「がんぶぅわーれ、たぶちぃ♪」
めっちゃクイーンでノリノリ。
しかも”そら耳風”もいいかげんに。

チャリ仲間がダビングしてくれたテープを聞きながらチャリを走らせる。
ぴーたーみかもヘッドフォンから”つくつーつくつー”イイ感じだった。

環七を走り抜け、世田谷通りを飛ばす。
思い出してみるとうちらのチャリ道は学校が多かった。

出発点の学芸大付属から始まり、小学校や中学校やよくわからんものまでいっぱいあった。
つまり一部住宅街を除いては、結構人通りのあるチャリ道だったのだ。

いきなり関係ないが、人には
「座右の銘」が必ずあるとこいちは思う。
何も考えてない人でも1つは持っていると思う。
気づかなくても持っていると思う。
なぜならそれは、ポリシーだからだ。
ポリシーなど必要ないという人はそれがポリシーなのだろう。

 こいちにも「座右の銘」がある。
ぴーたーとは関係なくある。
小学校5,6年頃言い出したんだけど今でももちろん心に常にあるお言葉。
「気合いと闘魂」である。

「気合いと闘魂」。
壊れたヤンキーの如く、ノートや教科書、机や白衣、果ては期末のテスト用紙の隅にも書いていた気がする。
もちろんこいちはヤンキーなどではなく、
自由と友達と学校と班活動(部活のことでブヒ)をこよなく愛する
「さわやかこいちゃん」だった。
かなりマジで。

そんなこいちだったが、ある肌寒い日、ぴーたーみかの言葉にはっとなった。
「なんかこの頃うちら、気合い足んないよね。」 
注)マジでヤンキーではありません!この場合の気合いとは、ぴーたー気合いのことです!

足りてねぇ!?いや確かに足りてねぇ!
「まずいねぇ。」
(何がまずいのかはご想像にお任せします。)
「気合いだそーよ。」とみか。
「あたし的に気合いって来たら闘魂なんよね。」とこいち。
「うちらの気合いをアピールだね。」とみか。
「アピールってことはわかりやすくないとね。」とこいち。

「こいちゃん闘魂がいいな。」「じゃぁみか気合いね。」 
なんのことだかわからんと思うだろうが、ぴーたーに必要なのは瞬時のシンクロと、決断力と実行力なのである。


次の日、朝7時50分。
こいちは渋谷方面から、みかは桜木町方面から東横線学大前駅で待ち合わせ。
そこから歩いて2分ほどのところにうちらのチャリ置き場がある。
2月の朝。
雪は降らないがマフラーやコート、手袋が必要な季節である。
だが、うちらは、コートはおろか、マフラーも手袋も身につけてはいない、紺色のボレロ風の制服だけという少し寒い格好であった。

「こいちゃん、オッケー?」
チャリ置き場まで歩きながらみかが聞く。
「オッケーだけど、貼るのにちょい時間かかったよ。座るとくしゃってしそうで怖いしね。」
「あ、あたしも気をつけて姿勢よく座ったよ。」
「ふひひ」
などとたわいない話を続けながらうちらはチャリ置き場に着いた。




                                        つづく…