「すべての人間は、他人の中に鏡を持っている」とは19世紀ドイツの哲学者・ショーペンハウ
エルの箴言だ。テレビで感動する番組を見ることができたなら、その感動を暮らしに活かせばいい。交
通事故の凄惨な場面を目の当たりにしたなら、自分の運転に細心の注意を払えばいい。素晴らしい友人
に出逢うことができたなら、有形の宝物だと思って長く大切にすればいい。 |
そうやって目の前で起こる 一つ一つの出来事を大切にしていれば、自ずと“人生の目標”ができるだろう。それはきっと、社会貢
献と昭和憲法で謳われている“健康で文化的な生活”の連続に合致しているはずだ。
最近、反社会的企業の体質や国会議員の品位が国民的議論の的となっている。悪徳商法に手を染める連
中や、国会で議席の最後部に陣取る与党議員の顔を見るがいい。人間らしく生きることを放棄した、哀
れな畜生の姿ではないか。人間は、誇りや思いがあってはじめて“人間”になる。それを踏みにじるよ
うな輩を、断じて許してはならない。人は、誠実に生きなければならぬ。正しく生きなければならぬ。
先日、『宮本武蔵』や『三国志』の著作で有名な昭和の文豪・吉川英治が遺した直筆の色紙に触れるこ
とができた。そこには、力強い文字で「我以外皆我師也」とあった。簡潔にして至上の名言だと思う。い
い人と触れ合うことができたら、その人の域に達するように人格を磨いてゆけばいい。悪い人間を見掛
けたら、自分はあんな惨めな姿になってはいけないと強く心に刻めばいい。目に映るもの、体験するも
の全てが“先生”である。正しく生きるには、自分の身の周りで起きる出来事を誠実に受け止めること
だ。
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人には傾聴と感謝、自らには情熱と覚悟。偉くなるより、正しく生きたい。
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