的は二つしかない。一つはザビ家への復讐、もう一つは戦争に勝つ事。 しかし、そんなシャアが生きる目的を大きく転換する時期がある。そう、ララァとの出会い(正確に言えば登場)である。ララァはシャアにとってどういう存在だったかは後ほどの課題とさせていただくが、間違いないのは復讐という行為が空しくなったという事、それはシャアが新たな生き方を見つけたからに他ならない。 よく言われるように、この時期からシャアの目的は人類の革新に目を向け始めている。これはシャアの単純な心変わりなのだろうか?いや違う、そうさせたのは、他ならぬララァなのだ。さらにいえば、この人類の革新という願いそのものがララァの願いとも考えられる。シャアは自分より優れたと心から認めるララァの意思なら、その魂を委ねてをいいと考えていたのだろう。ララァこそがシャアの心の最大のよりどころであり、導いてくれる存在だったのだ。
だが、シャアはララァを失う。シャアは再び心の迷路に迷い込みながら、おぼろげながら結論を出す、敵であり自分を殺したアムロを倒す、それがララァの意思だと・・・。

ア・バオア・クーでの決戦の中、シャアとアムロは体を使っての最後の戦いを繰り広げる。シャアは殺意を剥き出しにして、アムロに襲い掛かる。だが・・・そんな殺気に満ちた二人をたった一言で抑えた声が響いた。「二人が戦う事なんてないのよ!」 そう、セイラである。やはり女性の一言は大きいといわざるを得ない。 「君を殺す!」 のすぐ後に 「なら同士になれ!」 この変わり身はどうであろうか?やはりシャアは女性の一言に弱い。
さて、この後、ご存知の通りシャアはキシリアを射殺する。これは、戦争を拡大し続けるザビ家を放置できなかったとの考えが有力的であるが、もう一つの方向から見れば面白い事実が見えてくる。そう、それはセイラの存在である。 
「父の願いを歪んで受け止めて・・・」 セイラはブライトに叫ぶ。しかし、これは本当にシャアがそう受け止めたのだろうか?ひょっとして、シャアを復讐鬼に変えた物、それはもしかしてセイラの隠れたザビ家への激しい憎悪・・・・それをシャアは感じ取り、自分の行動指針として捕らえた可能性はないだろうか?ア・バオア・クーでのセイラとの再会の後、チャンスだったとはいえ再びシャアを復讐鬼に駆り立てたのはなにか?それはセイラの意思だったのかもしれない。

そしてクワトロ。 Z時代のシャアは、とにかく不安定と言われがちである、確かにそうかもしれない。Z全体を通して、シャアは女性にあまり関心がないようである。
それは理由がある。私が考えるに、Z時代、シャアにとっての恋人は 『地球』 だったとは考えられないだろうか?かなりとっぴな意見ではあるが、シャアは地球に対してかなり強い母性を感じていたのは事実である。ダカールの演説でも、シャアは 『地球という、ゆりかご』 という表現をしている。シャアが地球という母なる星に女性を感じていたならば、環境汚染に対して異常に敏感だったのもうなずける話と言える。

さて、最後に総帥。 逆シャアでの恋人はご存知ナナイ・ミゲル、彼女の気性の激しさは見ての通り。 さて、もう何がいいたいのかはお察しいただいたと思う。逆シャアでのシャアの気性の激しさは、どうやらナナイに影響を受けたのではと私は考える。隕石落としは、さまざまな理由があって、シャアがやらざるを得なくなったと言えるが、ナナイの影響は小さくはなかったと思われる。
それから、もう一人の女性、クェス。 彼女と出会ったシャアは思わず 「来るかい?」 と言ってしまったが、あれは明らかに、クェスがシャアに言わせたのである。シャアは女性の意思に敏感な男であるがゆえに、クェスの期待に答えたのだ。ちなみに、シャアはその後、なんだかんだといってクェスの父親を上手に演じて見せた。ただ注目していただきたのは、その事にシャアはアムロに言われるまで気が付かなかったという点、すなわち、シャアは全て無意識に行っていたという事実である。

男は愛する女性の期待に答える事が、人生の指針となり、行動の根幹となる。それはガンジーだけでなく、世界の賢人が認めているところである。

今回は女性とシャアとの関係を語らせていただいた。後日は、これをさまざまな角度から捕らえる話をさせていただきたい。

最後に、ナナイはシャアに対して 「大佐はアムロを見返すために、この作戦を立てたのでしょう?」 これがナナイの本心なのだろうか?よく考えれば、シャアは異常に打倒アムロに執着していたわけであるが、そうさせたのはナナイのアムロへの嫉妬の炎がシャアに影響を与えた結果、殺意をいだかせたとか?(おい)

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