Q−ZAKUの
『珍説・考察ガンダム論』


『愛・戦士たち(中編)』

前回、私は女性が、男達にいかに多大な影響を与えるかを、前半は実に回りくどく、そして後半は実ににシンプルに話をさせていただいた。唐突だったところはいくつか見受けられるが、それはいつもの事、ご容赦いただきたい。

さて、先のコラムでの話題はもっぱらシャアであったが、今回は、その他大勢が中心、特にアムロは、ある意味シャアよりわかりやすいと言っても過言ではないと思う。ご拝聴いただければ、幸いと申し上げたい。

・・・・・・・宇宙世紀0079・・・・・一年戦争の最中、もっとも新しいコロニー郡 『サイド7』 のとあるコロニーに3機のザクが進入する。その内2機が居住地に降下、そして功をあせった新兵が暴走、町は炎に包まれる。
当時最強の兵器だったモビル−スーツ 『ザク』 に対し成すすべも無い連邦軍。死に行く人たち、破壊される町・・・・まるでとりつかれたのごとく暴れまわる、ザクに立ちはだかったのは、連邦の新型モビルスーツ 『ガンダム』。 乗っていたのはアムロ・レイ、まだ年端もいかない少年である。

さて、これは誰もが知っているガンダムの第一話 『ガンダム大地に立つ』 のおおまかな、あらすじ。ご承知の通り、この後、アムロは初めてガンダムに乗り込んだにも関わらず、ガンダムを動かし、ザクを撃退するという離れ技をやってのける。アムロの非凡さを見せつける重要なエピソードの一つと言えるだろう。

当初アムロは、単なる機械好きの少年として登場する。機械いじりが得意で、サイド7でもその名は有名、だがそれ以上でも、それ以下でもない、普通の少年・・・・・しかし、アムロは覚醒する、戦士として・・・・その瞬間はどこだろうか? 

もうお察しの事だろう、フラウ・・・・そうフラウ・ボゥの涙である。あれがアムロを戦士として目覚めさせたのである。

アムロとシャアとの最大の共通点は 『極めて優しい』 という点にある。虫も殺さない少年、優しい兄というセイラの思い出・・・しかし、実は僅かな違いが、二人を対立させる結果となる。この話は後日にさせていただきたい。

男を精神的に動かしているのは、女性の 『感情』 である。感情的になった女性の前では、男は成すすべがない、現に男が女性と口論をして勝ったという話は聞いたことが無い、これは事実である。

アムロは気丈なフラウの涙を見た瞬間、何かが・・・そう何かが覚醒したのである。

それからのガンダムの活躍はご存知だと思うが、シャアに 「最強の兵」 と言わしめるまでの道のりは遠かった。数々の『イジケ病』や『怖いのイヤだ!病』 『新米病』 は度々ホワイト・ベースのクルーの命を危機にさらす事になる。だが、そんな危機を救った人たち、それは、アムロを取り巻く女性の存在、やはり、これ抜きでは語れない。
赤い彗星、無茶な作戦、萎縮するアムロ、だが、そんなアムロに勇気を与える一言。「あなたらな出来るわ」 あまりにも有名なセイラの台詞、この一言でアムロは元気100倍、むさくるしい上官の小言など遠く及ばない効果があったといえる。 
大気圏という灼熱地獄をガンダムの性能に守られ、生還を果たしたアムロ・・・・・だが、執拗に追いかけるシャアの次の攻撃にアムロの出撃の意思は無かった。恐怖にさいなまれたアムロはもう、ガンダムに乗る勇気は残っていなかった。
殴るブライト、さすがガンダム公認の不器用な男の真髄ここにあり、もっとほかに方法は無いのか?と言いたいが、ブライトもかなり、まいっている。 「もう、ガンダムに乗るもんか」 「そうやっていじけていれば気が済むんだからな!!」 もはや収拾がつかない。
だが、再びアムロは戦う決意をする、そう、この一言 「私がガンダムに乗るわ!」 またしてもフラウの激が飛んだ、もうアムロは裸同然である。

そして、その後、極めて重要な台詞をアムロはつぶやく 「僕は男なんだ・・・・」 そう、男・・・・やはりアムロは男なのである。シャアと同じぐらいに・・・・

その他にも、男性キャラが女性キャラを変えた、又は重要な変化をもたらしたシーンは数多い、ガルマに手柄(結婚)をあせらせたイセリナ、カイを漢(おとこ)にしたミハル、ホワイト・ベースを守る為に死んだウッディ、人生最大の失敗をしたコズン(あれはセイラの術中にはまったとしかいいようがない)、ミライの為に命を張ったカムラン、更に今思えば、歴戦の猛者であり、自他共に認める軍人ドズルが優男として表現されていたのも、ゼナとミネバの力によるものが大きいかったのではないかという気がする。

Z以降も、その流れは引き継がれる。カミ−ユがフォウを追い掛け回したのは、それをフォウが望んだからである。それをカミ−ユは感じ取ったからこそ、カミ−ユはフォウにこだわったのだ。そしてジェリド、彼も実に分かりやすい。彼は女性に妙にモテるが、それは女性が心の中に入り込む余地が実に大きかったからと言える。
他にも、愛人に狂わされたカミ−ユの父親フランクリン、功をあせったカクリコン、エマそしてハマーンにだまされたバスク・・・・それ以外にもさまざまなシーンがあるが、割愛させていただく。とにかくガンダムは 「男と女のドラマ」 だという事を忘れてはならない。

この世には、男は男の持つ役割・・・・女は女の持つ役割というものがある・・・ところが、それがねじれれば、待っているのは不幸・・・・・?。

次回はそんな 『珍説』 をお話させていただきたい。


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