異人たちとの夏

製作=松竹 
1988.09.15 
108分 カラー ワイド
監督   大林宣彦
キャスト 風間杜夫
      片岡鶴太郎
      秋吉久美子
      永島敏行
      名取裕子
      ベンガル
      他
異人である父母との奇妙な出会いと心の触れ合い。
乾き切った現代人の生活に忍び寄る孤独が異次元の扉を開く。
俺が大好きな大林監督作品のノスタルジック・ファンタジー!?
この映画はホラー部分に賛否両論があるが、全体的にそれを
打ち消してしまうほど、鶴太郎さんの演技が素晴らしかった。
いろんな事情で親と離れてしまった方にはジーンとくる作品ですね!!


ある夏の雨降りの夜にそれは始まった・・・・・・

原田英雄(風間杜夫)のもとに、同じマンションの住人である
藤野桂(名取裕子)がシャンパンを持って訪れるが、英雄は冷たくあしらう。


幼くして両親を交通事故で亡くした英雄は、仕事(脚本家)の帰りに
自分が生まれ育った浅草へとフラっと立ち寄る。
 
そこは、普段仕事で走り回っている自分とは違う、ゆったりとした時間が流れていた。
そしてそれは、英雄にとって心地良く思えた。
画像はガツガツうな重を食べる英雄とゆっくり味わいながら食べるおじいさん。

浅草特有の気さくなポン引き。『どーですか?18歳!プリプリ!』

そして英雄はぶらりと演芸場に寄り、ある男に出会う。

そこには演者にやたらとツッコミを入れる男(片岡鶴太郎)がいた。
英雄は『世の中には似た人がいるものだな』と思う。
 
その男が急に英雄の方を向く。

英雄 『お父さんだ』

英雄は男に連れられ、男の家に行く事となる。
その途中、ビールを買うシーン。

男 『冷たいから、ハンカチか何かで持ってろ!』

英雄 『ハンカチなくていいんですか?』

男 『俺は平気よ!!』

英雄は男の江戸っ子のような雰囲気に好感を持つ。

男に連れられ、家に着くと・・・・・・・

女(秋吉久美子) 『どうぞ』

英雄 『お母さん!』

その晩、英雄は両親に似た夫婦と酒を飲み、楽しい一時を過ごす。
男 『また来いよ!』 女 『またいらっしゃいよ!』
英雄 『こんな夜なら、誰にでも優しくなれる・・・・・』
英雄はこの後、マンションに帰宅したときに桂と会い、後日二人は一夜を共にする・・・。



あの楽しかった一時が忘れられない英雄は、その後もあの夫婦のもとへと通い、
夫婦が英雄が12歳のときに死んだ両親であることを確信し、子供のように甘える。

しかし、死者と会うことで、英雄の体力は消耗していった。

恋人の桂は英雄の体力が消耗し、老いていくのを心配し、
もう二度と両親と会わないようにと命じるが、
英雄 『父も母も何もしていない。二度と会わないなんて
     息子に言われるようなこと、何もしていない』


やはり、このまま自分が消耗していくわけにはいかない。と思い、別れを告げに訪れる英雄だったが。

英雄 『つい、また来たくなって・・・・』
父   『いくらでも来ればいいさ』
    『今日はお母ちゃんの作った晩飯を3人で食おう!』

意を決して別れを告げる秀雄。
英雄 『今日でもうお目にかかれません』

自分たちと会うことで英雄の体力が消耗する
ことを知り、やはり両親も別れを決意。
 『一度ぐらい、母ちゃんの料理食べさせたかった・・・』

3人は最後に、浅草の今半ですき焼きを食べに行くことになるのだが・・・・・

途中の八つ目鰻屋の主人。浅草だね〜 美味しそう!!

観音様をお参りしてから行きましょうと言う母であったが、
父 『俺たちには時間がねぇんだ』
今半別館に着き、部屋へ行く途中、鳥を微笑ましく見る親子。

すき焼きを囲み、いよいよクライマックスである。
両親は自分たちには残された時間が少ないことを感じ、何とか英雄に思いを伝えようとする。

母 『うまく言えないけど、お前を大事に思っているよ』
父 『お前は良くやったよ!』

英雄 『僕はいい亭主じゃなかったし、いい父親でもなかった。
     お父さんやお母さんの方が、どれだけ立派なことか。
     お父さんとお母さんに会って、驚いたよ。優しくて。
     こういう親にならなくちゃって思っていたよ』


俺はこの言葉に感銘を受けました。
確かに自分をここまで育て上げた両親に感謝と尊敬すべきです。
 
父 『何も言うなよ。もう何も言うな』

母 『あんたをね、自慢に思っているよ・・・』

英雄 『行かないで! いやだ・・・』

母 『サヨナラ』 父 『あばよ!!』

英雄 『ありがとう、どうもありがとう、ありがとうございました・・・』

消えてゆく両親

一人取り残され、仲居さんが不思議に思う。
英雄 『ちっとも食べなかったじゃないか。ちっとも・・・・』

このあと、ちょっとしたホラーがあり、映画は終了する。
最後に英雄のこの言葉を残して・・・
『お父さん、お母さん、桂、ありがとう。僕は生きていきます・・・』

おまけに最近の鶴太郎さんの姿です。





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