君の涙の軌跡に優しい口付けを
ぼくは何を間違えたのだろう
君はいつも笑っていた
ぼくは君の笑顔が何よりも好きだった
艶やかな、豊かな黒い髪
潤んだような、大きな瞳
白い肌と、薄紅に染まる頬
透き通る声で言葉を紡ぐ、赤い赤い唇
ばくは君が好きだった
君が微笑んでくれるなら、ぼくは何でもしよう
君に花を贈ろうか
君に歌を捧げようか
ねぇ、君のために何をしようか
ぼくには君しか見えない
君も、ぼくを見て
そして笑って
ぼくが君に尽くす度
君は微笑みを消していく
どうして?
ぼく以外の前では、君は鮮やかに笑うのに
ぼくは君に振り向いてもらいたかった
君がぼくを見てくれるなら、ぼくは何でもしよう
君がぼくのモノになるなら、ぼくは何でもしよう
君にイバラを贈ろうか
君に束縛の鎖を捧げようか
ねぇ、どうすればいいだろうか
君はどうしてぼくを見てくれないの?
ぼくはずっと君を見ているのに
君はどうしてぼく以外の人を見るの?
ぼくは君以外を見たくなんてないのに
君のその目を灼いてみようか
ぼく以外を見ぬように
君の胸をこじ開けて、赤い心を掴んでみようか
君がぼくのモノになるように
真紅の涙で、君の頬を染めてあげよう
君はぼく以外を見なくなった
君はぼくのモノになった
なのに、どうしてだろう
艶やかな、豊かな黒い髪はもう風になびかない
潤んだような、大きな瞳はもう光を抱くことはない
白い肌と薄紅色の頬は、色を失った
赤い赤い綺麗な唇は、もう言葉を紡ぐことなく紫色に凍った
もう二度と、君は笑わなくなった
ぼくは何を間違えたのだろう
ねぇ、愛しい君
教えてくれないか?
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