思い出すのは、貴方がいた風景ばかり。
失くしたモノを追い続ける程、愚かではないけれど
過去を振り返らずにいられる程、私は強くは生きられない。




Not titled























ひどく散らかった汚い部屋で
貴方はいつも音痴な鼻歌ばかりを歌っていた。
私は貴方のベッドに寝転んで、笑いながら耳を傾けていた。




「いつか、二人だけの唄でも作ろうか」




ふざけて話した遠い記憶。
いつの間にか流れた、ありふれた日常。
















白い紙に書き綴ったコトバ達。
貴方の声が静かに命を吹き込んでいく。
相変わらず音痴な歌…それでも、私は貴方の澄んだ声が好きだった。








私のコトバに
貴方の歌声
一つになる二人の唄…。
















「いつか、この唄に名前を付けよう。」
そう言ったのは、貴方だった。
「二人で考えようね」
そう答えたのは、私だった。



























時は流れて、季節は変わる。




「あの日」は過去に流れて想い出に変わり
「いつか」は行き着かぬ未来の夢へと消えるのでしょうか…


































「…唄の名前は何が良いかな」
何もない、寒い部屋で私のコトバが彷徨う。


答えてくれる貴方は…見つからない。



4444HIT、えとろん様からのリク「無題」でした。
こ、こんな感じで…良かったのでしょうか。
「貴方」の行方などはご想像にお任せいたします。
色々なパターンを考えてくださると、書いた方としては嬉しい限りです。
気に入りませんでしたら書き直しますので、何なりとお申し付け下さい。
では、有難うございました!


天神美香


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