カーボンパーツ クリヤーペイント


 クリヤーペイントの意味

 軽量かつ強度を誇るカーボンファイバーはバイクの外装関係(特に外車)の部品等として使われる素材です。
 但し、この素材も良い事だけではなく欠点も存在します。
 それは、紫外線による退色です。もしステッカーが貼ってあればその痕がクッキリ残ります。時間の経過とともに白っぽく変色し、そのまま放置すると白い粉を吹いた様になります。
 カーボンパーツは高価なうえ美観をアピールする役目もします。変色し貧相になったカーボンパーツを蘇らせる方法は クリヤーペイントする事です。

 下の画像(ペイント前)は新品の物で紫外線によるダメージは受けていませんが、艶はそれ程ありません。(ペイント後)の画像と比べ てもらえれば、艶、黒味の違いが解ると思います。

 当初このペイントのオーダーは経年変化で退色した使用中のカーボンフェンダーをクリヤーペイントで化粧直しの予定でしたが
 外したフェンダーを洗浄したところ、白濁してしまったそうです。これも劣化による症状だと思われます。
 よって新品のカーボン部品を購入し、予防策としてクリヤーペイントを施しました。
 また、紫外線対策だけではなくクオリティーも数段UPします!

 いずれにしても、早目の処置をお奨めします。目安としては水を表面に垂らしてみて黒味と艶が出る様であればクリヤーによる化粧直しは大丈夫と思われます。
ペイント前 ペイント後
ペイントの手順

 @足付け カーボンの足付けは以外と大変です。表面が硬いうえカーボン繊維に凹凸が有る為、凹の部分が一般的な研磨紙 では研ぎムラが出てしまいます。よって、スコッチブライト等を併用し、部位により使い分けて作業します。

 A裏側マスキング クリヤーなので裏側に付着したところで色目的には分りませんが、ボツボツのミストが付着すると汚れも付  きやすくなります。裏側を清掃する人はあまりいないと思いますが、なるべく汚れない方が良いと思うので。

 B脱脂、プライマー 脱脂後、クリヤーの付きを良くする為、プライマー(透明)を吹きます。

 C中間クリヤー クリヤーを塗装、 カーボン部品はその表面に巣穴が存在します。その数は数個〜数十個(メーカー等により 様々)。そのままでは分りにくい巣穴もクリヤーを吹く事でその存在が明らかになります。 現われた巣穴は一つずつ筆などを使 い肉盛り処理します。

 D中間クリヤー研磨 塗り肌(全面)と巣穴肉盛り部の研ぎ作業を行います。

 E仕上クリヤー 洗浄、脱脂後、再度クリヤーを塗装。

 Fペーパー研磨&コンパウンドポリッシュ クリヤー硬化後、研磨紙による研ぎと(塗面の平滑化)コンパウンドによる最終仕
 上を行います。完成。

 クリヤーを塗るだけと思われがちですが、巣穴がなかなかの曲者でこの処理に手間がかかります。また、中には最初からクリヤー塗装がされている物も有りますが、足付け無しで塗装している物が多く、その場合は一度クリヤーを剥離する必要があります。
また、巣穴が貫通している場合は樹脂の塗布等が必要になる場合もあります。

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