Q−ZAKUの
『珍説・考察ガンダム論』
『水戸黄門とガンダム』
あの里見浩太郎が「水戸黄門」で御老公を演じる事になったらしい。ついにというか、いよいよというか、私にとっては「助さん」といえば、里見浩太郎、主題歌の「ああ人生に涙あり」といえば里見浩太郎。恐らくこれと同意見の方は多いと思う。正直、里見黄門は石坂黄門以上にイメージが湧かない。だが、しかし、私は石坂以上に期待はしている。がんばってほしい。
石坂降板は本人にとっては極めて無念だろう。ライフワークと位置付けていた仕事を途中で辞退したのだから・・・・。心中をお察しする。
さて、話は変わるが、私は以前から、何故この「水戸黄門」はこれだけ長い間支持されつづけるのだろうか?と不思議に思っていた。そして、私は色々と考察を重ねた結果、実は、我らが敬愛する機動戦士ガンダムと様々な点で、どこか似ていると思うところが出てきたのだ。一体お前は何を言い出すのか?と言われそうだが、それはいつもの事。妄想と紙一重。お話をさせていただこう。
まずいくつかあるので、それぞれ例に出してみた。ご紹介する。
その壱、「セリフ重視のストーリー」 これは、黄門さまに限った事ではないかもしれない。時代劇のストーリーはワンパターンであるが、それゆえに、セリフのテンポが実に良い、ストーリーの説明が省かれるためだ。ガンダムのセリフも歯切れがよいが、これは水戸黄門も同じレベルといえる。セリフが生きて、キャラクターが生きるという事を両作品の製作者は理解しているのだろう。この重要な要素を同じレベルで共有している点は見逃せない。
その弐、「テンポのよいBGM」 私は音楽には、ほとほと無知ではあるが、効果的なBGMはあい通じる部分である。専門家の意見をぜひお聞きしたいところである。
その参、「入浴シーン」 かげろうお銀こと由美かおるの入浴シーンになると、一気に視聴率が上がることは良く知られている。シルバー層のアイドル、8時代の入浴シーン女王の名をほしいままにした、由美かおる。なんども、なんどもキャスト交代の候補に上がりながら、その人気の根強さを背景にスポンサーの首をたてには振らせなかった、水戸黄門の女帝の貫禄ここにあり、大したものである。
さて、今度はガンダム。ガンダムには意外に入浴シーンが多い。特にセイラさんの入浴姿には、多くの青少年達がくぎ付けになった。あの短いシーンをビデオで、なんども、なんども巻き戻しては静止画像、巻き戻しては再生を繰り返し、いったい何本のビデオテープが伸びて、からまったのであろうか?いったい何台のビデオデッキが故障したであろうか?その数は計り知れない・・・。
その四、「アクションシーン」 さて、ここが一番大事なところである。水戸黄門のアクションは、時代劇ではあるが、チャンバラのみではない。空手や投げ技、忍者殺法などなどバラエティーに富んでいる。これは水戸黄門独自のアクションで、決してチャンバラに偏らない乱闘シーンは観ている者を飽きさせない。
さて、ガンダムの場合どうか?実は私はガンダム(1st)のアクションの魅力は、格闘、肉弾戦、そしてチャンバラにあると思っているのだ。これは1stのみで、Z以降は感じられない部分ということも付け加えさせていただく。
殴る、蹴る、そして斬る。これら水戸黄門アクションと合い通じる部分、これがガンダムのアクションの魅力と私は断言できる。アムロとシャアの名勝負と言えばやはり、ガンダム対シャア・ザク。血湧き肉踊る格闘戦であり、ラルとアムロの一騎打ち、トリプル・ドムとの戦いも極めて高度なチャンバラアクションなのだ。ガンダムの名シーンと言えば、必ずこういう肉弾アクションが思い浮かぶ。何故か?実はこれには極めて重要な理由があるのだ。
その理由とは、何か?実はガンダムのアクションはロボットモノでありながら、子供達がマネを出来る、つまり「ガンダムごっこ」が出来るアクションだったのである。当時のロボットものは現実離れした技が多く、到底子ともたちがマネをできる代物ではなかった。しかし、ガンダムは違う。その辺の新聞紙を丸めれば、それはビームサーベルになり、それを折り曲げて銃のように構えれば、それはビームライフルになるのだ。
「ドヒュ-ン!!ドヒュ-ン!!」と声をはりあげ、ガンダムごっこは白熱していく。学校では、ほうきを肩に構えてはガンダムバズーカにしてしまい、ゲルググやギャンの真似事をして、いくつ竹ぼうきを大破させたか数が知れない。指を突き立てて構えれば、もうそいつはズゴックなのだ。
「仮面ライダーのライダーキック」や「ウルトラマンのスペシュウム光線」の人気の背景には、遊びやすかった、マネをしやすかったなどの理由にあげられるが、ガンダムにも同じ事が言えたのだ。私が不思議なのは、なぜZ以降のガンダムがこれらを考慮した作品づくりをしなかったのだろうか?変形モビルスーツのまねごとなど、ヨガの達人や中国雑技団でも出来ない芸当である。
1stの人気の秘密の背景には、シャアやアムロの魅力だけではなく、こういった要素も含まれるということも私は言っておきたい。「水戸黄門的なごちゃまぜアクション」は子供達に大いにウケる要因になるのだ。子供の遊びを無視する事は、作品として大いに損をすることになることをクリエイターの方々には知っていただきたい。
ところで、肉弾戦と言えば逆シャアのラストは、これでもかといわんばかりの、ガンダムのパンチの連打で決着が着いたが、あれはやはり、昔シャアのザクに散々殴られ蹴られた事をアムロは根に持っていたのだろうか?ちなみにグワダンでシャアがカミーユを殴打したのは、アウドムラで殴られた事を根に持っていたという説がある。
ニュータイプとは根に持ちやすい人種なのだろうか?