Q−ZAKUの
『珍説・考察ガンダム論』


『愛・戦士たち(後編)』

「ガンダムは女の物語」 私はそう言っても大げさではないと思う。
いきなり、とっぴな意見で申し訳ないが、私はそう思う。少なくとも、冨野ガンダムには、その色合いが強い。いや、他のガンダムと、冨野ガンダムのはっきりした違いはそこ、にあるように思える。

この世の中は、二つの世界がある。それは、目に見える世界、理性や意識といった領域、そして、目に見えない、精神世界、無意識の領域。
目に見える・・・すなわち意識の世界を支配しているのは、もっぱら男である。具体的に世の中を動かしているのは、この力を得ている 『男』 という精神・・・・しかし、男は、自分たちが築いた世界が無意識の領域の強い影響下にあることに気が付いていない・・・・

そして、無意識・・・すなわち目には見えないが、全ての源となる領域・・・・・・これを支配しているのは女性である。そして、現実世界を構築している男に対し、極めて強い影響力を与え続ける、しかしその女性が支配している無意識という領域も、実はなんらかの強大な影響を受けていると考えられる。それは生命のシステムとでもいうのだろうか?

・・・・・以前から、シャアとアムロに女性が与えた影響力というものを取り扱った議論は多い。また、考察も少なくは無い。巷で言われている、意見はさまざまであるが、シャアとアムロの行動に、「女性」 が避けて通れないことはまず間違いないと考えていいと思う。

前編、中編、といくつか例を上げさせていただいたが、これはほんの一旦である。特徴的な一コマを取り上げたに過ぎない。
ガンダムは女の物語・・・・さらに言えば、女性的な精神が支配している・・・・・とでもいうべきか・・・・

男の中にも、女性的な部分はあるし、女性の中にも男性的な部分はある。
・・・・・・・・・女性の直感、感性には、なにか権威的なモノを感じる、何か逆らえないものがあると言ったらいいのだろうか?特にシャアがララァに求めたのは、母親の権威だったのかもしれない。

さて、ガンダムには、突然理解不能な行動をとるキャラがいる。「レコア・ロンド」 彼女はいきなりアーガマを飛び出し、シロッコの元へ行った。あの行動、最も不可解と思われた、あの行為が、実は 「ガンダム」 の世界をわかりやすくしてくれている・・・・・・・見ようによってではあるが・・・
私は、本放送の時、まだ中学生だった。恋愛に関する知識も、また異性に対する関心も薄い。そんな私が、レコアの行動を理解できるはずも無く、単に裏切ったという嫌悪感だけを感じていた。
Zの終盤、レコアは命を落とすが、この時のエマ中尉とのやりとりが、当時、なおいっそうレコアなる人物がわからなくしてしまった。「あなたは女でありすぎたのよ!」 「そうよ、私は女よ!男たちは戦いばかりして、女をはずかしめる事しかしない!」

・・・・・・・・・・・・私は思った。どうみてもレコアって男まさりじゃないか?それが、女でありすぎた?それってどういうこと?・・・・・私の頭に???が飛び回った。しかし、大人になってから考えて見ると、たしかに良くわかる、そう、レコアは女でありすぎたのだ。

レコアには何らかのトラウマがあったと思われる。それは、女でありすぎたがゆえに傷ついた、そういう経験があるのかもしれない。彼女は自分の女の部分を否定するようになり、やがて、男として生き、肥大した男へのコンプレックスを克服する生き方をするようになる。だが、それは女性が持つ、最大の能力 「世の中の見えない領域(無意識)世界を支配する」 という能力を捨てることにつながっていった。その結果レコアは暴走する。

実は、シロッコはある意味、レコアとよく似ている。確かにシロッコは切れる男だった。彼は、女性の力にこだわった。世界を動かすもの、それは女性的な力だと彼は気がついていた。

シロッコは、女性的な力を得るため、さまざまな異性を身近に置く。サラ、レコア・・・彼女らに近づくことによって、目に見えない無意識の領域を支配する術を、彼は身に付けたかったのかもしれない。

だが、結果はまったく逆だった。結局、精神を支配されたのは、シロッコのほうだったのだ。感情を否定したシロッコが感情を剥き出しにして、怒ったシーン・・・・それはサラの死である。そして、レコアをがシロッコの元に行ったのも、所詮はレコアの意思なのだ。

そして、最大のシロッコの誤算、それは、女性的な力の本質を見極められなかった事である。無意識の領域を支配する女性的な能力・・・・しかし、それも所詮は、巨大な人間というメカニズム・・・・・生命のシステム上のものに過ぎない。つまり、損得勘定で図れるものでないし、利用するためにどうこうできる代物ではないということだ。これに逆らえば、つぶされる。女性は本能で、そのことを知っているが、表面上の事しか知らないシロッコは、迷走し、結局システムから弾き飛ばされ、破滅したのだ。

この世の中の二つの世界、目に見える、意識の領域(男)、目に見えない、無意識の領域(女)・・・・・それぞれが織り成す、世界観・・・・それを極めて高度に表現しているのが、ガンダム・・・私はそう思う。

ちなみに、ガンダムは放映当時、打ち切りという、実に不名誉な終え方をした、しかし、後に復活したのは有名である。その時の立役者たちは一体だれか?それはシャアを信奉する、女性ファンだったらしい。

やっぱりガンダム女性の手の内ということなのだろうか?←(結局ここに行きつく)

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